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架設桁は撤去が完了、新設桁の地組も始まる

阪神高速 喜連瓜破高架橋下部工の改良作業が進む

公開日:2023.12.18

新設鋼桁の鋼床版は疲労に強い高性能鋼床版を採用
 床版上面の添接部のボルトは皿ボルトを使用

架替え桁の準備工と構造
 架替えに際してまず行うのは、柱頭部の改良である。切断した柱頭部の上面に鉄筋を継ぎ足した上で、上部に柱頭最上部と梁が一体化した鋼製梁を、550tクレーンを用いて吊り上げ、柱の上に設けた鋼製架台上に設置する。その後、RC柱と鋼製梁の接続部に中流動コンクリートを流し込み一体化させる。そして4基の支承を両脚上に設置する。


鋼製梁を架設し、コンクリートで一体化させる

 上部工の鋼床版は、高性能鋼床版を用いた。NEXCO西日本の中国道・御堂筋橋で使われたものと同様の疲労耐久性が高い鋼床版である三木千壽東京都市大学学長が中心となって開発した鋼床版である。具体的には、鋼床版の縦リブ構造として平リブを用いたスリット全周溶接構造を採用し、鋼床版厚は16mmと厚くした。また材質としてはデッキプレートにSM400、桁はSM400とSM490Y、ボルトは皿ボルト(CS10T)およびS10Tを採用している。スカーラップを無くし、スリットを設けて平リブを全周溶接することで、デッキプレートの局部変形やリブのねじりなどに伴う応力集中を抑制できる構造である。阪神高速道路管内での本格的採用は今回が初という事だ。また床版上面の添接部のボルトは皿ボルトを採用し、従来よりも舗装厚を確保しつつ、ボルトによる凹凸を解消することで舗装耐久性を向上させる構造としている。


高性能鋼床版を採用/地組された鋼床版細幅箱桁の上面/鋼床版の上部添接部には皿ボルトを採用

側径間架設 途中で移動多軸台車に桁荷重を移し、ジャッキダウンを効率化
 中央部はリフトアップして閉合

架替え桁の架設
 架設範囲の外側にある既設桁上に地組された側径間部の架替え桁は、当初はエンドレスローラーで送り出す。しかし、全送出し長を送り出そうとすると、手延べ桁が必要になり、且つその後の橋脚上でのジャッキダウンの手間が大きくなり、夜間の通行規制期間を長く取る必要が生じる。効率的な施工とするため、ある程度送り出した時点で、直下に配置した移動多軸台車に桁の荷重を移し、そのまま桁を中間橋脚まで移動させ、テーブルリフターで支承の位置まで降ろし、据え付ける手法を採用する。これにより手延べ桁を必要とせず、なおかつ桁降下作業も短くなり、規制時間も最小限にすることが出来る。


架替え桁の架設概要図

 中央部は、付近のヤードで地組した桁を移動多軸台車で、所定の位置まで運んだあと、側径間桁上に組んだダブルツインジャッキで構成される吊上げ設備と繋げてPC鋼より線で桁を引き上げ閉合する。架設時には片側を20mmほどセットバックしており、引き上げ後に20mmセットフォーして、仮締め、本締めを行う。

直下の瓜破交差点に配慮して桁下に常設足場を採用
 足場内は内面と総計にして防食コストを軽減

防食
 架け替えを行う高架橋の直下は近畿有数の交通量を誇る瓜破交差点である。そのため、規制下での塗装塗替え作業はなかなかできない。そのため、桁を覆うように常設足場を設置することで桁下を規制する塗替え作業を最小限にするように工夫している。また足場内は内面塗装系とし、防食コストを縮減している。高欄や張出し床版部などどうしても常設足場で覆えない箇所のみ、通常の重防食塗装とした。

 元請(設計・製作・施工)は大成建設・富士ピー・エス・エム・エム ブリッジJV。本記事の内容の一次下請はティ・ビー・シー・ダイヤモンド、コンクリートコーリング(撤去工)、喜多重機興業、盛起建設、平野クレーン工業(クレーン工)、宇徳(移動多軸台車)など。

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