道路構造物ジャーナルNET

2017年新年インタビュー②

熊本県 道路被害額は約460億円 上益城地区と阿蘇地区で被害額の94%を占める

熊本県土木部
道路都市局

道路保全課長 長井 英治 氏/道路整備課長 上野 晋也 氏 

公開日:2017.01.01

 ――わかりました。次に震災から一端離れて、新天門橋(仮称)を中心に熊本県が進める道路整備の特徴と進捗状況を教えてください
 上野 現在は、新天門橋(仮称)を含む熊本天草幹線道路に現在取り組んでおります。同道路事業は、熊本都市圏と天草市を結び、県土の横軸となって高速交通ネットワークを形成する道路であり、県土の均衡ある発展と、天草地域の活性化を図る「90分構想」の実現に向け、地域高規格道路として重点的に整備を推進しています。


新天門橋(仮称)遠景

架設中の新天門橋(左)/と天門橋(右)

 事業延長は全長約70㌔ありまして、そのうち、熊本市から宇城市三角町間(約32㌔)は国土交通省、宇城市三角町から天草市間(約38㌔)は県で整備を行っています。
 その中で、県整備区間のうち、松島有料道路(上天草市松島町今泉~上天草市松島町合津間、約3.3㌔)を平成14年5月に、その先の松島有明道路(天草市有明町上津浦~上天草市松島町今泉間10㌔)を平成19年9月に供用済みです。
 現在、県が取り組んでいる区間としては、新天門橋(仮称)も含めた大矢野バイパス(宇城市三角町三角浦~上天草市大矢野町登立間、3.7㌔)、更に天草の本土の方では本渡道路(約1.3㌔)を進めています。本渡道路は、上島と下島を結ぶ現在の天草瀬戸大橋が、朝夕の渋滞で交通上のネックになっており、新たに第二天草瀬戸大橋(仮称)を架ける事で解消しようというもので、新たに平成25年度から着手している状況です。
 ――新天門橋(仮称)はアーチが剛結しましたね
 上野 はい。同橋は橋長463㍍、幅員が9.5㍍の鋼PC複合中路式ソリッドリブアーチ橋を採用しています。


新天門橋のパース図

 設計にあたっては大塚久哲九州大学教授(当時、現在は名誉教授)を委員長とした技術検討委員会により検討していただきました。その後、施工に際しても同様の委員会(委員長は同じく大塚久哲名誉教授)を立ち上げて、委員の方々から話を聞きながら進めているという状況です。
 塩害を考慮し、コンクリート部の鉄筋は全てエポキシ樹脂塗装鉄筋(MK-エポザク)を採用しています。また、上部工のPCと鋼の取り合い部についても様々な配慮を行っています。(編注:同橋の詳細については1月下旬の「現場を巡る」コーナーで詳細を報じる予定)
 ――第二天草瀬戸大橋(仮称)はどんな形式を採用されましたか
 上野 橋長は1,148㍍、全幅員10.2㍍、有効幅員9.5㍍の橋梁です。予備設計段階ではPC5径間連続中空床版橋(港町、153㍍)、鋼4径間連続細幅箱桁橋(本渡港渡航部、200㍍)、鋼3径間連続細幅箱桁橋(東町、175㍍)、鋼3径間連続鋼床版箱桁橋(本渡瀬戸渡航部、252㍍)、PC6径間連続中空床版橋(瀬戸町、180㍍)、PC6径間連続中空床版橋(瀬戸上町、188㍍)という鋼箱桁とPC中空床版桁橋が連続する構造を考えていますが、現在は詳細設計中です。


現在の天草瀬戸大橋

 ――現在の天草瀬戸大橋はループ橋になっていますが、今回もループになるのですか
 上野 ループ橋ではありません。海上にも橋脚を立てます。
 ――海中基礎も何か考えないといけないですね
 上野 但し、新天門橋(仮称)みたいに水深は深くありません。
航路幅などを取りながら、通常の桁橋の範囲内で、一番支間が大きなところは鋼橋になります(重量を軽くでき、基礎への影響を抑制できる鋼床版細幅箱桁を予備設計段階で考えました)。

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