事業区間の構造物比率は60%、工事の進捗率は61%
NEXCO中日本沼津工事事務所 5連の連続高架橋のうち3連にUコンポ橋を採用
中日本高速道路株式会社
東京支社
沼津工事事務所
所長
川上 哲治 氏
開削の用沢トンネルでは県道を切り回し
軟弱地盤のなか掘削が進む湯船原トンネル
――御殿場ICの概要と構造について教えてください
川上 国道138号御殿場バイパス仁杉JCTおよび県道仁杉柴怒田線に接続するICです。ランプはボックスカルバートとなりますので、その構築を進めていて、完成したところには盛土を行っています。御殿場ICでの盛土量は120万m3となります。
御殿場IC付近概要と施工状況(左写真・中央写真)/完成予想図(右写真)
御殿場IC施工状況
――御殿場ICから東京側の主な構造物ですが、用沢トンネルは
川上 本線がゴルフ場の脇を通過していて、側道の線形をうまく確保できなかったことから、延長180mの開削トンネルとなっています。東側、中央部、西側と3ブロックに分けて工事を進めていて、東側と西側は掘削が完了して、西側は底版の打設も進んでいます。中央部の施工では、交通量のある県道須走小山線を迂回させる必要がありました。迂回のために借地などを行い、U字型のかなり急な線形を計画しましたが自治体にも了解をいただいて、7月末に切り回しが完了しました。現在、中央部の掘削準備を行っています。
用沢地区概要と県道切り回し前施工状況
用沢地区 掘削時(奥が東京側)/東側・西側の掘削完了(奥が名古屋側<西側>)
――中央部の掘削完了予定は
川上 2019年度内を予定しています。さらに、用沢工事では小山PAの整備も進めています。
――小山PAの進捗状況は
川上 ランプ橋が2橋あり、下部工を施工中です。また、PA整備のための掘削(切土工)も全体の2~3割が進んでいます。
小山PA完成予想図と施工状況
――小山PAを過ぎると湯船原トンネルとのことですが
川上 上り線1,604m、下り線1,610mのトンネルで、沼津側から片押しで施工しています。
――掘削開始は
川上 2017年6月から下り線を、11月から上り線を掘削開始しています。
――工事の進捗は
川上 掘削は上り線が約1,000m、下り線が約1,100m完了しています。インバート打設は上り線約600m、下り線約800m、覆工コンクリートは下り線で約300mが終わっています。掘削土は本線の盛土区間に使用しています。
湯船原トンネル坑口(沼津側)
――貫通予定は
川上 2020年6月頃の予定です。
――工事での特徴は
川上 地山が富士山からの噴出物である軽石からなるスコリア層という軟弱な地盤となっています。そのため、補助工法であるAGF工法(注入式長尺先受工法)をほぼ全延長で採用していますが、先受を行っても先受の隙間から砂が出てくるような事象があり、先受の間隔を細かくするとともに本数も増やして掘削しています。間隔は当初計画2mでしたが、1mで施工しています。
湯船原トンネル施工状況(切羽)
湯船原トンネル施工状況(インバート打設/覆工)
――湧水はありませんか
川上 湧水に対しては、坑口に暫定の釜場をつくり、掘削の汚水を分離したうえで坑外に排出処理をしています。湧水がかなり増えていますので、湧水処理設備の増設等の対策を行っています。
坑口に設置された暫定の釜場
中島高架橋 鋼管コンクリート複合構造橋脚を採用
――3連の連続ラーメン橋は
川上 名古屋側から、中島高架橋(上り505m、下り481m)、柳島高架橋(上り598m、下り613m)、湯船高架橋(上り629m、下り634m)です。
3橋施工のために、工事用道路を3ルート計画して、中島・柳島・湯船工事用道路を確保しています。
3連の連続ラーメン橋の概要図
――中島高架橋について
川上 PRC7径間連続ラーメン箱桁橋で、下部工工事にはすべて着手しています。橋脚は設計段階では中空橋脚(7基中4基)でしたが、型枠や鉄筋の施工性を考慮して詳細設計段階で施工の合理化という観点から鋼管コンクリート複合構造橋脚を採用しました。
中島高架橋(下部工)
――最大橋脚高は
川上 46mとなります。
――上部工については
川上 6箇所から張り出し架設を行っていて、順次、閉合を開始しております。
中島高架橋(上部工)