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床版取替に初めて縦締めPCによる緊張工を採用

NEXCO中日本金沢支社 北陸道太田高架橋を大規模リニューアル

公開日:2018.09.27

床版は高欄と一体化した構造を採用
 縦締め緊張により間詰部を28mmまで極小化

 床版は壁高欄と一体化した構造とし、壁高欄の現場打ちや別途プレキャスト製品の据え付けを不要とした。1径間ごとにコンクリート床版をPC鋼材(φ21.8mm、外径42.5mm、スープロストランド)で縦締め緊張しているが、緊張は前後にラップを作り、全床版に均等に行き渡るよう施工している。


P1~P3径間PC鋼材配置図

 縦締め緊張を取り入れることによって、前述のように28mmまで間詰め部を極小化し長期耐久性の向上に寄与できるほか、間詰めコンクリートの現地プラントからの供給を最小限にでき、鉄筋の配筋作業も減らすことができ、作業工程を概ね1週間程度短縮できた。本橋はほぼ直橋(P1側斜角あり)だが、「曲線が入っていたり斜角があっても、多少であればパネルの形状やPCの配置を工夫することで対応は可能」(中日本高速道路)としている。


緊張作業

間詰部は28mmしかない

 床版や壁高欄どうしの間には28mmの隙間があるが、床版に配置したシースにPC鋼材を挿入して縦締め緊張後、シースに超低粘性型PCグラウト(太平洋ハイジェクター)を入れることで一体化した。床版の継ぎ目部としては非常に小さいと言える。グラウト充填に際しては、広帯域超音波探査法(エッチアンドビーシステム)を用いてしっかりと確認した。
 イニシャルコストは縦締めPC鋼材を使用する分などが追加となるが、「工程短縮による社会的コストや長期耐久性の向上を考えれば、ライフサイクルコストは縮減できるのではないだろうか」(中日本高速道路)としている。プレキャストPC床版パネルは全部で82枚あり、記者が現場を取材した6月22日には既に63枚の設置を完了していた。全ての床版の撤去および設置は13日間で施工を終えた。
 実際の1日の作業工程は、10時半頃から18時頃にかけて250tオールテーレンクレーンを使って既設床版を撤去し、18時頃から翌朝7時頃まで新設床版取り付け前の準備工を行う。夜間にバリ取りなどの施工が出来たのは、周囲が田畑で占められ、民家がほとんどないため。そして翌朝7時頃~10時半頃まで新設床版の架設というサイクルを繰り返した。


工程表

 床版の架設が終了した後は、PCの縦締めを行い、高性能床版防水工(GⅡ、HQハイブレンAU工法)を吹付け施工した。施工面積は約1,700㎡。その後基層、舗装を敷設し、7月10日に対面通行規制を解除後、7月13日に交通開放した。


床版防水および舗装敷設

 今後は、鋼桁の塗り替え(約4,600㎡)をⅠ種ケレンによる施工する予定。既存塗膜は鉛を含むため塗膜剥離剤を使用する予定である。福井国体および障害者スポーツ大会(2018年9月29日~10月9日および10月13日~10月15日)や冬季休止期間があるためタイトな工期となっている。
 元請は前田建設工業、一次下請はクレーン・架設工が野田クレーン、舗装が辻広組。足場はSKパネルを採用した。

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