道路構造物ジャーナルNET

【オピニオン】特殊高所技術について③

点検に必要な技術とは何か? 特殊高所技術は最後の切り札

一般社団法人特殊高所技術協会
代表理事

和田 聖司 氏

公開日:2015.07.01

 連載1回目では特殊高所技術の総論について記述していただいた。2回目ではインフラ点検用ロボットの現状などに触れるとともに、特殊高所技術が点検性に優れるだけでなく、安全性に大きく配慮しているその内容について詳述された。最終回ではあえて特殊高所技術のデメリットにも触れるとともに、「橋梁点検」に求められる技術と現実とのギャップについて少し辛口に質しつつ、特殊高所技術の有用性「最後の切り札」について発注者の評価を記している。読者諸兄の熟読を期待する。(井手迫瑞樹)

近接してから何が出来るのか?ということを大切にしている技術者集団

1.技術者集団
 「特殊高所技術」の適用範囲は多岐にわたるが、企業毎にどのように活用されるかは様々であり、近接目視や打音という一般的な点検でしか活用したことがないという方がまだまだ多い。
 もちろん、業務の目的によって、それで十分という場合がほとんどだと思う。 
 初めて「特殊高所技術」を活用された方達からは「休みの日は、山登りですか???」という同じ世間話をされることが本当に多い。 視覚から得られる印象によって、山登りやロッククライミングなどを趣味としている人達の集団という印象があるのだろうと推測する。
 残念ながら、これが現時点での「特殊高所技術」の認知度の低さを物語っているのだろう。 「ぶら下がった状態で、非破壊検査なども出来るのですね!」と驚かれることも少なくはなく、まだまだ維持管理のスタンダードと言えない現状なのだと理解している。
 現実的には、特殊高所技術者の中に、山登りやロッククライミングを趣味としている者はほとんどいない。もちろん「特殊高所技術」自体は、安全に対象箇所へ近接する為の技術であるわけだが、当協会の会員企業はほとんど、近接してから何が出来るのか?ということを大切にされている技術者集団であったりするのだ。
 以下は、国道上部斜面の落石源調査の成果品例だが、このように、報告書においても、視覚的にわかりやすい表現を用いるなど、試行錯誤を繰り返している。 

図-1 成果品例

図-2 成果品例

大きな損傷は撮影が困難
 図面等をより視覚的に見やすくする

2.特殊高所技術のデメリット
 上記のような視覚的にわかりやすい成果品を作る理由は、実は他にもある。
 これには、「特殊高所技術」特有のデメリットを相殺するという意味合いもある。 近接出来るということはメリットでもあり、デメリットにもなっているからだ。 小さな損傷は、カメラに収めることが容易に出来る。 「特殊高所技術」の場合、大きな損傷となると、それが格段に困難になる。 通常、歩けるような場所であれば、カメラの画角に入りきらない場合、1歩2歩と後ろに下がって撮影することになるだろう。 「特殊高所技術」の場合は、これが難しい。要するに、点検時、対象構造物から離れることが困難なのだ。 大規模構造物の場合、建設当初、足場が撤去されて以降、誰も近接したことがないという場所は少なくない。 「出来るだけ多くの写真を撮影してきて欲しい」と要望されることが多いのも、可能であるならば、損傷が発見された場合、発注者自身が、自分達の目で見てみたいと思っているということだろう。 全ての要望に応えたいところではあるが、先ほども申し上げたように、撮影機材を使用して、人間の目と同じような情報を持ち帰ることは非常に難しい。
 やはり人間の目は良く出来ていると改めて感心する。
 カメラや、ビデオカメラなどは画角が決まっており、より多くの情報を持ち帰ることが困難だ。 最近では、全天球型カメラというものが発売されているが、これで撮影した画像を報告書として提出するには、まだまだ受け手側の準備が整っていない。 その為、撮影した画像の情報を補う意味もあって、図面等をより視覚的に見やすくすることを心掛けている。

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