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NEXCO各種要領の平成28年度改訂詳細

高速道路総合技術研究所(NEXCO総研)
道路研究部 橋梁研究室長

広瀬 剛

公開日:2016.11.01

6種類のブラスト工法を比較検討
  実橋の桁を模した試験も

 ――さて、現在まで技術基準の改定について語っていただいたわけですが、昨年のインタビュー時の宿題の1つに既存塗膜除去方法および素地調整をどうするのか? がありました。これについて研究の進捗状況は
 広瀬 現在、6種類のブラスト工法を比べて、何が良いのか比較実験を行っています。スチールグリッドによるブラスト、乾式ブラスト、ディスクサンダー、ブリストルブラスター、湿式ブラスト、レーザーブラストの6種類です。ブラスト工法は1種ケレン、その他の2工法は2種ケレン相当の性能を要求しています。


様々な工法を比較検討

 現在は各種ブラストを施工した後の下地に塗替え塗装を行い、どの程度の耐久性を有しているか、ということについて試験片による促進暴露試験を行っている最中です。素地品質はスチールグリッドによるブラストと湿式ブラスト、レーザーブラストの3種類が特に優れているという結果が出ています。特に湿式ブラストは施工後素地の塩分量が非常に少なくなるという結果が出ているほか、湿式のため塗膜剥離~素地調整までを全て施工できるというメリットを有しています。
 また、レーザーブラストも出力や施工後の熱(高出力が照射されるため桁本体に熱が残留する)という課題はありますが、これも高い塩分除去性能を有しています。
 今後は、実橋の桁を模した実物に近い条件(2㍍の試験桁)での作業性や耐久性を検証する試験も行っていきます。

塗膜剥離剤などを用いた試験も並行

 ――塗膜剥離剤工法IH式塗膜剥離工法については
 広瀬 それも並行して施工しています。基本的にはこうした工法を施工した後でブラストや2種ケレン相当の素地調整を行う必要があります。先に示した6工法同様に塗り替え塗装を行い、その耐久性について検証していきます。
 ――宇都宮大学、デイ・シイと研究を進めている孔明き鋼板ジベル(以下、PBL)と、超高強度鋼繊維補強モルタル(繊維混入率は約2.3vol.%)によるプレキャストPC床版(以下、PcaPC床版)の接合構造については
 広瀬 基礎的な研究を進めています。この構造は継手間隔が短いため耐久性に優れており、また直角方向の鉄筋を配置する必要が無いため、施工時間短縮が期待できます。現在は基礎実験や設計方法の確立などを進めています。

高性能床版防水 グレードⅡsを試験施工<
  グースアスファルト防水も選択肢

 ――既設床版への高性能床版防水の適用については
 広瀬 大規模修繕時に用いる高性能床版防水である (要求性能:4時間で300平方㍍の高性能床版防水工施工)については、試験施工を行う予定です。これについては舗装研究室が研究を進めているグースアスファルト基層による防水工(NEXCO総研、ニチレキ、鹿島道路による共同研究)も一つの選択肢としてありうると考えています
 ――一方で、大規模更新(床版取替)現場での作業時間短縮と防水工の施工品質確保のため、九州道向佐野橋のような工場で床版防水までかけて、現場では継手部の防水工と、舗装との接着工だけにするという手法の導入は考えていませんか
 広瀬 まさに現在検討しています。継手部の施工方法や施工材料、舗装との接着手法や材料、その要求性能などを研究しています。
 ――ありがとうございました

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