道路構造物ジャーナルNET

福岡県北東部の4路線177.3㎞の道路を管理

北九州国道 黒崎BP、岡垣BP、八木山BPなどの事業が進捗

国土交通省九州地方整備局
北九州国道事務所
所長

谷川 征嗣

公開日:2021.06.28

管内橋梁は335橋 延長25.2㎞、トンネルは9チューブ
 100m以上の長大橋が4分の1を占める

 ――次に保全についてお伺いいたします。現在の管内橋梁・トンネルの内訳は
 谷川 橋梁から申しあげますと、まず路線別では国道3号が125橋で延長13.2㎞、国道10号が111橋で延長6.4㎞、国道201号が99橋で5.6㎞の合計335橋25.2㎞となっています。
 供用年次別では335橋中、40年以上が164橋と49%を占めています。橋種別ではPC橋が最も多く164橋と49%を占め、次いで鋼橋が108橋と32%、RC橋が43橋と13%、その他が20橋と6%を占めています。
 橋長別では50m未満が202橋と6割を占める一方で、100m以上の長大橋も81橋と1/4弱を占めています。

管内橋梁の橋種別橋長割合

 次にトンネルですが、これは数が少なく、国道3号が4チューブ、国道201号が5チューブの計9チューブしかありません。最短は北九州市の国道3号八幡東区にある八幡トンネルで上下線とも120m、最長は国道201号飯塚市~田川郡糸田町にある筑豊烏尾トンネル上り線の1,544mとなっています。

健全度Ⅲは33橋と10%弱を占める
 比較的主桁や支承の損傷が多い

 ――点検を進めてみての管内各路線の劣化状況について詳しくお答え下さい(橋種(鋼、PC、RC)、部位(桁、床版、橋脚、地覆、高欄など)ごとの損傷傾向とその理由についてお答えください
 谷川 2014から2019年に行われた一巡目の定期点検では早期措置段階のⅢは33橋と10%弱になっています。橋種別では鋼橋がもっとも多く15橋、次いでPC橋が11橋、RC橋が7橋です。
 部位別では比較的主桁や支承の損傷が多くなっています。とりわけ端部からの漏水による損傷が目立ちます。主桁は鋼橋であれば端部の腐食、コンクリート橋であれば、端部のひび割れや浮き剥離などです。支承の損傷も漏水による影響や沓座の滞水などが主因で鋼材の腐食が進んでいる橋梁があります。

管内橋梁の現状


 ――同様にトンネルは
 谷川 9チューブ中、Ⅲ判定は5チューブと過半を占めます。目地方向のひび割れや乾燥収縮などによる浮きや剥離がほとんどで、地山の変状によって生じる道路軸方向のひび割れなどシリアスな損傷は確認されていません。

耐震補強 耐震性能2への対策残は53橋 2026年までの完了目指す
 橋梁Ⅲ判定は31橋に着手9橋が完了 今年度新規着手は7橋

 ――橋梁など耐震補強の進捗状況、および落橋防止装置の設置状況(全数および実施済み数)および今年度の設置予定についてお答えください
 谷川 耐震補強対象となる195橋のうち、耐震性能2への補強が完了しているのは142橋です。残る53橋は今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が26%以上の地域に入っておらず、2026年度までに順次耐震性能2への耐震補強対策を進めていきます。2021年度は国道3号水巻高架橋の支承補強工と落橋防止装置の設置、国道10号小井橋の橋脚巻立て、支承補強工、落橋防止装置の設置を予定しています。
 ――橋梁の長寿命化修繕計画にもとづいた対策の進捗状況についてお答えください。また具体的な損傷状況と補修補強内容についても例を挙げていただけましたら幸いです
 谷川 対象となるⅢ判定46橋(重複あり)のうち31橋に着手しており、9橋が完了しています。今年度の新規着手は7橋〔日吉橋(橋長28.76m、幅員10.6m、単純PCポステンT桁橋)、大膳橋上り(橋長58.3m、幅員10.80m、単純鋼鋼床版鈑桁橋)、大膳橋下り(橋長58.3m、幅員10.80m、単純鋼鋼床版鈑桁橋)、竹尾橋(橋長46.0m、幅員25.0m、単純RC中空床版橋、単純RCT桁橋)、赤間跨線橋(橋長33.1m、幅員25.4m、単純鋼非合成鈑桁橋)、第一避溢橋(橋長17.67m、幅員21.0m、単純PCポステンT桁橋)、貴船橋(橋長86.8m、、幅員24.20m、RC5径間連続(ゲルバ-)ラ-メンT桁橋)〕を予定しています。

 基本的にはひび割れ充填注入、断面修復工、防食機能の回復などを行っています。
 日吉橋については、支承に腐食箇所があり防食機能の回復として塗装塗替を行い、主桁、下部工にひび割れがありひび割れ充填注入を予定しています。

 ――鋼床版の疲労亀裂に関する詳細調査および要補強対策工について該当橋についてお答えください。加えて管理する橋梁における床版防水の施工状況(コンクリート床版を有する全橋梁に占める施工済み割合などが分かれば)、今後の施工方針、採用する工法などを教えていただけましたら幸いです
 谷川 疲労損傷の例は鋼床版のみならずコンクリート橋でもありません。床版防水については設置全数を把握していませんが、床版からの漏水が確認されたものは舗装の打ち換えと共に実施する予定です。
 ――支承取り換えや、ジョイントの取り替えおよびノージョイント化について2021年度の施工予定箇所数と取替える際の工法・種類をお答え下さい
 谷川 2021年度は予定していません。

ASRによる損傷は2橋で確認
 10号弁天橋歩道部はASRリチウム工法とシラン系含浸材を併用で対応

 ――塩害、凍害、凍結融解、アルカリ骨材反応などによる劣化の有無。劣化があればどのような形で出ているか(劣化部位やその劣化程度、面積)、またその対策工法などを具体的な橋梁などを挙げてお答えください
 谷川 ASRによる損傷が生じている橋が2橋あります。苅田町内にある10号弁天橋(プレテンホロー)では、歩道部で損傷が生じており、残存膨張の可能性もあるため、ASRリチウム工法とシラン系含浸材を併用することで対応する予定です。もう一つは豊前市内の10号新迫川橋です。橋という名前ですが、構造物としてはボックスカルバートです。躯体全体に網目状のひび割れが出ています。補修内容の検討はこれからです。

鋼桁塗替え エレクトロリムーバーなどを使用して既設塗膜を除去
 アースコートシステムも採用

 ――2019、2020年度の鋼橋塗り替え実績および2021年度の予定(橋数と面積)を教えてください。また塗り替えの際の全体的・部分的な用途でもいいので溶射など新しい重防食の採用などについてもお答えください。また、PCBや昨年の厚生労働省・国土交通省から2014年5月30日にでた文書を受けて、鉛など有害物を含有する既存塗膜の処理についてどのような方策をとっているのか教えてください。加えて、耐候性鋼材を採用した橋梁で錆による劣化・損傷が報告されている事例が出てきていますが、採用事例が何橋あり、現状どのような健全度を示しているのか教えてください
 谷川 2019年度は三萩野高架橋の桁の一部を塗り替えました。これは道路橋ではなく、北九州モノレールの桁です。2020年度は三萩野歩道橋など4か所の歩道橋を塗り替えました(元請:岡本土木)。三萩野歩道橋では塗膜剥離剤と小型IH式塗膜剥離工法「エレクトロリムーバー」と塗膜剥離剤「ネオリバー泥パックType2」を採用して塗膜を除去し、ケレン作業(2種ケレン)は、集塵機および集塵機付のディスクサンダー(自集塵タイプ『NEWアートサンダーF』)を併用して、作業を行いました。また、塗り替えの下地塗料は錆転換型の防食塗装システム『アースコートシステム』を用いています。

塗替え施工時の三萩野歩道橋


エレクトロリムーバーの施工

アースコートシステムの施工

 耐候性鋼材については、15橋で用いています。一巡目での詳細点検では全橋健全という診断結果でした。
 ――全国的に異常気象などによる土砂災害が相次いでいますが、道路に面する斜面や、古い法面などをどのように補強・補修して道路を守っていくのか具体的な事例や計画などがございましたら教えてください
 谷川 国道201号では事前通行規制区間が3区間あり、連続200mmを超える雨量が観測された場合等には通行止めを実施しています。そうした箇所をはじめ、道路防災総点検などの結果に基づき対策は順次実施しています。2021年度の工事予定箇所は今のところありません。ただし、過去に行ったモルタル吹付の劣化箇所は散見されます。また、過去法枠をしている箇所でも樹木の影響によって押し出されてしまっているような箇所もあります。そうした箇所は再度補修や再対策などを行っていきます。
 ――NETISに登録した新技術・新工法の適用やBIM/CIMの活用は
 谷川 2020年度に施工した三萩野歩道橋ではIHや塗膜剥離剤、新しい下地塗料などを用いています。
 BIM/CIMは国道3号岡垣バイパスの城山トンネルや国道201号八木山バイパスの筑穂トンネルの施工において、i-Constructionの取り組みの一環としてBIM/CIMを導入しております。

BIM/CIMのトンネルへの活用事例

 設計段階で作成したBIM/CIMモデルを活用し、トンネル施工の各段階で受発注者及び関係者間で立体的な形状情報により情報共有・合意形成を行うとともに、施工管理等における従来作業の効率化・高度化・品質向上に取り組むこととしております。
 ――ありがとうございました

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