道路構造物ジャーナルNET

新社屋も完成し、営業拠点も拡大、5年後は社員を5割増しに

中井商工50周年記念インタビュー 今後5年で年間売上50億円を目指す

中井商工株式会社
代表取締役社長

宮崎 正治

公開日:2022.07.21

乾式止水材『プレスアドラー』は年間売上19億円に達する
 桁端部側方型充填工法は充填可能施工延長を拡充

 ――他、今後を見据えて開発している商品は
 宮崎 注力している商材の一つとして乾式止水材『プレスアドラー』がございます。フォーム材と止水シートを組み合わせることで多次元の挙動に追従可能な鋼製伸縮装置用非排水構造です。この止水工法は、止水材を伸縮装置下面から圧縮挿入・接着固定するもので、全ての工程が道路下面での作業となるため、道路上面での交通規制を行う必要がなく、都市部の道路橋梁工事にも適したものです。プレスアドラー本体の製作は工場で行われるため、常に品質管理が安定しているのも特徴といえます。同製品はここ5年で急速に普及しており、現在は年間売上19億円程度にまで達しています。これをさらに拡大させていきたいと考えています。


プレスアドラーの施工状況(伸縮装置下面からの遊間内圧縮挿入)

プレスアドラーによる伸縮装置非排水構造概要図

 もう一つは、桁端部側方型充填工法の拡充です。
 コンクリート橋の伸縮装置直下に広がる桁端部遊間に充填用スティックバルーンを配置し、これを支持材として2液混合型ポリブタジエン系専用充填材『3eシール』を現場で側面からポンプ圧送で流し込み、硬化させる止水構造で、遊間部の清掃も含めて全て桁下で施工できるため交通規制の必要がなく、様々な状態の遊間部に迅速な対応ができます。
 現在、当工法の適用範囲を拡大し、製品展開を進めています。幅50~150mmの桁遊間については、充填可能施工延長(桁幅員)最大10mから17mに対応範囲を拡大しました。さらに幅40~50mmの小遊間に対しても充填可能施工延長最大10mまで対応できるようにするなど、その対象を広げています。


桁端部側方型充填工法の施工状況(左)と施工概要図(右)

社員は10年間で倍増、今後5年でさらに50人増やす
 設計部隊は10人体制 今後の増員は工事部隊がメイン

 ――橋梁補修工事や耐震補強工事の元請受注の拡充はどのように行っていきますか
 宮崎 元請けとして1件5,000万円から最大2億円程度の自治体が発注する保全工事を受注していきたいと考えています。売上目標額は現状の2億円から5年後には10億円程度まで増やしたいと考えています。
 ――全体売上額50億、元請け工事受注目標額10億という目標を達成するには従業員の質や量も改善していく必要があると思いますが、それはどのように考えていますか
 宮崎 私が社長に就任したのは10年前ですが、当時の社員は50人ほどでした。それが現在は100人程となっています。これを今後5年でさらに50人ほど増やしていきたいと考えています。各種商品の営業や工事の受注のためには設計や積算の精度向上が必須ですが、設計部隊は5年前は4人であったのが現在は10人に増やしており、さらに今後1人増員する方針です。またこれからの増員は工事部隊がメインとなります。
 採用は新卒と技術力に富んだ中途採用をバランスよく実施していきたいと考えています。新卒に関しては、大学や高専の理系の学生を取っていきたいのですが、空前の売り手市場の中、なかなか採用は困難です。ただ、当社の役員の出身校である修成建設専門学校からは毎年入社していただく方がいらっしゃり非常に助かっています。文系の新卒者も多いですが、そうした従業員にも入社後に教育を施すことで、一人前に育てていきたいと考えています。
 教育に関しては、若手を経験豊富な先輩と一緒に組ませて現場や営業を行わせることで、実地で能力を身に付けさせていきたいと考えています。さらに遠隔臨場的な設備投資を行い、経験豊かな技術者が、遠隔で効率的に教育を施す体制も作っていきたいと考えています。
加えて、資格取得を施すための補助制度や一時金制度も作っており、従業員のやる気を促しています。
 今後は土木学会などの活動にも積極的に従業員を参加させ、技術的なアンテナをさらに高く立てていきたいと考えています。

モットーは「改善・改良・開発」
 性別や社会的環境の関係なく、気持ちよく働ける会社を目指す

 ――女性の積極的な採用は行っていますか
 宮崎 100人余りの従業員のうち女性は14人となっています。事務が10人ほどですが、CADオペレータとして3人、営業も1人を配属して各分野で活躍していただいています。工事については、特に下請分野ではまだまだ女性を想定した現場になっていない環境もありますが、元請業務を中心に性別関係なく活躍できる環境を作っていきたいと考えています。
 ――従業員のロイヤリティ確保のためには働き方改革も重要です
 宮崎 産休、育休、介護休暇の制度は既に作っており、それを拡充していくことで働きやすい職場の形成をさらに図っていきたいと考えています。また、在宅勤務については、コミュニケーションの確保という点で難しいところもありますが、反面、育児や介護の状況などから出社しての業務遂行が困難な従業員でも仕事が可能になるメリットがあります。会社としてもせっかく育てた従業員をそうした社会的環境で手放すのは損失です。在宅勤務を柔軟に活用することで、ワークライフバランスに配慮していきたいと考えています。
 週休2日制に関しては2年前から全面導入しています。
 ――最後に今後を踏まえた会社の運営や経営方針について
 宮崎 当社の創業者中井治一が掲げたモットーは「改善・改良・開発」です。これからもその精神を実践していきたいと考えています。橋梁という分野を中心に据えるスタンスは崩しませんが、得意とする伸縮装置の止水・防水分野に安住せず、リスクを過度に恐れず、積極的に新しい商品や分野を「改善・改良・開発」し、橋梁全体の補修補強を行える会社として脱皮していければと考えています。
 会社の運営という意味では、積極的に各セクションを信頼して権限を分掌し、動きやすくしています。私自身は財務出身で10年前に社長に就任しましたが、技術面の詳細は分からないことも多くあります。その点では財務をしっかりと把握して健全に運営し、技術・営業部門の背後を守り、彼らを動きやすくすることが私の使命であると考えています。
 ――ありがとうございました

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