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関係機関と膨大な協議を行い、都市部の厳しい現場条件下で事業を着実に推進

首都高速道路 更新・建設局 総勢150人で大規模更新事業4件・新設事業1件等を担当

首都高速道路株式会社
更新・建設局
局長

諸橋 雅之

公開日:2023.11.15

 首都高速道路更新・建設局は、同社唯一の更新・建設部門として「高速大師橋更新」「日本橋区間地下化事業」「東品川桟橋・鮫洲埋立部更新」「池尻・三軒茶屋出入口付近更新・付加車線増設」の4つの大規模更新事業と、「新大宮上尾道路」の新設事業などを所管している。工事事務所の技術者には「愚直に現場に行くこと」を指導しているという諸橋雅之局長に、各事業の詳細を聞いた。

2020年7月に発足 10課、5工事事務所、2用地事務所体制で業務にあたる

 ――更新・建設局の業務概要と組織体制からお願いいたします
 諸橋局長 当社には建設部門と管理部門の出先機関があり、建設部門ではこれまで東京建設局と神奈川建設局のふたつがありました。その後、東京建設局は東京西局プロジェクト本部となっています。建設事業が減少するなかで、2020年7月に東京西局プロジェクト本部と神奈川建設局が合併して、更新・建設局が発足しました。当社のなかで唯一の更新・建設部門となりますので、管内すべての更新・建設事業を所管しています。
 組織構成は、事業管理課、技術・安全管理課、土木設計課など10課と5工事事務所、2用地事務所で、現在、総勢150人体制となっています。このうち、98人が技術者です。
 担当事業は、「高速大師橋更新」「日本橋区間地下化事業」「東品川桟橋・鮫洲埋立部更新」「池尻・三軒茶屋出入口付近更新・付加車線増設」の4つの大規模更新事業と、「新大宮上尾道路(与野~上尾南)」の新設事業です。
 そのほか、日本橋区間の補助96号線(外堀通り)の街路拡幅工事を東京都から受託するなどしています。
 ――事業を円滑に進めるための取組みは
 諸橋 直接的にはコロナ禍がきっかけとなったと思いますが、神田にある本局と各事務所が離れていること、大所帯であることから、会議や打合わせは必ずオンライン併用で行っています。その代わり、工事事務所は現場に近いので、「愚直に現場に行くこと」「何かあればすぐに現場に行くこと」を指導しています。
 ――各工事事務所の人員は
 諸橋 品川および日本橋工事事務所は6人、大師橋および埼玉工事事務所は5人、施設工事務所は7人です。
 ――事業推進にあたり課題は
 諸橋 代々にわたる当社の課題となりますが、都心部の工事なので、調整すべき関係機関が多岐に渡ります。日本橋区間が典型的ですが、ありとあらゆる地下埋設物があり、近接構造物も数多くあります。工事着手までの事前調整や工程を守るための協議を限られた人員で上手に整えていくことが、どの事業でも課題になっています。
 当社唯一の建設部門ですので、社内でも少なくなっている貴重な経験として、動いている現場や工事の進捗状況をできる限り見せたいと考えていますが、膨大な協議があって、ありとあらゆる部署に行って調整していかなければなりません。当社の社員として技術を把握していくことと、調整を滞りなく進めていくこと、それをどうやって両立させていくかに本当に腐心しています。

高速大師橋 既設桁の撤去作業が進む
 両端の桁を撤去後、中央スパン約50mの桁を一括撤去

 ――高速大師橋更新について。概要からお願いします
 諸橋 同橋の鋼橋区間(P4~P7の橋長292m、3径間連続鋼床版箱桁橋)では、これまでに1,200箇所以上の疲労き裂が確認されていることから、長期的な安全性を確保するために架替えを行うことにしたものです。下流側に新設橋を組立て、2週間の通行止め期間中に既設橋と新設橋をスライドさせて、一括で架替えを行いました。


施工ステップ図
新設橋 概要図

2週間で架替えを完了させた(提供:首都高速道路/撮影:共映)

 ――5月27日から2週間通行止めを行い、無事、新設橋の供用ができました。ご感想は
 諸橋 当社では事故以外で1週間以上にわたり本線を通行止めにして行う工事は初めての経験でした。通行止め期間中の交通影響と皆様に2週間の通行止めをご理解いただけるかを非常に心配していました。
 通行止め期間中、首都高速道路ではう回路である湾岸線を中心に渋滞が発生し、一般道路では通行止め区間周辺の産業道路や第一京浜(国道15号)などで交通集中・渋滞増加が見られました。一方、報道・広報等により通行止めが周知され、お客様のご理解・ご協力により、首都高の全線交通量が約4%減少した結果、懸念された渋滞状況は避けられました。工事に対してご理解・ご協力をいただけたことに感謝しています。


通行止め期間中の交通・渋滞状況

 ――今後の工程は
 諸橋 上流側に横取りした既設桁の撤去作業を行っていきます。その後、橋桁移動設備を撤去して、作業エリアが確保できた段階で既設橋脚を撤去します。さらに、恒久足場を設置して事業が完了します。
 ――既設桁撤去の施工方法は
 諸橋 舗装等を撤去した後、ベント上から片持ち状態で張り出している東京側の桁の撤去を最初に行います。次に同様に片持ち状態で張り出している川崎側の桁を撤去し、その後、中央スパンの桁を台船上に一括で降ろして撤去していきます。中央スパンの桁は年度内に撤去する計画です。


上流側に横取りした既設桁(大柴功治撮影)

既設桁撤去概要図(左図:側径間/右図:中央径間)

 ――東京側の桁は具体的にどのように撤去していくのですか
 諸橋 1ブロックが約20tとなるように切断して、既設桁上をトラックで運搬してクレーン台船で台船上に降ろしていきます。川崎側も同様に分割してクレーン台船で降ろしていきます。


片持ち状態の東京側既設橋(大柴功治撮影)

東京側の既設桁撤去状況

 ――中央スパンの桁は何mのブロック長で撤去を行いますか
 諸橋 約50mとなります。それを台船上に一括で降ろします。
 ――橋桁移動設備の解体は
 諸橋 基本的には構築時の逆の工程となり、台船上のクレーンで桁等を吊上げ撤去していきます。
 ――既設橋脚は、新設の門型橋脚の間にあり狭隘な空間での撤去作業になると思いますが
 諸橋 撤去方法の詳細は調整中ですが、ワイヤーソーにて既設橋脚を分割しクレーン台船で撤去していきます。また、P4橋脚上は隣接橋と新設桁を仮受けの状態で交通開放していますので、既設P4橋脚を撤去した後に、新設P4橋脚に受替えを行います。
 ――採用する恒久足場は
 諸橋 耐久性に優れたステンレスパネルを外装に使用した橋梁用高機能外装板「NSカバープレート」となります。


完成イメージ。恒久足場を設置する

 ――今後の工事でポイントとなる点は
 諸橋 河川内工事でさまざまなリスクがあるなかで、残っている部材を安全に撤去することです。また、多摩川を使って撤去した部材を運搬しなければならないので、事業着手時のように大型台風により航路に土砂が堆積してしまうと、大きなリスクとなります。その意味でも撤去は早く終わらせなければなりません。

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