道路構造物ジャーナルNET

㊺新たなる挑戦~インフラの長寿命化に向けて~

現場力=技術力(技術者とは何だ!)

株式会社日本インシーク
技術本部 技師長

角 和夫

公開日:2023.06.19

(2)新たなる挑戦~社会インフラの長寿命化に向けて~

 「老朽化する社会インフラの長寿命化」の課題と言えば、・・・・。技術士二次試験の問題ではないのだが、やはり「ヒト・カネ・モノ・情報」と、その解決に他ならない。ヒトは人財(育成含め)や組織、モノは設備、カネは金、情報は技術やノウハウである。
 新たなる挑戦として私が目標に掲げているのは、既に実行に移しているものも含めて以下に示す。
 ・環境に優しく、高耐久な無機塗料の規格化・高性能化・高機能化
 ・HOT JET工法~亜臨界水洗浄技術~の全面展開と塗膜剥離技術への応用
 ・RDC(再分散性カーボン)の多方面への活用研究・検証と実用化

 ①無機塗料の高機能・高性能化
   無機塗料の大きな特徴である「光沢度保持による耐久性」や「無溶剤であることによるVOC削減」引き続き継承しつつ、塗料の規格化、更なる高耐久性を有する塗料の開発・普及を推進する。

 ②HOT JET工法(亜臨界水洗浄技術)の販路拡大と亜臨界水洗浄技術を活用した塗膜剥離技術への応用(図‐3参照)
 「HOT JET工法」は、亜臨界水(水温が140℃以上)を外部噴射することで化学洗剤や溶剤を使用せずに有機物の洗浄と抽出が可能になる。亜臨界水には有機物(アミノ酸や脂肪酸など)を抽出したり分子レベルまで分解する効果があるが、反応後は水に戻るため環境への負荷が少ないという大きな特徴がある。従来の高圧洗浄や蒸気洗浄に比べて対象物への負荷がほとんどなく、使用する水量も激減している。昨今の美観・景観に対する国民の意識向上を受け、積極的に貢献していきたい。
 皆さん、100年以上蓄積された頑固な汚れでも少量の亜臨界水による加水分解作用で簡単に落とすことが出来ます。


図-3 HOT JET工法(メカニズム)

 この技術を鋼橋の既存塗膜除去技術に適用可能か、引き続き検討する予定である。

 ③RDC(再分散性カーボン)の実用化
  CNT(カーボンナノチューブ)は、その電気的特性、熱伝導性、化学物質に対する耐久性など優れた性質を有している。一方では、市販のCNTは再分散性に問題があり材料に混ざりにくいという欠点がある。㈱美流が生み出す不純物の無いRDC(再分散性カーボン)はその問題を解決したもので無機塗料やコンクリート二次製品、その他の材料に混ぜることで画期的な性能を生み出す可能性がある。新会社と関係会社で実地検証を積み重ね、製品化を目指す予定である。

(3)最後に

 65歳までにあと数か月。65歳以降に現在ライフワークとしている吊橋や斜張橋の診断や補修技術の支援、若年技術者の育成、等々。今まで以上に精力的かつ積極的に仕事をしていこうと考えている。それが、今回記した新たなる挑戦である。この挑戦は一人では完遂出来ない。阪神高速時代に出会った友人や知人、それ以降に出会った先輩・後輩諸氏等との技術屋の輪。それと個々人の知見や多方面からのアドバイスを糧に挑戦はこれからも続く。
 引き続きよろしくお願いしたい。

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