道路構造物ジャーナルNET

大規模更新・大規模修繕関連技術中心に

NEXCO3社の平成29年度基準改定

高速道路総合技術研究所(NEXCO総研)
道路研究部 橋梁研究室長

広瀬 剛 氏

公開日:2017.08.09

素地調整1種に金属系研削材の記述を新設
 中上兼用塗料も追加

 ――次に構造物施工管理要領について塗り替え塗装の項目からお願いします  
 広瀬 まず、有害物質を含む規制塗膜の除去について、ブラストができないような箇所では湿潤化施工を基本とし、塗膜剥離剤を用いる場合は「土木研究所資料 土木鋼構造物用塗膜剥離剤ガイドライン(案)改定第2版」における安全性に関する規定を参考にすることを明記しています。


塗替え塗装に関する変更点


塗膜剥離剤による既存塗膜除去(写真は東北道綱木川橋、井手迫瑞樹撮影)

 また素地調整は1種を基本とし、ブラスト処理用金属系研削材をブラスト研削材に追加しました。今まで非金属系研削材しか掲載しておらず、遅ればせながら載せました。基準類はJIS Z 0311-2004「ブラスト処理用金属系研削材」に拠っています。また、人体に影響を与える有害物質が含有している塗膜の除去に用いた研削材は該当現場内で処分し、再利用してはならないと規定しました。

 ――金属系研削材を用いる場合は戻り錆の課題もあります。また、研削材の再利用禁止という書き方では、NEXCOでも採用例が多い循環式エコクリーンブラストも抵触するような気がしますが

 広瀬 戻り錆は湿式ブラストを用いた場合で、下フランジ上面など研削材が堆積し易い箇所において生じる可能性があります。金属研削材の再利用に関しては、別途「研削材の摩耗による素地品質低下が無いように(事前に)再利用回数を設定することを求めているものであり、むしろ素地調整の品質が保証され、廃棄物を減らすことができる金属系研削材再利用ブラスト工法を使うことは規制していません。


循環式エコクリーンブラスト(写真は西湘大橋施工時、当サイト既掲載)

 一方で、塗膜剥離剤、ブラストに関わらず、狭隘な箇所においてはどのような方法でも素地調整が困難な箇所があります。そのため、そうした個所においては作業管理項目として素地調整できない記録を求めるとともに、監督員が確認することも定めています。

 ――塗り替え塗装には中・上塗り兼用塗料の追加も含まれていますね
 広瀬 工期短縮が必要な現場があることや、厚膜省工程の中・上塗り兼用塗料(厚膜型フッ素樹脂塗料上塗)が開発され、実績が増えていること、従来の塗装系と防食性能に差がないことを確認したことから用いて良いことにしました。
 条件としてはNEXCO塗料規格P-21を満たすとともに、標準使用量はスプレーで230g/㎡、刷毛塗りで180g/㎡としています。

PC鋼材・定着具の性能項目を追加
 準拠すべき基準を明確化(JSCE E 503、JIS G 3536など) 

 ――PC鋼材・定着具の性能試験の項目追加については
 広瀬 これまで、共通仕様書9-5-2により「定着具および接続具は、予め製造業者によって行われた材料試験の成績を監督員に提出し、確認を得なければならない」としており、具体的な試験方法には言及していませんでした。


PC鋼材定着具・接続具の性能試験

 これを土木学会JSCE E 503を満足すること、と規定しました。
 さらにPC鋼材の規格もJIS G 3536に適合するものかそれと同等以上の性能を有するものでなければならない、と規定し、「同等以上の性能を有するものの具体的な規格値」として、『高強度PC鋼材を用いたPC構造物の設計指針(2011,PC工学会)』に準拠するものとしました。高強度PC鋼材にはECFストランドも包含しています。

炭素繊維シート接着工法の規定を追加
 支承取替の取替・新設について記載

 ――炭素繊維シート接着工法・支承取替の改定内容について
 広瀬 両工種について施工実態を照査し、その知見から設計計算書や施工計画書から不足部分を追加したものです。
 炭素繊維シート接着工法については、使用材料、施工上の留意点、品質管理方法および検査方法について,これまでの施工実態や検討事項を踏まえて記載しました。
 支承取替についても同様に現在までの現場における知見を反映して、供用中のジャッキアップについて交通による繰り返し荷重に対しての耐久性や支承取替時の仮受けについての安全性確認、既設支承のアンカーボルト切断方法および安全対策(ガス切断またはガウジングの採用および火花などの飛散防止対策として防炎シートなどで確実に養生する――など)、新設支承についてのフェイスプレートなどの高さ管理などの確認事項をそれぞれ記載しました。

 ――床版取替工法についての構造物施工管理要領での追加記載は
 広瀬 材料種別(コンクリート、鉄筋、スタッドジベル、無収縮モルタル)と品質管理出来型管理基準、施工について規定しました。本来はプレキャストPC床版接合部の要求性能を定める予定でしたが、根拠の作成に時間を要しており、今回は見送りました。

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