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管理総延長は約1,086km 橋梁1,219橋とトンネル87箇所を管理

神奈川県 道路ネットワークの強化や交通混雑緩和を図る座間荻野線Ⅱ期工区や上郷立体などの事業を推進

神奈川県
県土整備局長

大島 伸生 氏

公開日:2022.12.22

供用開始から50年を超える橋梁は全体の約5割でトンネルは約4割
 20年後には橋梁約8割、トンネル約7割が50年超に

 ――保全事業について。管理橋梁の内訳は
 大島 2022年4月1日現在で、1,219橋を管理しています。橋種別では、鋼橋が273橋、コンクリート橋が929橋、鋼橋とコンクリート橋の混合橋が17橋となっています。
 供用年次別では、供用開始から10年未満が26橋、10年以上20年未満が44橋、20年以上30年未満が135橋、30年以上40年未満が116橋、40年以上50年未満が266橋、50年以上が580橋です(供用年次不明52橋)。供用開始から50年を超える橋梁が全体の約5割を占めていて、10年後には約7割、20年後には約8割に急増します。
 延長別では、15m未満が722橋、15m以上100m未満が395橋、100m以上が102橋となります。最長の橋梁は、県の中央部を流れる相模川に架かる県道42号(藤沢座間厚木)座架依橋で977mです。
 路線別では、一般国道が204橋、主要地方道が615橋、一般県道が400橋です。1路線のなかで最も橋梁数の多い路線は、愛川町の相模原市境から大磯町に至る幹線道路の県道63号(相模原大磯)で94橋が架設されています。


供用経過年数上位10橋と橋長が長い上位10橋

 ――トンネルについて
 大島 87箇所(2022年4月1日現在)を管理しています。工法別では、在来工法が46箇所、NATM工法が27箇所、開削工法でボックスカルバートなどを施工した箇所が14箇所となっています。
 供用年次別では、供用開始から10年未満が3箇所、10年以上20年未満が8箇所、20年以上30年未満が17箇所、30年以上40年未満が12箇所、40年以上50年未満が14箇所、50年以上が33箇所となっています。建設後50年を超えるトンネルが全体の約4割を占め、10年後には約5割、20年後には約7割となります。
 延長別では、100m未満が28箇所、100m以上500m未満が55箇所、500m以上が4箇所となっています。最長のトンネルは、県道217号(逗子葉山横須賀)の葉山町にある新沢隧道で929mです。
 路線別では、一般国道が12箇所、主要地方道が35箇所、一般県道が40箇所となります。1路線の中で最も箇所数の多い路線は、清川村にある宮ヶ瀬ダムの近くの県道514号(宮ケ瀬愛川)で7箇所となっています。


供用経過年数上位10トンネルと延長が長い上位10トンネル

橋梁 Ⅲ判定が全体の4%、Ⅱ判定が同39%
 トンネル Ⅲ判定が26%、Ⅱ判定が74%

 ――橋梁とトンネルの定期点検結果を教えてください
 大島 橋梁の直近5年間(2017年度~2021年度)での定期点検の結果は、Ⅰ判定が689橋(57%)、Ⅱ判定が473橋(39%)、Ⅲ判定が46橋(4%)で、Ⅳ判定はありませんでした。なお、新規供用の11橋は点検結果に含まれていません。
 トンネルは、Ⅱ判定が64箇所(74%)、Ⅲ判定が22橋(26%)で、ⅠとⅣ判定はありません。新規供用の1箇所は点検結果に含まれていません。
 ――点検を進めてみての橋梁の損傷傾向を橋種別、部位別にお教えください。また、その原因についてもお願いします
 大島 鋼橋では、桁端部や支承部の腐食、塗装の劣化などが多くなっています。コンクリート橋では、主桁や地覆など、コンクリートのひび割れや剥離、露出した鉄筋が錆びるといった損傷が多く見られています。原因としては、鋼橋では伸縮装置部で雨水を受けるバックアップ材が劣化して、そこから水が侵入し、堆積した土砂が湿潤状態になっていることが推察されます。コンクリート橋は乾燥収縮などにより、ひび割れや剥離といった損傷が発生したと想定できます。


橋梁の損傷状況。県道78号新下原橋(左)/県道725号板取沢橋(中央)/県道76号滝口橋(右)

県道76号焼津橋(左)/県道43号一ツ橋(右)

 ――鋼橋での疲労による劣化は見られていますか
 大島 直近の定期点検結果では疲労き裂は確認されていません。
 ――トンネルについては
 大島 掘削工法にかかわらず、覆工や側壁コンクリートにひび割れや浮きなどの損傷や漏水が発生しており、横断目地部や水平打継ぎ目部に多くなっています。これらは老朽化によるものとなります。


トンネルの損傷状況。県道26号新衣笠隧道(左・中央)/県道271号久留和隧道(右)

Ⅲ判定46橋のうち、20橋が対策完了、16橋が対策着手済み
 トンネルはⅢ判定22トンネルのうち、13トンネルで対策完了

 ――橋梁の定期点検結果に基づいた対策の進捗状況は
 大島 Ⅲ判定となった46橋を中心に対策を進めています。このうち、20橋で対策が完了し、現在、16橋で設計を含めて対策に着手しています。残りの10橋についても、次回の点検までの5年間で対策を完了させる予定です。
 Ⅱ判定の橋梁についても、緊急輸送道路の橋梁で比較的損傷の大きい所から順次対策を進めています。Ⅱ判定473橋のうち、47橋で対策が完了し、25橋で対策に着手しています。残りの401橋は対策を順次進めていきます。


橋梁の対策事例。県道72号第一森戸橋(左:施工前/中央:施工後)/県道76号鞠子橋(右)

 ――トンネルの進捗状況は
 大島 Ⅲ判定となった22トンネルを中心に対策を進めています。このうち、13トンネルで対策が完了し、現在、残りの9トンネルで設計を含めて対策に着手しています。
 Ⅱ判定のトンネルについても、緊急輸送道路のトンネルで比較的損傷の大きい所から順次対策を進めています。Ⅱ判定64トンネルのうち、2トンネルで対策が完了し、25トンネルで対策に着手しています。残りの37トンネルも、対策を順次進めていきます。
 ――順調に対策が進んでいますね
 大島 橋梁では2014年に定期点検が義務化される前の2010年に橋りょう長寿命化修繕計画を作成し、点検や補修を行うなど対策を進めてきた結果だと思います。また、定期点検義務化後も「神奈川県道路施設長寿命化計画」を策定し、予防保全型の考え方に基づき、点検・診断・措置・記録といったメンテナンスサイクルを回しながら、橋梁やトンネルなどの道路施設の老朽化による事故防止やトータルコストの縮減および平準化を図っていますが、これについても遅れることなく対策を進めてきたことも挙げられます。
 ――対策の具体例をお教えください
 大島 国道135号江之浦橋では、床版下面のコンクリートが劣化により剥落し、鉄筋が露出していることから、今年度に断面修復工を実施する予定です。


国道135号江之浦橋の損傷状況

 ――上部工の補修・補強について、2021年度施工済み数量と今年度を含めた今後の施工予定を具体的な橋梁名とともにお願いします
 大島 2021年度に上部工の補修・補強を実施した橋梁は、県道76号(山北藤野)鞠子橋など24橋で、主桁の断面修復などを実施しています。今年度は、先ほどの江之浦橋を含め31橋で工事を実施する予定です。補強工事では、国道135号早川橋で床版補強工を実施しています。


床版補強施工事例。国道135号早川橋(左:施工前/中央:施工中/右:施工後)

 ――床版補強工の具体的な内容は
 大島 重要物流道路としての耐荷力を向上させるため、床版の上下面に炭素繊維シートを設置するものです。
 ――疲労き裂は確認されていないとのことでしたが
 大島 直近の調査で、疲労き裂を確認した橋梁はありません。
 ――床版防水の施工状況について
 大島 新設および橋面舗装を打ち換える際には防水工を行っており、主に塗膜系防水を採用しています。直近の事例では、2021年度に県道42号(藤沢座間厚木)座架依橋など8橋で塗膜系防水を実施しています。


床版防水の施工事例。県道42号座架依橋(左:施工前/右:施工後)

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