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人力で動かせる仮設屋根、クレーン・撤去・運搬・架設業者を統一化

NEXCO中日本 北陸道庄川橋 床版取替現場を効率化

公開日:2020.09.01

施工上の工夫
①作業上屋

 作業時に熱中症や風雨による影響を小さくするための簡易上屋は、他の現場でも使われている。しかし、上屋を動かすためにはクレーンが必要であり、その間、撤去・架設の時間が削られた。庄川橋では床版の撤去・架設に使うクレーンの稼働率を上げるため、クレーンを使わずに上屋の移動ができないか研究し、足場上にレールを設置し、人力で移動できる簡易上屋を開発した。ブレーキは外側の支保工上の3S(クサビ式足場)の楔を利用しており、風対策はレバーブロックで把持することにより吹飛びを防止している。最大で長さ16m×幅12mに対応できる。アコーディオン構造になっており、風が激しい時は6m弱まで縮め、浮き上がりの面積を少なくして吹飛ばされたりするのを避けることができる。

作業上屋の図と設置された作業上屋

足場上にレールを設置し、人力で移動できる(井手迫瑞樹撮影)

 開発は川田建設が主導し、テントメーカーと打ち合わせをして、オーダーして製作した。現場での架設は骨組みを人力で組んでいき、最後にテントをかぶせて完成させるもので、2日間で組み立てることができる。クレーンを使う期間は最小限にでき、少なくとも作業中止基準風速である10m/sでは吹き飛ばない。重さは3.4t程度で、作業完了後はすぐにクレーンで撤去できる。レールは全橋長にわたり設置し、架設が完了した部分を順次撤去した。庄川橋では、P8~A2、P5~P8とも簡易上屋の中で、撤去・架設以外のケレンや防錆など床版上面の作業を行った。雨や風の影響を少なくでき熱中症対策としても有効で他の現場でも積極的に活用する方針だ。

作業上屋内部での施工状況(井手迫瑞樹撮影)

②床版の上のフィルムシート
 同社では現場作業中の床版上面の養生について、今までもブルーシートや3Mシートを活用していたが、今回は透明のフィルムシートを使っている。工場でフィルムを張り付けて運び架設しているもので、施工中の埃が全くつかないため、その後の床版防水などの後工程がスムースに施工できた。

床版上面には透明のフィルムシートを張り付けたまま施工した

床版防水・舗装、塗装
 床版防水は延長床版にも施工。床版防水はノバレタンESを採用。舗装FB13基層と高機能舗装Ⅱ型。床版防水は5日、舗装は5日を要した。また排水設備の設置を行い、今後検査路と塗替え塗装の施工を予定している。塗替え塗装は昨年度に床版取替を行った和田山橋で3,000㎡弱の塗替面積である。塗膜除去工法は塗膜剥離剤(リペアソルブSまたはネオリバー泥パックTypeⅡ、いずれも水系)を用い、最後にブラストで素地調整を行う予定。


床版防水工および舗装工の施工

床版防水工および舗装工の遠景

足場
 足場はクイックデッキと3S(クサビ式足場)、セフテージを採用し、現場の安全性と作業効率の向上を図っている。

足場はクイックデッキと3S(クサビ式足場)、セフテージを採用(右写真のみ井手迫瑞樹撮影)
 一次下請は、今井重機建設(足場、クレーン、撤去、架設)、第一カッター興業(カッター)、鹿島道路(延長床版床掘、防水・舗装)、根尾建設(延長床版型枠・鉄筋・打設)。

庄川橋遠景(井手迫瑞樹撮影)
(2020年9月1日掲載)

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