道路構造物ジャーナルNET

-分かっていますか?何が問題なのか- ㊺高齢橋梁の性能と健全度推移について(その2)‐将来に残すべき著名橋になすべきことは‐

これでよいのか専門技術者

(一般財団法人)首都高速道路技術センター
上席研究員

髙木 千太郎

公開日:2019.01.01

3.戊戌(つちのえいぬ)から亥年へ
 昨年の干支、戊犬は、五行思想で比和(ひわ)呼ばれ、同じ気が重なることで、その気はより強くなり、良いものはより良くなる一方、悪いものがさらに悪くなることもある歳でもあった。60年でひと回りをする干支の中でも、類を見ない程はっきりと盛衰が分かれる。過ぎ去った昨年は、社会情勢を見て読者の方々は如何に感じたか? 国内は、災害続きの年で、年明け1月の大雪に始まり、北海道胆振東部地震、大阪府北部地震、島根県西部地震、西日本豪雨、台風21号、24号の直撃や災害ではないが記録的猛暑と最悪の年回りであった。
 良いこともあり、平昌五輪が2月に開幕、羽生選手の連覇とスピートスケートのメダルラッシュに国内は湧き、今年の締めくくりとして感激したのは、10月ノーベル医学・生理学賞を京都大学特別教授の本庶佑氏が受賞したことである。本庶先生の和服姿、鋭い眼光、厳しさを感じる口調、どれをとっても私が憧れる技術者、研究者姿である。ノーベル賞受賞よりもゴルフのホールインの難しさを語ったのには、本庶先生に人間味を感じて親近感を持った。さて、“橋”の世界での昨年を考えてみよう。私の記憶では近年で最悪の一年であったと思う。アメリカフロリダの建設中の歩道橋崩落から始まり、ミャンマーの吊り橋崩落、イタリア・ジェノバの斜張橋崩落、そしてインド・カルカッタのRC道路橋崩落と、これだけ多くの道路橋が事故を起こすのも稀であり、橋梁に関係する技術者として情けなかった。このような災害続きの社会情勢を反映したのか、昨年の漢字は、『災』であった。

 さて今年は、「己亥(つちのと・い)」である。ステップアップする充実したタイミングにある年と言えるが、調子に乗るとチャンスを逃す年ともなる。今年の干支を詳細に説明すると、『亥』とは、生命が収蔵された核を意味し、次へのタスキを渡す大切な準備期間を意味しているらしい。この言葉をそのままとすれば、次の段階へとステップアップするタイミングをじっと狙って待っているといったイメージである。注意点は、調子に乗り過ぎることで落とし穴に落ち、そのせいで将来のチャンスを失いかねないということを意味している。読者の多くの方々も『亥』が持つ飛躍のための大切な準備期間であることを、十分認識すると同時に、絶好調と感じた時こそ心を引き締め、猪突猛進状態で進まないことを肝に銘じてほしい。石橋を叩いて渡れとまでは言わないが、平常心で気づかない陰にある落とし穴を注意力で回避し、翌年に大きな花を咲かせる年としたいものである。そんな控えめな考え、ネガティブ思想ではなく、ポジティブに今年が良いことづくめで、災害も崩落事故も皆無な、実り豊かな年となれば、それこそ願ったり、叶ったりであるが。
 さて読者の皆さん、平成から新たな年号が始まるこの年、気分を一新され、第2回目の東京オリンピック開催前年にあたる『亥』の一年を、最良の歳としようではありませんか。
(2019年1月1日掲載、次回は2月1日に掲載予定です)

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