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東日本高速道路 維持管理リレー連載⑤

関東支社管内の高速道路における橋梁の劣化と維持管理

東日本高速道路株式会社
関東支社
技術部 構造物指導担当専任役

鈴木 裕二 氏

公開日:2015.03.20

 2.2 伸縮装置を取替える場合
 (1)基本的な考え方
 ゴムジョイント等の簡易な伸縮装置は取替えが必ず必要となる。この取り換え時に止水効果の高い構造を採用することも含めて検討することにしている。まず、伸縮装置をなくすことを考える。橋台部はミニ延長床版や埋設型止水工法、掛け違い部は床板連結を検討する。また、簡易鋼製ジョイントは現在所定の性能が確認されたものを使用することになっているが、前述のとおり独自にさらに止水性の高い工法を開発している。検討の流れを図-5に示す。

 

      
     図―5 伸縮装置が健全な場合の止水検討フロー

 

 (2)ミニ延長床版
 ミニ延長床版とは橋台パラペットの上端をはつり、その上に橋梁の床版を伸ばしたものである。支承が固定支承の場合に適用し、支承が可動支承の場合は固定化が可能な場合に適用する。遊間の伸縮は桁の回転のみであり、舗装は通常の舗装とする。施工手順を図―6に、配筋状況を写真―4に示す。

 


                      図―6 ミニ延長床版の施工手順
      
                       写真―4 ミニ延長床版の配筋状況

 

 課題は施工時間と工事費用である。施工に昼夜連続規制が必要なことから、大都市部での施工は困難である。同様な工法としてパラペットと床版を剛結する工法があるが、筆者の検討では、L1地震時にパラペット下部が許容応力を超える場合があり、床版と橋台を安易に剛結することは将来に不安材料を残すことになると思われる。さらに、斜角のある橋台は剛結すると複雑な挙動となることから、別途検討が必要である。それに対しミニ延長床版は可動支承を固定化しないかぎり、構造系は変化しないのでそのような問題は発生せず、斜角があっても影響はない。

 

(3)埋設型止水ジョイント
 ミニ延長床版は施工時間が長いため、大都市部では施工が困難である。これを解決するため、簡易鋼製ジョイントと同様な施工時間でミニ延長床版と同じ効果を発揮するように開発されたのが「埋設型止水ジョイント」である。名前から埋設ジョイントと誤解されるが、全く異なるものである。埋設ジョイントは舗装の部分に特殊な伸縮ができて止水性のある材用を用いるものであるが、「埋設型止水ジョイント」の舗装自体は一般の舗装材料であり、舗装下に止水構造を構築するものである。図―7に構造図を示す。
 この構造はミニ延長床版と同様に固定支承部に用いる。橋梁伸縮部舗装下面のコンクリート部分内に三角形の空間を作りその中にシームレスW止水工法で止水するものである。施工時間は一般の簡易鋼製ジョイントとそれほど変わらず、止水構造はシームレスW止水であり止水性は高い。また、舗装面は一般の舗装であり、舗装改良と同時に施工すれば埋設ジョイントのような、段差もなく、伸縮装置による騒音・振動が発生しない。追い越し車線のみを舗装と同時施工し、走行車線は橋梁伸縮部のみ舗装を打ち替えた状況を写真―5に示す。

 

  
写真―5 埋設型止水ジョイント施工後の舗装面の状況          図―7 埋設型止水ジョイント構造図

 

(4)床版連結化
 単純桁橋が連続する場合や連続桁橋の間に単純桁橋がある場合など、単純桁橋の可動支承を固定化してその支承部の伸縮装置を取除き、床版を連結して伸縮装置をなくす工法である。変更の概念図は図―8に示すとおりである。

 


                   図―8 既設構造を床版連結する概念図

 

 この構造では橋脚が多点固定の構造となるため、地震時の照査が必要となり、L1・L2の照査を行って安全性の確認をする。このような構造が可能になるのは、元々上部工1径間分を1橋脚で分担していたものを、多点固定にしても同様の分担でよいからである。ただし、橋脚の高さが大きく違ったり、地震時に桁が衝突しないための遊間を確保するため、無限の橋脚部の床板を連結できるわけではない。最初に施工した東関道寒風高架橋では13箇所あった伸縮装置部を5箇所に減ずることができた。止水性、走行性の向上及び騒音振動の低減に多いに効果のある工法である。従来、このように伸縮装置をなくすためには連続化をするのが一般的であるが、床版連結工法は工事費用が安価であり、効果が連続桁化と同様な、コストパフォーマンスに優れた工法である。床板のはつり完了後の状況を写真―6に示す。

 

                      
             写真―6 床板連結工施工状況写真

 

 2.3 その他の漏水対策工法
 (1)床版端部からの排水
 現在の高速道路の舗装は高機能舗装であり、表層部に滞水させない構造である。路肩には排水機能を確保するため70㍉程度表層を省いた溝が設置される。しかし、既存の橋梁の端部の伸縮装置部付近の排水をする機能がない。床版にはスラブドレーンが設置されるが、これでは表面の滞水は排水できない。このため、路面端部溝に滞水した水の排水とスラブドレーンの機能の二つを持ち合わせた小さなマス(S&SDドレーン)を開発した。このマスは路面排水の部分がごみなどにより閉塞されてもスラブドレーンの機能は持つように、二重の排水構造としている。模型を写真―7に示す。

 


              写真-7 床版端部排水工

 

(2)中央分離帯の止水
 中央分離帯の上下線に20㍉程度の隙間がある場合がある。ここからの漏水により床板張り出し部に塩害損傷や寒冷地でのツララの発生を起こすことがある。これを防止するため、従来はゴム板を張って止水している。しかし、紫外線にさらされる環境下では10年程度で劣化、破断してしまう。ゴムに代わる材料で伸縮が可能で耐久性の高い構造を考えた。材料は耐候性のあるステンレスを用いて図―9のように2枚のステンレス板の先端を丸めてそれをクリップと称する部材で結ぶ。この構造では左右の部材は上下左右縦断方向に移動ができる。1部材の長さは90㌢でこれの端部を重ねることにより、溶接などしないで繋ぐ構造である。この構造はゴムなどでは不可能な伸縮装置部分も止水できる。施工事例の写真を写真―8に示す。なお、壁高欄地覆部の止水対策も開発途中である。

 


    図―9 中央分離帯止水工断面図                写真―8 中央分離帯止水工施工写真

 

2.4 関連するその他の技術開発
 桁端遊間部の漏水対策工法について述べてきたが、施工にあたっては次のような課題が挙げられる。
 ① 内部の状況が正確に把握できない。
 ② 塩害により、狭隘遊間部がはく離等劣化していて、止水工を行う前に補修が必要な場合がある。
 このため、①については狭隘部壁面をオルソ画像として撮影する装置と塩分調査を行うための試料採取方法を開発し、②についても狭隘部壁面の車線規制を行わずに補修する工法を開発した。これらを駆使すれば、調査から補修・止水といった一連の流れが完成することになる。

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