道路構造物ジャーナルNET

自走多軸台車で桁を運搬して550t吊クレーンで施工

阪神高速道路 海老江JCTで淀川左岸線(2期)本線橋の桁を夜間架設

公開日:2023.01.25

 阪神高速道路は、1月12日深夜から13日未明にかけて建設を進めている淀川左岸線(2期)の海老江JCT本線橋の桁架設を行った。都市部特有の狭小なヤードで地組ヤードも限られていたことから、架設桁を積載可能荷重250tの自走多軸台車(6軸)で運搬し、550t吊オールテレーンクレーンで架設したものだ。

桁長25mの橋桁を架設 供用部と2期の本線部橋桁がつながる
 夜間通行止め日数を減らすため、自走多軸台車での桁運搬を採用

 同日に架設したのは、橋長303mの本線橋(3+3径間連続非合成箱桁橋(3BOX))のうち、供用済みの淀川左岸線(1期)本線側始点からJ3までのG1桁で、桁長約25m、桁幅約2.5m、桁高約2.2m、鋼重58.1t(吊荷重65t)であった。同社では、本架設を含め9日から6夜間連続で始点からJ6までの6ブロックを架設しており、これにより供用部と2期の本線部橋桁がつながった。


海老江JCT概要図/架設現場概要図(阪神高速道路提供)と架設前状況(大柴功治撮影。以下、注釈なき場合は同)

 施工は、21時過ぎに架設箇所の下を通る大阪市道高見第3号線とJ6側でT字形に交差する同高見第1号線および同淀川南岸線を通行止めにした上で、高見第3号線上に550t吊クレーンを移動させて設置後、カウンターウエイトを195t搭載した。連続架設ではあったが、街路上にクレーンを設置するため、架設ごとにその作業を繰り返している。


架設工程図(阪神高速道路提供)

カウンターウエイトの搭載

 自走多軸台車による桁の移動は23時50分ごろから開始。事前に海老江下水処理場内の地組ヤードから市道淀川南岸線の手前まで移動させておいた桁は、自走多軸台車で10分程度かけて約100m運搬して架設のための所定位置に到達した。自走多軸台車による桁運搬を採用したのは、「3ブロック分の運搬が可能である」(阪神高速道路)ことに加えて、街路の夜間通行止め日数を減らすためだ。「自走多軸台車を使用しない場合は、高見第3号線の中央分離帯上で地組をしなければならなかった。その際には地組時にも夜間通行止めが必要になった」(施工者のMMB・横河・宮地JV)からである。



自走多軸台車(6軸)による桁の運搬

架設桁とAランプの離隔は1.5m
 始点側の遊間は250mm 始点側に桁を100mm押してJ3側に隙間をつくる

 玉掛け作業後、0時30分ごろに地切りして10分後には吊上げを始めたが、狭小なスペースでの架設作業となったため、慎重な作業が求められた。桁を橋軸方向の位置のまま吊上げて落とし込むことができなかったため、吊上げ後は桁を反時計回りに約45°回転させて、一定の高さとなってから今度は時計回りに回転させながら横移動していき、桁を所定の位置におさめていった。その際、架設桁と供用中のAランプの離隔が1.5mしかないことから、安全対策として桁上に設置したチルホールで惜しみを取って桁の想定外の挙動を抑えている。また、始点側の遊間は250mmとなっていたが、J3側は遊間がなく添接板が突き出ていたため、始点側に桁を100mm押してJ3側に隙間をつくって架設作業を行わなければならなかった。


玉掛け作業後、地切りして吊上げを開始した


桁を回転させながら所定位置に移動させていく

 道路上から作業を見ていると、架設済みのG2桁やG1桁(J3~J6)のJ3側の添接板に架設桁の添接板が触れていると思えるほどで、作業員が桁位置を確認しながら微調整を繰り返していた。
 1時40分ごろにはJ3側の仮添接を始めた。仮添接はボルト本数の1/3以上とし、始点側は支承固定を行った。その後、クレーンが退出して5時10分には通行止めを解除した(協議上の規制解除時間は6時)。


添接板同士が触れ合うほどのギリギリの作業が要求された

吊上げ開始から約1時間後には仮添接を開始した

 海老江JCT部の工事では本線橋のほか、左岸線2期と阪神高速3号神戸線を接続するBランプとCランプ、および左岸線2期と一般道をつなぐ北出路を建設する。鋼桁部の総重量は5,636tとなる。あわせて、本線橋とBランプの鋼製橋脚(879t)も構築した。2022年末時点の工事進捗率は38.6%だ。


海老江工区鋼桁及び鋼製橋脚工事 主要工事数量(阪神高速道路提供)

 本工事の桁製作・施工は、MMB・横河・宮地JV。一次下請けは、平野クレーン工業(クレーン工)、植田建設工業(架設工)、ミック(自走多軸台車工)。

【関連記事】
阪神高速大阪建設部 淀川左岸線(2期)、同延伸部の建設にまい進

ご広告掲載についてはこちら

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム