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床版取替工事ではNEXCO中日本として初めて床版架設機で施工

NEXCO中日本 小田原厚木道路 川端高架橋で床版取替

公開日:2018.07.31

架設機で安全に床版架設
 1パネル架設時間は約40~50分

新設床版の架設
 新設プレキャストPCパネルはIHIインフラ建設の滋賀工場で製作し、コンクリートの品質向上のために、コンクリート保水養生テープを蒸気養生完了後に設置して、材齢28日間以上の長期封鎖養生を行っている。また、地覆立ち上がり部110mmまでを一体化して製作している。
 新設床版の架設は一般的には大型クレーンを用いて行われるが、施工現場は路肩が狭く民家が近接しているため、旋回半径の関係上、クレーンでの施工では本線外側への安全確保という点で制約があった。同時に、床版が撤去された状態で主桁のみでの重機による荷重負担という課題もあったため、床版取替工事ではNEXCO中日本として初めて床版架設機を採用した。


施工現場と床版架設機(撮影:大柴功治、以下、(*)も同)

 標準パネルのサイズは橋軸方向1.8m×橋軸直角方向8.78m(重量8.4t)で、小田原市内の仮置きヤードからトラック運搬されてきたパネルを120t吊クレーンで吊上げ、床版架設機荷台部へ積み込む。架設機は桁上に敷設されたレール上を8m/分で移動して、1パネルを約40~50分、1日に6~7パネルを架設していく。「架設機の前方への転倒を防ぐためにパネル設置時のバランス保持と、レール移動時の確実な走行性確保に留意」(NEXCO中日本)して施工した。6月10日にP13(小田原本線料金所)側から架設を開始して、パネル総数58枚を6月19日までの10日間で完了させた。



架設機はレール上を8m/分で移動し、所定位置に到達したら慎重に架設していく(*)

新設床版架設完了

間詰め部コンクリートは自動給水装置による湿潤養生を実施

間詰め部と壁高欄など
 継手部は標準のループ継手を採用。間詰めコンクリートの打設箇所は54カ所で、1箇所あたりの打設幅は上幅390mm、下幅310mmとなっている。コンクリートはPC床版と同じ強度50N/mm2で、スランプ12cm、工期短縮のために早強ポルトランドセメントを使用している。


継手部と地覆立上り部(*)

壁高欄配筋

 間詰め部コンクリートのひび割れ防止対策として自動給水装置による湿潤養生を行う。これは水搬送シートをコンクリートの上に敷き、湿度80%RH以下になったことをセンサーが感知すると、自動的に水タンクから養生水が給水されるというもの。



間詰め部コンクリートの養生。下左写真は自動ポンプと水タンク

 P9~P13各径間端部(総面積107㎡)と壁高欄も場所打ちとなる。壁高欄は強度30N/mm2のコンクリート(スランプ12cm)で打設し、間詰め部と同じ早強ポルトランドセメントを使用する。
 鉄筋は、場所打ちとなる部分はエポキシ樹脂塗装鉄筋(AG-エポキシバー)を使用している。


床版取替完了

 床版防水は高性能床版防水工法(グレードⅡ)を採用し、HQハイブレンAU工法を用いて、907㎡に施工した。舗装は、基層がFB13、表層が高機能Ⅰ型となる。
 足場は設置が安全に早く可能で、設置後も隙間が少なく安全性が高いことから、パネル式足場(SKパネル)を採用している。

 なお床版取替工事にともない、死荷重の増加およびB活荷重への対応として主桁補強工を施工している。上フランジ部に補強フランジを、ウェブ部に補強水平補剛材を、下フランジ部にPC外ケーブルを、それぞれ取り付けるものである。


主桁補強構造一般図と床版取替完了時の状況

 元請は、IHIインフラ建設・IHIインフラシステムJV。協力会社は、野田クレーンなど。
(2018年7月31日掲載 大柴功治)

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