前回、入院の話をしましたが、そこで新しく知ったことがあります。人間ドックから、その後のいろいろな検査は人間ドックと同じ病院でしました。その結果で病気に対するいくつかの対応方法が示されました。手術の場合は、最新のダビンチという装置がここにはないのでそれを希望する場合はできないので、他の病院を探してください、紹介状を書きます。とのことで、自宅から今後も通うことを考えて行きやすいことと、手術の事例が多い病院を探して、直接病院の受付に電話して,初診を申し込みました。インドへの出張前でしたので、インドから帰ったらすぐにと思ったら、海外に行った人は帰国後10日過ぎてから来院可能になりますと言われ、10日経過してからの初診となりました。手術日は3か月先まで予約されており、5月なので最短でも8月末ということで、8月末に予約をしました。でも早い方が良いので、キャンセルが出たら早めてくださいとお願いしてきました。2週間後に突然電話があり、キャンセルがでたので、6月末にできますとの連絡がありました。その後に、手術に耐えられるかの多くの検査が行われます。眼底の検査までもあり、検査で何か問題があると手術はできないということになるようです。また直前にはコロナの検査もあり、これも陽性の場合も手術は延期になるとのことです。ですから、予約はいっぱいでも、途中の検査で手術できない人が出て、キャンセルがあるだと思います。
手術は9時から始まり、意識が戻って病室に戻ったのは15時ころだったと思います。手術中は意識がないので記憶はありませんが、終わった後はチューブが3本ほど体についていました。手術は、おなかに5か所ほど穴をあけて、ここから治具を入れて行うようです。医者は離れた場所でモニターを見ながら遠隔で治具を動かすようです。手術後におなかにあけた穴は1箇所にチューブが入った以外は、絆創膏が貼られていました。この残った1本のチューブは、おなかの中の出血している血液などを吸い出しているようです。吸い出している成分を検査しながら、4日後には抜かれました。抜いた後もガーゼを当てて絆創膏で終わりです。何もしないでいいのですかと聞いたら、若い医師が、自然に塞がるのでいいのです。私も医者になって知りました。と言われ、傷口を縫ったりしないのだということを知りました。も1点は、手術1日後には、歩く練習を始めさせられたことです。体をまっすぐにすると傷のあるおなかが痛いのですが、まっすぐに立って歩くようにと言われ歩く練習をしました。その後はできるだけ廊下を歩くことを、すべてのチューブを抜いた翌日の退院まで毎日繰り返しました。
今回は、鉄道橋の架け替えの話を書きます。鉄道橋は古いものが多く経年100年近くのものも多く使われています。メンテナンスが問題で架け替える橋もありますが、多くは、鉄道の下の河川や道路の拡幅や、桁下空頭を大きくすることの必要性から架け替えられています。
1.施工法
橋梁のスパンを大きくしたり、橋梁の桁下空頭を大きくする必要性が生じると、今の橋梁を、列車の運行に支障が最小になるように、また工事費、工期が少なくなるように、その場所や、線区の特状に応じて架け替えの施工法と構造を検討します。施工法は、大きくは3つになります。
1)活線施工
2)別線施工
3)仮線施工
活線施工とは、今の橋梁と同じ位置で、新しい橋梁に替える方法です。スパンを大きくする場合は、新しい橋台や橋脚を線路の下に列車を通しながら事前に造っておき、新しい橋梁は古い橋梁の隣に造り、列車の通らない数時間の間に、古い橋梁を撤去して、新しい橋梁に架け替えることが一般に行われます。事前の準備をしっかりしないといけないのですが、新たな用地などが不要な工法です。通常の列車の通らない時間のみでは足らないことも多く、その場合は、列車の運行を一部取りやめて必要な施工時間を確保します。列車を取りやめるには、事前の調整に時間がかかります。JRの線路には、旅客列車のほかに貨物列車の走っている箇所も多くあるので、その場合は旅客会社のみでなく貨物会社との調整も必要になります。多くの時間が必要な場合は、貨物輸送のない正月を選ぶこともあります。
別線施工とは、今の線路の隣に新しい線路をつくり、橋梁も造り、古い線路は撤去して新しい線路に変えてしまう方法です。この場合は、工事は容易ですが、線路を取り付けるためにかなりの延長の新設の線路工事が必要で、用地の確保も必要です。元の線路が直線でできていると、新しい線路には曲線が入ることになります。
仮線施工とは、まずは隣に仮の線路と仮の橋梁を造り、線路をその仮の線路に移設し、元の線路や橋りょうを撤去して、元の橋梁位置に新しい橋梁を造り、またそこに線路を戻す方法です。この場合も、仮の線路をつくる用地の確保が必要です。線路の線形は当初の線形が維持されます。
河川改修などで河川幅が小さい場合の橋梁のみの改築の場合はスパン数も少ないので、活線施工が多く行われています。大河川の場合は、橋梁のスパンが多くなり、架け替えを短時間ではできないので、仮線や、別線施工が採用されることが多くなります。
橋梁架け替えではありませんが、連続立体交差工事などでも、延長が長いので仮線や、別線施工のいずれかで多くの場合行われます。用地買収が難しく、複線区間で複線分の用地が線路に隣接して確保できない場合は、単線分の用地買収で、単線ずつ高架橋を造って、移設することを繰り返すことも行われています。
高架化工事の活線施工は列車を通しながら、その直上や、直下に新しい線路をつくっていかなくてはならないので、非常に難しい工事となっています。そのため連続立体交差工事は延長も長いこともあり、多くは別線施工か、仮線施工で行われています。ただしそのためには用地が必要となるので、都市計画と一体で考えて、工事が終わって役割の終えた土地を、道路などにすることが行われています。中央線の三鷹•立川間の連続立体化工事は仮線に用いた用地は、高架橋の西側の道路となり、交通の利便性と、日陰対策を兼ねています(写真1)。
写真1 高架橋と仮線の後の道路
2.橋梁の取替えの桁構造と軌道
河川改修や、橋梁の老朽取替えで、現在の橋梁を新しい橋梁に架け替えることがあります。多くはスパンを今までより大きくする、あるいは桁下の空頭を確保するために桁下面の位置を高くすることなどの条件が付けられます。レールレベルを上げると、橋梁の前後のレールレベルも上げなくてはなりません。駅や、踏切などが近くにあると、レールレベルが上がると、踏切への取り付けの道路や、分岐器なども改良が必要となるなどの多くのコストがかかることになります。そのため、できるだけレールレベルが変わらないような橋梁の計画とすることが必要です。多くは、レールレベルが上がらないように、下路桁、ランガー桁などが選ばれます。レールレベルを上げないで、桁下面を少しでも向上させようとする場合には、軌道構造も検討します。その場合は桁スラブ上面の高さの施工精度が要求されます。枕木直結や弾性バラスト軌道なども、バラスト軌道よりもレールとスラブの間隔を小さくできます。施工のしやすさは、高さの調整が楽なバラストが優れていますが、現地の制約の状況に応じて軌道構造も選ばれることになります。
2.1 桁構造
列車の車窓から外が見える構造で騒音も少ないということで、PCランガー橋が最近は多く採用さえています。レールレベルを変えないで、かつスパンを大きくしようとすると、下路形式で桁高を大きくする必要があります。通常の下路桁で桁高を大きくすると、車窓からは壁で何も見えなくなります。また外からの景観も、高い壁で、視界を遮る構造となり評判の悪いものとなります。写真2と図1、2にPCランガー桁の例を示します。
写真2 荒川橋梁
図1 荒川橋梁側面図 / 図2荒川橋梁断面図
写真3は道路上のランガー橋です。
写真3 郡山跨道橋(スパン42m)仙台市