道路構造物ジャーナルNET

阪神高速道路の維持管理報文連載

④大規模更新・修繕事業 技術開発(その1)  ―RC床版防水材料の評価と新材料開発の方向性―

阪神高速道路株式会社
技術部 技術推進室

谷口 惺

公開日:2017.05.13

3.試験体

① 防水材料
 本検討では、表-1に示す13種類の材料を対象とした。防水層はそれぞれが保有する性能に応じて以下に定義する規格に分類した。土木工事共通仕様書4)の品質規格のみを満足する材料を従来型、これに加えて構造物施工管理要領5)に規定された床版防水層(グレードⅡ)の品質規格を満足する材料をグレードⅡ型、複合防水層に用いる含浸系防水材の粘度が50 MPa・s以下のものを低粘度型、これより高いものを高粘度型と定義した。

② 試験体作製方法
 舗装補修工事では、写真-1のように、設舗装を撤去した後、RC床版上面の清掃を行い、①プライマーの塗布、②塗膜系防水層の施工、③硅砂散布、④アスファルト合材の舗設の順で施工を行っている。舗装補修工事を想定した試験体は、既設舗装切削時に切削機のビットが床版に当たることで生じる凹凸を再現するため、写真-2のようにコンクリート平板(JIS平板)を切削機で切削し、防水層を施工の上、アスファルト合材を舗設して作製した。切削機は幅500mmのドラムに15mmピッチでビットを設けたもので、これを回転させることで平板表面に幅15mm、高さ5mm程度の凹凸を設けた。防水層はそれぞれの製造メーカーが作成する施工要領書の手順に従い施工した。舗装はRC床版上の基層の標準である密粒度混合物とし、冬季施工を想定して6℃の恒温室で保管したコンクリート平板上に現場を再現した敷均し温度(156℃)で舗設した。 

③ 現場の再現性検証
 阪神高速道路の舗装補修工事では、床版を傷つけないよう既設舗装を撤去しているが、床版の不陸等が原因で切削機のビットが床版に当たり、表面に凹凸が生じる場合がある。このような状態を試験体で再現できているか確認するため、阪神高速道路の舗装補修工事において、サンドパッチング方法6)を用いて既設舗装撤去後の表面粗さを計測した。ここでいう表面粗さは、一定体積の砂を対象箇所に敷き均し、砂の体積を敷きならした面積で除すことにより算出するもので、面的な粗さを表している。図-2のとおり、実床版で計測した表面粗さは平均で1.79mmとなり、試験体の2.11mmと比べて小さい値となった。実床版では既設舗装を介してビットが床版に当たるが、試験体作製では直接コンクリート平板に当たるため、試験体の表面粗さがより大きくなったと考えられる。なお、試験体の表面粗さは実床版での最大値と同程度またはやや大きい値となっており、防水層に対して安全側の評価ができることを確認した。

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