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保全は床版の疲労損傷、塩害対策などが主

千葉県 北千葉道路、妙典橋などまだまだ盛んな道路建設

千葉県
県土整備部長

永田 健

公開日:2015.09.16

対象207橋中204橋を対策済み
 耐震補強 今年度は2橋で施工 

 ――橋梁の耐震補強の進捗状況は
 永田 昭和55年道示より前の基準で設計した橋梁のうち、大規模な2次災害の恐れのある跨線橋、跨道橋、県境橋、および緊急輸送道路に架かる207橋について優先的に耐震補強を実施しており、平成26年度末では204橋の補強が完了しました。平成27年度は2橋で工事に着手しています。
 具体的には、(主)松戸野田線の主水大橋(橋長45.3㍍)、同線の運河大橋(564.9㍍)です。
 落橋防止装置の設置状況は207橋のうち設置が必要な52橋について完了しています。
 ――今後の耐震補強対策は
 永田 今後の耐震補強については、現在、検討を進めているところです。
 ――経年劣化や疲労などによる上部工補修補強の実績は
 永田 平成23年度から25年度にかけては12橋で補修補強を行いました。特徴的な橋梁としては勝浦大橋(PC橋、橋長229.95㍍、9径間PCポストテンション単純T桁橋)があり、同橋については塩害による損傷がひどく、PC鋼材が腐食・破断していたことから3径間ほど外ケーブルにより補強を施しています。また、塩害対策として外部電源方式による電気防食も施しています。



補修事例(勝浦大橋)

 26年度は7橋で補修補強しました。小見川大橋(鋼)では当て板補強を1橋で施工しています。他6橋はコンクリート部材の断面修復工です。
 27年度は国道295号の寺台Bランプ橋(鋼)、茂原環状線の獅子吼橋(鋼)、国道128号の洲貝川橋(コンクリート)でそれぞれ断面修復工を行う予定です。

3橋で支承、5橋でジョイントを交換

 ――支承取替えやジョイントの取替えおよびノージョイント化について平成27年度の施工予定は
 永田 支承取替えは国道356号の木下跨線橋、県道八日市場八街線の新井橋、県道鴨川富山線の紅葉橋で行います。具体的には、木下跨線橋:鋼製支承を支承板支承に50個、新井橋で鋼製支承を40個、紅葉橋でゴム支承へ12個、それぞれ取替えます。
 ジョイントは非排水化したものに順次取り換えています。平成27年度は国道356号の木下跨線橋、同号の稲荷橋、県道八日市場八街線の新井橋、国道14号の市川橋(上り)線、県道境杉戸線の関宿橋で行います。
 ノージョイント化の施工予定はありません。

鋼橋塗替えは15橋37,711平方㍍
 塗膜剥離剤を使用して除去する橋梁も

 ――鋼橋の塗り替えについて26年度の実績と27年度の予定面積は
 永田 26年度は17橋41,830平方㍍で施工しました。27年度は15橋37,711平方㍍で施工する予定です。
 ――PCB(ポリ塩化ビフェニール)や鉛を含有する塗膜の除去方法は
 永田 PCBを含有する既存塗膜の除去については。廃棄法に基づき一時保管していますが、「PCB措置法」に定められた期限までに適切に処理できるよう検討しています。
 また鉛等有害物を含有する塗膜については、26年5月30日の厚労省通知文に基づき適切に除去して行きます。採用工法としては塗膜剥離剤を使用した後に、最終的な1種ケレンのみブラストで施工しています。
 ――耐候性鋼材を用いた橋梁では一部で保護性錆ではない悪性錆がでている橋も散見されていますが、千葉県では
 永田 県内で耐候性鋼材を用いた橋梁は25橋あります。確かに一部の橋梁で部分的に層状剥離の錆が発生している箇所もあり、塗装による補修を行っています。ただ、全体で見れば、損傷は僅かと言えます。今後は定期点検の際に錆の性状など注意してみていく方針です。

要対策箇所は766箇所
 斜面・法面 442箇所で対策を完了

 ――全国的に異常気象などによる土砂災害が相次いでいますが、道路に面する斜面や古い法面などをどのように補修・補強して守っていくのか具体的な事例や計画がありましたら教えてください
 永田 過去の防災総点検や定期点検を実施した道路に面した斜面・法面4,126か所のうち、要対策箇所は766カ所あり、26年度までに442カ所での対策を完了しています。今後も残部の点検を今後5年間で進めています。
 古いモルタル吹付が多く、劣化してモルタルが落ちてくる危険がある箇所については、既設モルタルの健全部分を残して、吹付けやのり枠工などを実施しています。
 ――新技術・新材料の活用について
 永田 積極的に活用しています。特に県内企業が開発したコスト縮減につながる新技術・新材料については積極的に活用しています。
耐荷力や耐久性にかかわる新技術は、PDCAサイクルの中でLCCを算定して技術や工法を導入することを行っています。
具体的的な補修補強工法としてはカーテンネット工法のりフレッシュ工法などを採用しています。
 ――付言して
 永田 千葉県は、トンネルに顕著なように老朽化の進展が全国に比べ進んでいます。一方で北千葉道路など道路網はまだまだ整備しなくてはならず、新設・保全の両面を並行して行っていく必要があると考えています。
 ――ありがとうございました

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