道路構造物ジャーナルNET

床版などを全面取換

歴史的名橋「九年橋」をリニューアル

公開日:2014.10.16

補強に用いた水平補剛材が腐食を招く
全体的には歩道部に隣接する外桁の劣化が顕著

 2点目は桁の補強状況の違いである。2主鈑桁部は耐荷力を増すため、以前の補強の際に断面強度を増すため水平補剛材を上下2箇所の延長方向全体に溶接で取り付けていた。


著しい腐食を招いている水平補強材部

これが地覆・高欄もしくは床版に生じた貫通ひび割れを伝って供給された水によって補剛材の上部に溜り、著しい腐食を招いている。同様の症状は2主鈑桁の下フランジ上面や主桁内側に配置されている3本の縦桁にも見られている。
 3点目は漏水である。1つは自歩境界部からのもの。九年橋の歩道部は昭和40年に拡幅されたが、継目部の手当てがなされておらず、同部分からの漏水が下流側外桁部にかかり、歩道部が庇のような役割を果たしたため、上流側の外桁と比較して湿潤状態が維持され、結果として腐食が進行したと考えられる。


漏水により損傷した自歩境界部

もう一つは単純桁のためジョイントが多く、止水構造化してなかったこと。ジョイントの目地から水が漏れ腐食していることが分かる。


               桁端部の損傷状況①                桁端部の損傷状況② 

 また、支承は古いプレート沓のまま代わっておらず、ジョイント部からの漏水が原因と見られる腐食が進行していた。

水平補剛材は一部を除いて撤去
桁は右岸側9径間、左岸側8径間をそれぞれ連結

【補修・補強・更新】
 このような損傷状況に対応するため、腐食や孔食による断面欠損が生じている個所については鋼板接着もしくは損傷範囲を切り取り新たにボルトなどで鋼板を添接する。2主鈑桁部の腐食を招いていた水平補剛材は、一部を除いて取り除き改めて鋼板接着で補強している。また、4主鈑桁部では構造的に必要なく防食面ではむしろ阻害要因になる上面の対傾構を全て取り除いた。


               当て板補強①                当て板補強② 

 また、桁は右岸9径間分と左岸8径間分を連続化し耐震性や曲げ応力に対する強度を向上させた。それに伴いジョイントは現在の18箇所から一気に3箇所(P9とA1,A2)へ減り、支承も橋脚1個所辺りの数が半減(2→1支点化)するため、耐震性の向上と更新時のコスト縮減を両立させることができる。支承は現在の鋼製プレート支承を水平分散型ゴム支承(固定・可動部を分散に変更)とすべり型ゴム支承(可動部)に交換する。

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