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交差道路の市道を活用して床版を搬出入

NEXCO東日本 道央道 勇払川橋で床版取替工事

公開日:2018.11.13

上フランジ上面の塗装にゴムラテコーティングを採用
 床版製作時に後埋め部が表面に露出しないように工夫

 既設床版の撤去は、吊孔とジャッキアップ用、壁高欄切断用のコア削孔を行い、壁高欄をワイヤーソーで橋軸直角方向に切断した。その後、床版をダイヤモンドカッターで橋軸方向2.0m×橋軸直角方向5.83m(重量8.2t)に切断し、30t×4台の油圧ジャッキで桁から剥離し、220tクレーンで吊上げ撤去した。1日あたりの撤去枚数は12枚で、合計130枚におよんだ。
 コア削孔と切断は夜間に作業を行っているが、照明をエンジン搭載の投光機ではなく契約電力設備から配線した設備にすることによって、十分な作業照度を確保した。


既設床版の切断ライン

床版および高欄の切断

220tクレーンによる床版撤去

市道上の130tクレーンによる床版撤去(大柴功治撮影)/夜間照明設備

 床版撤去後は上フランジ上面のケレンを行い、塗装にはゴムラテコーティング(太平洋マテリアル)を試験施工を行ったうえで採用した。ゴムラテコーティングは、有機ジンクリッチペイントと比較すると乾燥時間が約5分の1と早く、床版架設までの時間短縮を可能にした。また、PC床版と鋼桁の一体性確保と鋼桁の防錆という課題も同時解決している。


ゴムラテコーティングの塗布状況

 新設床版は橋軸方向1.67m×橋軸直角方向11.65m(重量11.2t)、厚さ220mmで、1日あたり6枚(合計65枚、面積1,264㎡)の架設を行った。プレキャストPC床版は日本高圧コンクリートの栗山工場で製作し、床版と壁高欄の接合部に路面水が入らないようにするために地覆立ち上がり部50mmを一体化している。


床版の架設① 市道から搬入を行った

床版の架設②

 PCケーブルの切断でも工夫をしている。通常、床版端面を型抜きしてPCケーブルを切断するが、切断後に型枠をつけて再打設を行うため、時間と手間がかかるうえに、再打設部(後埋め部)が脆弱になる可能性がある。そのため、今回の製作では端面手前を削孔してプラスマ切断機を使用してPCケーブルを切断。その後、無収縮モルタルを充填している。後埋め部を表面に露出させないことで、作業の省力化と品質向上を図った。


プレキャストPC床版製作時の工夫

場所打ち面積は500㎡、鉄筋はエポキシ樹脂塗装鉄筋を使用
 EMC壁高欄の採用により壁高欄は17日で施工完了

場所打ち部と壁高欄の施工ほか
 継手部は標準のループ継手を採用した。間詰めコンクリートの打設幅は1箇所あたり下幅330mm~上幅350mmで施工している。斜角が約70°となっているA1とA2側端部と伸縮装置があるP2 両側は場所打ちで施工し、その面積は合計で約500㎡となった。間詰め部と場所打ち部のコンクリートは早強コンクリートで、強度50N/mm2、スランプ12cmとした。継手部と場所打ち部の鉄筋は耐食性向上のためにエポキシ樹脂塗装鉄筋(AG-エポキシバー)を使用している。


継手部と場所打ち部(大柴功治撮影)

 壁高欄はプレキャスト壁高欄であるEMC(Easy Maintenance & Construction)壁高欄を両側に採用した。架設と間詰めコンクリート打設を追いかけるように、60tクレーンで標準サイズ4mのブロックを1日あたり20m設置していった。設置翌日には底部と部材間、切欠部に無収縮モルタルを充填するという工程を繰り返し、17日で施工を完了させた。プレキャスト壁高欄の採用により、型枠組立が不要になり、また追いかけ施工が可能になったことから、場所打ちでの壁高欄施工に比べて約3分の1の工期短縮を実現した。
 EMC壁高欄と床版側面の接合部には、耐久性を向上させるために表面被覆材を塗布(RTワンガード工法)している。


EMC壁高欄の施工

 床版防水は高性能床版防水工法(グレードⅡ)を採用し、ニチレキ「HQハイブレンAU工法」で1,544㎡に施工した。北海道支社管内では10月16日から雪氷対策期間となるため、囲いを設置して施工した。舗装は、基層が橋梁レベリング層用混合物(FB13)、表層は高機能舗装Ⅱ型としている。
 上り線の床版取替は2019年度以降に施工する予定だ。


床版防水工の施工

施工完了

 元請は日本高圧コンクリート。一次下請は三和重機(クレーン)、第一建興江島(カッター)、源架設、大北土建工業(床版架設)。
(2018年11月13日掲載 大柴功治)

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