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波形鋼板ウェブラーメン箱桁、リブ付き床版構造を採用

NEXCO西日本 新名神大戸川橋ほか2橋の現場が最盛期

公開日:2023.11.08

中間横桁には高流動コンクリートを採用
 最大圧送距離は150m スランプ15cm±2.5cmで筒先設計

コンクリートの工夫
 主桁内部の中間横桁(隔壁部)は、ケーブル貫通孔の配置が多く、コンクリート打設孔の設置も限られることから、充填不良による豆板、落下高さに起因する材料分離を防止すべく、自己充填に優れる高流動コンクリートを打設が困難な隔壁部(ケーブル貫通孔を作る必要がある)に使用した。一般部については、50N/mm2の配合とし、さらに柱頭部については普通コンクリート、床版張出し部については早強コンクリートなどと使い分ける。柱頭部であっても上床版部や張り出し拡幅部分は膨張コンクリートを使用している。


床版コンクリートの配合詳細図(現場で井手迫瑞樹撮影)

 課題はまずコンクリート圧送だ。一部の場所には桟橋があり、ポンプ車の筒先が届く箇所はそのまま筒先を入れて施工する。しかしコンクリートの打ち上げは一番高い箇所では約85mにおよび、さらに水平距離がある箇所は80m程度の配管圧送を行わなくてはならない。即ち最大圧送距離は約165mに達するため、高性能混和剤を使いながらも、圧送スランプロス2cmを見込み、筒先でスランプ15cm±2.5cmの設計とした。そのため桁下で筒先を見越した試験をする時は、スランプ17cm±2.5cmで管理し、打設を開始した。


(上左)スランプ17cm±2.5cmで管理/(上右)2系統圧送管
(下左)コンクリートの打ち上げは一番高い箇所では約85mにおよぶ/(下右)水平距離がある箇所は80m程度の配管圧送

 また、圧送に用いるコンクリートポンプ配管車は、下部工同様ブツマイスター(BSF2110HP(S-MOLI))を使用した。最大吐出圧22MPa(同吐出圧時の吐出量69m3/h)の能力を有する超高圧のポンプ圧送車で、下部工はブームを使用して圧送するタイプを使用したが、上部工は高さ、圧送距離とも下部工の上をいくため、橋脚に取付金具を設置して、柱頭部施工時の足場とつなぎ、その足場に沿って配管を繋いで圧送する方式(元配管タイプ)を採用している。

打設品質の確保
 上部工は橋脚の頭部約5m部分と、箱桁の上下および張出し床版部のコンクリートを打設する。頭部の5m部分を打設するのは仮設で設けるPC鋼材の削孔および設置に必要な高さが5mであったからだ。脚頭部,柱頭部を施工後、ワーゲン施工時は、左右の波形鋼板ウェブを設置して、コンクリート下床版(約500mm厚)を打設し、上床版(約300mm厚)を打設していく。その際のリブ付き床版の採用については先述の通りだ。
 柱頭部は剛結部付近がマスコンクリートとなるため、柱頭部は桁部分11mを1ロット当たりの高さ3mで打設していく。打設時のリフト高は500mmとし、打設箇所により様々な種類の口径(φ30、φ50など)の棒バイブを用意して締固めを行った。挿入深さは、レイヤー高+100mmほどで、挿入1回あたりの時間は15秒程度を目安として施工している。
 また、張出し部コンクリート打設において、予め2系統の打設配管を設置することで、配管段取り替え(時間ロス)による配管内でのコンクリート硬化を無くし、コンクリート打設時の性状を確保している。

桁端の伸縮装置にセットバックジョイントを採用
 一部でエポキシ樹脂塗装鉄筋

水回りおよび防食
 大戸川橋本線上下線およびB、Cランプ橋では全て、橋梁の桁端の伸縮装置にセットバックジョイントを採用している。伸縮装置部を橋台側にずらして(セットバック)設置し、パラペット天端の排水溝から排水することで桁端部や支承の劣化を抑制できるようにした構造である。「同構造は伸縮装置の直下に入ることが出来るため、劣化状況を直接目視点検することや、土砂の清掃などが可能で維持管理しやすい構造となっている。さらに排水溝が伸縮装置からの突発音を受け止めるため、防音の副次的な効果も期待できる」(三井住友建設)。


排水装置詳細図(現場で井手迫瑞樹撮影)

 防食面では、壁高欄立ち上がり鉄筋など、中長期に渡って鉄筋が露出する箇所には防錆処理を実施する。また、壁高欄など、被り厚が薄くなってしまう可能性のある鉄筋については、一部でエポキシ樹脂塗装鉄筋を採用している。

 現在は、上り線、下り線およびランプ部のすべての架設が最盛期を迎えている状況だ。

 橋梁名はすべて仮称。

 設計・施工は三井住友建設・川田建設・極東興和JV。一次下請はササイヤマト(PC工)、西和工務店(同)、岡田鉄筋工業(鉄筋工)。スガナミ(PC工)。

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