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旭川開発建設部 高原大橋の架け替え、新富良野大橋の建設などが進捗

国土交通省
北海道開発局
旭川開発建設部長

樺澤 孝人

公開日:2018.05.23

管理橋梁は481橋 トンネルは23箇所を管理
 供用後50年経過した橋梁は121橋

 ――次に保全についてお聞きします。現在の管内の橋梁・トンネルの内訳を橋種別、年代別、橋長(延長)別で教えてください
 樺澤 当建設部では481橋を管理しており、橋種別は鋼橋が245橋、PC橋が172橋、RC橋が58橋、その他混合橋が6橋となっています。橋長別では15m以上が375橋、15m未満が106橋となっています。年代別では1968年以前にかけられた50年を経過した橋梁が121橋あり、次いで旭川紋別道の開通(2002年)があった1996~2005年の間に116橋が建設され、それがピークになっています。ついで多いのは高度成長期の1966~75年で106橋が建設されています。2006年以降は24橋となっています。路線別では旭川市から稚内市に至る国道40号が最も多く101橋を占めます。ついで旭川紋別自動車道(国道450号)が85橋となっています。
 一番古い橋は昭和7年供用の旭橋です。同橋はもともと中央部に路面電車が通っていた橋(旭川市街軌道、昭和31年まで)であるため、現在でも拡幅や架け替えを行わずに道路橋として使用することができています。
 トンネルは23箇所を管理しています。工法別は在来が延長別では500m未満と1000m以上が8か所ずつ、500m以上1000m未満が7箇所です。工法別ではNATMが最も多く12箇所、次いで在来工法が7箇所となっています。建設年次別では30年以上経過しているトンネルが14箇所と過半を占めています。

床版や主桁で凍害による損傷が散見
 トンネルも経年劣化による損傷が見られる

 ――点検を進めてみての管内各路線の劣化状況について詳しくお答え下さい。同様にトンネルについてもお答えください
 樺澤 管内の橋梁では橋種に関わらず北海道の特徴である凍害によるコンクリート部材の損傷が、床版や主桁で見受けられます。ただし冬季の路面凍結防止は厳寒のため、凍結防止剤よりも砂利をまくケースが多く、道内のより温暖な地域に比べ凍結防止剤散布量は少ないと感じています。
 他に伸縮装置や橋面防水の劣化により漏水が発生し、漏水が起因となった遊離石灰、剥離、鉄筋露出などの損傷が床版や沓座面、橋台竪壁に多く見受けられます。
 トンネルについては、経年劣化による、覆工本体のひび割れやうき、覆工目地部からの漏水・氷柱などが見られます。

耐震補強 対策済みは23橋
 残る橋梁は詳細調査を行い、補強の要不要を決める

 ――橋梁など耐震補強の進捗状況、および落橋防止装置の設置状況(全数および実施済み数)および今年度および来年度の設置予定についてお答えください
 樺澤 管内の要対策橋は152橋あり、そのうち緊急輸送道路上に架かる23橋が対策済みです。残る129橋のうち、緊急輸送道路上に架かる橋梁は119橋となっています。
 119橋の内、1橋で老朽化に伴う架け替え、もう1橋ではJRの廃線に伴う立体交差から平面交差化による橋梁撤去を実施中です。平成30年度の実施予定はありません。尚、要対策橋の129橋は今後、耐震補強を行うにあたり詳細調査が必要となる橋梁であり、詳細調査の結果次第で対策の要不要について判断することになります。
 ――橋梁の長寿命化修繕計画にもとづいた対策の進捗状況についてお答えください。また具体的な損傷状況と補修補強内容についても例を挙げてください
 樺澤 平成29年以降に補修対策が必要とされている橋梁は181橋有り、29年度は12橋を施工しました。主な損傷内容は、主桁の凍害、床版の凍害、防護柵の腐食、伸縮装置の破断、排水管の腐食等で、それらに対する補修として主桁断面補修、床版断面補修と防水工事、防護柵の取替、伸縮装置の取替、排水管取替を実施しています。
 ――北海道の場合、排水管が(凍結により)破裂することや、塩害によって損傷して導水が不十分になり損傷を惹起するということも起きています。NEXCOなどでは、新しい素材や補修材も導入していますが、旭川開発建設部ではどのようなものを採用していますか
 樺澤 過去より行っているため標準的であるが排水管を亜鉛メッキ仕様としています。
 また、高架橋などで橋軸方向に排水管をつなげる場合は3%以上の勾配をとることとしています。
 ――経年劣化や疲労などによる上部工補修・補強のここ3年の実績と、2018年度の施工計画について、また鋼床版の疲労亀裂に関する詳細調査および要補強対策工について該当橋についてお答えください。また、コンクリート桁・床版部においてどのような損傷がでているか教えてください
 樺澤 平成27年度からの3カ年で51橋の上部工について補修・補強を実施しました。主な工事としては床版補修21橋、橋面防水29橋、伸縮装置取替・補修30橋、地覆補修14橋などとなっております。鋼床版の疲労亀裂の該当はありません。


伸縮装置の補修

地覆の補修(WJ施工)

地覆の補修(型枠設置工)

 平成30年度は29橋を施工する予定です。内訳は床版補修が7橋、橋面防水が9橋、伸縮装置取替・補修が11橋、地覆補修10橋となっています。鋼床版の疲労亀裂の該当はありません。
 コンクリート桁、床版部における損傷については、凍害等によるひび割れ、剥離等の損傷が見られます。

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