【キルギスの橋梁の特徴】
さて、キルギスにはどのような橋梁があるのか。現場を見て特に印象に残った点としては、①ほとんどがRC橋 ②橋長20~30m(スパン10m~15m)の橋がほとんど ③設計上の欠陥多数(危ない構造)④施工不良の多さ⑤維持管理されていない橋梁多数⑥劣化速度が日本に比べ非常に遅いといったことであった。本稿では、これらの主なものについて少しコメントしたい。
①設計上の欠陥(危ない構造)
《 RC-T桁橋》
RC橋は床版橋と工場製作のプレキャストT桁がほとんどで、T桁は横桁ありのタイプ(写真‐7)および横桁なしのタイプ(写真-8)の2種類が使われている。横桁の連結は、写真のように小さなプレート金具のみとなっており、すでにそのほとんどが変形したり破断しており、荷重分配に問題がある。
写真‐7 プレキャストT桁(横桁あり)/写真‐8 プレキャストT桁(横桁なし)
《見るからに危ない桁端部構造》
キルギスでは、水資源が豊富であり、広大な平原に立派な灌漑用水路が張り巡らされている。ただ、そこに架かっている橋梁が問題である。写真‐9のタイプの橋梁が用水路に架かる橋梁の標準となっている。形式は桁高60cm程度のRCスラブ橋であるが、橋台の手前2mほどは厚さ20cmのコンクリート版を主版の切欠きに載せた構造となっている。写真のように版の掛長はほとんどなく“危険な”状況である。
今はまだ大型車の通行が少ないので、落橋した例はないようであるが、桁端部の薄い版が壊れ橋面に穴がよく開くようである。補修までの間、陥没穴が目立つように枝の付いた大きな木を差し込んで、周りに石やコンクリートブロックを並べて“交通規制”を行っているが、何年もそのままで放置されることがほとんどである。(写真-11)
写真-9 灌漑用水路に架かる橋(標準形式)
写真-10 桁端部の詳細/写真‐11 交通規制方法
《割り箸式橋脚》
下部工では、写真‐12のような、「割り箸」を連想させる橋脚が多くみられた。あまり地震のないキルギスではあるが、ウズベキスタンに近い地方では数年前に大きな地震があり、心配である。