道路構造物ジャーナルNET

二丈浜玉道路の2橋でASRの疑い、今年度補修工事へ

佐賀国道事務所 西九州道が進捗、有明海沿岸道路にも着手

国土交通省
九州地方整備局
佐賀国道事務所長

栁田 誠二

公開日:2015.08.11

二丈浜玉道路の2橋を耐震補強

 ――耐震補強の進捗状況は
 栁田 対象は耐震性能2(地震による損傷が限定的で、機能の回復が速やかに行い得る性能)が157橋で耐震性能3が131橋(地震による損傷が致命的とならない性能)ありますが、耐震性能3の未対策橋梁が2橋あります。その2橋はいずれも2013年に佐賀県道路公社から移管された二丈浜玉道路です。耐震性能3を2に上げるというのは今後必要になってくると思いますが、九州地整全体の方針として南海トラフ地震の影響を大きく受ける(補強を行う蓋然性の高い)宮崎・大分の国道を優先するべく補強が進んでおり、優先的に進めていく予定はありません。
 ――支承やジョイントの取り換えは
 栁田 今年度の支承取り換えはありません。ジョイントは7橋14個所で交換しますが、いずれも遊間の狭いゴムジョイントの交換です。

全橋脚で複合劣化
 二丈浜玉道路でASRリチウム工法を採用

 ――塩害やASRによる構造物の損傷は
 栁田 管内の構造物で、塩害やASRに起因する大規模な損傷は二丈浜玉道路の橋梁全体の橋脚で塩害とASRの複合劣化が見受けられます。ジョイントからの漏水もありますが、どうもそれだけではないようです。というのも対象橋梁は連続桁であり、ジョイントがない箇所の橋脚でも亀甲状のひび割れが生じているためです。調査段階でコンクリートのコア抜きを行い塩分量を測定した結果、内在塩分量が規定値を超えていました。そのため亜硝酸リチウムを高圧注入して補修するASRリチウム工法で補修する予定です。


二丈浜玉道路の(左)小浜橋、(右)浜玉橋

ASRによる損傷(左)小浜橋、(右)浜玉橋

 ――橋梁の損傷は主に水回りでおきます。そこで質問ですが床版防水の敷設率は、どのような状況ですか
 栁田 施工時の資料が残っていない橋梁もあり、すべて把握できていないのが実態です。

鋼橋の塗替えは今年度に全橋梁を調査
 鉛含有塗膜対策は今後検討

 ――鋼橋塗装の塗り替えは
 栁田 今年度は全体の橋梁の塗膜調査を行い、各橋梁で全体的な塗替えおよび部分塗替えが必要な橋梁を抽出し、来年度以降の対策を検討します。鉛含有塗膜に対する対応も検討課題です。
 ――異常気象時における災害対策について
 栁田 平成8年、18年に行った道路防災総点検で抽出した要対策個所の対策工事は今年度で完了の予定です。また、カルテ点検箇所が150箇所あり、変状が顕在化していれば要対策箇所として対策工事を実施することもあります。
 当事務所の地域的な特徴としては、佐賀県の北部に位置する伊万里市や唐津市は地滑り帯が存在しており、西九州道にはカルテ点検箇所のうち47箇所が存在します。そこも注視していく必要があります。また、新しく供用した箇所については今後のり面等の安定度調査も実施していく必要があります。
 また、国道202号の唐津市浜玉町における海岸沿いでは時折越波(波しぶき)が発生し、それが道路に達した際には道路を通行する車両や自転車歩行者等の一般交通に支障を及ぼす恐れがあります。
 このため、透光防波柵(越波対策用ポリカーボネート製透明折板)による越波対策を計画しています。この防波柵は北海道などでも使われている新技術【新技術情報システム(NETIS登録No.HK-070004-A)】です。
 ――ありがとうございました

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