道路構造物ジャーナルNET

鉄道橋2橋が崩落、道路橋は中小河川で被災

令和4年8月豪雨 福島・山形・新潟の被災現場を歩く

公開日:2022.08.30

2日目 再び大巻橋、JR米坂線小白川渡河部の現場に

 翌日、再び大巻橋、JR米坂線の小白川渡河部の橋梁現場に行く。見る場所を変えて荒人神社の方から見ると、大巻橋の惨状が分かる。川の流れに沿って湾曲する左岸側がアプローチの道路も含めて大きくえぐれている。しかし、右岸側も損傷が大きくおそらく溢水したことが分かる。川の流れに沿った水衝突を繰り返しながら、JR米坂線の小白川橋りょうに至ったのだろう。小白川橋りょうはおそらく濁川橋梁と同様に橋脚の洗堀が先行して生じて桁が落ちたものと考えられるが、左岸側の径間は倒れているだけで、右岸側の径間は下流に流されているという桁の流れ方の違いが、災害時の水の流れ方を想像させる。大巻橋では、車で走行中の人が巻き込まれ、行方不明との報道、無事を祈る。

 これらの橋はもはや橋だけ復旧するという事は難しいのではないか。河川の拡幅や堤防高を上げるなど、河川流量の抜本的な再設計を行ったうえで橋をかける必要があると記者は考える。


大巻橋の落橋状況

大巻橋はコンクリート製の橋梁だった(左)/左岸側の橋台部は盛土が流失どころか隣接する建物の杭が露出していた(中)/
右岸側の橋台? は倒れていた(右)

大巻橋の下流、左岸側は水が堤防を越えた様だ

置賜白川右岸から見たJR米坂線の小白川橋りょう

 国道113号を西走し小国町に向かう。小国町では種沢の滝ノ沢(荒川支流横川の支流)で同沢を渡河する橋梁の下流において護岸が損壊していた。


堤防の損壊状況

新潟県関川村 県道273号上野原橋 桁が崩落

 更に国道113号を西走し、関川村へ。関川村周辺でもおそらくは国道まで溢水した形跡があちこちに残っている。国道113号を楢木新田付近で右折し、新潟県道492号を走って荒川沿いを見ると、鷹の巣温泉付近の堤防が崩れ、旅館の一部が損壊していた。再び国道113号に合流し、西走する。目的地は小見橋周辺である。


国道113号は一部で片側通行が続いていた

鷹の巣温泉付近の堤防が崩れ、旅館の一部が損壊していた

 小見橋も渡河部は損傷がなかったが、左岸部の国道を跨ぐアプローチ橋は左岸側の橋台に隣接する盛土部分が少し壊れていた。小見橋を渡り右折してすぐのところにある吹ノ沢橋(その名の通り吹ノ沢という沢を渡る橋だ)は、これも左岸側橋台背面の道路がえぐれていた。右岸側橋台背面も一部で穴が開いていた。


吹ノ沢橋の橋台背面損傷状況

同橋の上下流の状況と左岸側の橋台背面の損傷状況

 更に県道273号を北上し、太田沢川に架かる上野原橋に向かう。ここも橋梁の損傷が報じられていたところだが、現場に行くと橋軸方向に拡幅した下流側の桁? が完全に落ちていた。落ち方を見ると、右岸側の損傷が卓越している。川の線形的には左岸側に湾曲しているが、右岸側にサグがある高低差のため、こうした損傷になってしまったのだろう。


太田沢川に架かる上野原橋の落橋状況

 国道113号を西走し、同村土沢で国道290号に左折、道路の損傷が報じられた胎内市夏井に向かう。夏井の千本桜が有名な箇所だ。ここでも胎内川に沿った道路の一部が崩れ応急復旧を急いでいた。
次いで同市内の中条小学校近くの小河川を跨ぐ橋梁でも今回の豪雨で損傷が生じていたことから、その補修のための測量が行われていた。


胎内川に沿った道路の一部が崩れ応急復旧を急いでいた/中条小学校近くの小河川を跨ぐ橋梁でも損傷が生じていた

新潟県村上市 国道113号春木山交差点付近の大沢川では河道が閉塞し土砂が一面に堆積

 最後に向かったのが村上市春木山である。中条から国道7号を北上し、十文字の交差点で国道113号を右折して、2つ目の交差点にある春木山付近は、国道上にあった土砂流木こそ、きれいに片付けられていたが、春木山大沢川の上流は堤防が大きく損壊し、河道は途中で閉塞、行き場を失った水が溢水し、元あった道路を横過して別の川筋を作っていた。閉塞は国道を超えた下流まで続いている。うんざりするほどの損傷である。ここで本NETの取材は時間切れとなった。

 


村上市春木山付近の被害状況

自国の河川、道路、鉄道を守るための投資を
 ローカル線はリニューアル事業が必要

 記者は2009年の佐用水害(兵庫県西・北部豪雨、平成21年台風9号)から、こうした豪雨による被災を取材しているが、近年はほぼ毎年である。またか、の感は否めない。大規模河川より問題は中小規模の河川である。早期避難により命は助かるであろう。しかし、その後の生活再建の苦難を考えると、この水害で大切な家屋や仕事場、農地を失った人々の悲しみを考えると、遣る瀬無くなる。予算がない? 我が国はどれだけのODAを他国にだしているのだろうか。2021年の暦年ベースでは2兆円弱に達している。

 他国のインフラを充実させることが悪いとは言わない。しかし、自国の河川や道路、鉄道が毎年損壊し、多くの市民が困窮する現状を鑑みれば、今、どこにより投資するかは明確であるはずだ。地球温暖化による降水量の現実に合わせた堤防のかさ上げあるいは河床掘削、河川拡幅による流量の拡大、橋梁の取捨選択と防災面を考慮した架替えが必要だ。また、鉄道のローカル線における被災は道路橋に比して多い、古い形式であり径間長が短いことから河川内橋脚の数が多く、したがって河積阻害率の多さによる被災や洗堀による損傷がどうしても起きやすい。こうしたローカル線の既設橋梁の補強や架け替えも喫緊の課題といえるが、ローカル線においてはできれば駅の取捨選択とそれに伴い路線線形を整えて構造物を再配置する高速道路のようなリニューアルを施し、防災能力の向上と高速化を両立させること。必要なのはこうした施策ではないか?
 このままでは今年の残る期間も被災地域は増えるであろう。来年もまた、こうした取材が必要になるであろう。政治が動かねば地域の困窮も深まる。政治には対症療法だけでなく抜本的な対策を望みたいものだが。(取材=大柴功治、井手迫瑞樹、文=井手迫瑞樹、大柴功治)

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