土木研究所集中連載③
既設橋の液状化被害を防ぐための橋梁基礎の耐震性能評価方法と耐震対策技術の開発
国立研究開発法人 土木研究所
構造物メンテナンス研究センター(CAESAR)
橋梁構造研究グループ
上席研究員(管理システム・下部構造担当)
七澤 利明 氏
3.実施体制
研究の実施体制を図-8に示す。SIP 研究開発課題「大規模実証実験等に基づく液状化対策技術の研究開発」の全体像としては、港湾空港技術研究所および消防庁消防研究センターと共同で研究を行い、土木研究所で行う橋梁を含む臨海部埋立地の各種施設(港湾施設、石油コンビナート施設)の液状化診断・対策技術の開発を行うこととしている。各機関が専門とする施設を対象に研究開発を行うとともに、研究成果を相互活用するなどして、効率的に成果を出していくことを目指している。また、E-ディフェンスを用いた実験を行うことから、防災科学技術研究所とも共同研究協定を締結している。
さらに、2.に示したように高度な専門知識等を有する学識者および民間技術協会との共同研究も行い、CAESAR における研究をより高度にかつ実現性の高いものとするための体制を構築している。
この様に、液状化問題に取り組む各種研究機関、学識者、民間企業が連携・協同して研究開発を行うことは大きな意義があり、この分野での技術の進展に大きなインパクトを与えることが期待される。
4.おわりに
本研究の成果は、道路橋の設計基準6)への反映や、ガイドラインの公表による耐震補強施策への技術支援といった方法により、社会に実装していくことを想定している。CAESAR としても出来るだけ早期に成果をあげて社会に還元していくことを目指し、重点的に取り組んでいく予定である。
【参考文献】
1) 武澤永純、大住道生:「戦略的イノベーション創造プログラム」と土木研究所の参画、土木技術資料、Vol.57、No.1、pp46-47、2015.1
2) 星隈順一、七澤利明:液状化地盤における橋梁基礎の耐震評価技術の開発、土木技術資料、Vol.57、No.10、pp46~47、2015.10
3) 運上茂樹、星隈順一、七澤利明、河野哲也、谷本俊輔:既設橋の液状化被害を防ぐための耐震技術の開発、土木技術資料、Vol.58、No.1、pp18-21、2016.1
4) 石田修一、谷本俊輔、星隈順一:液状化地盤における橋台の地震時挙動メカニズム、土木技術資料、Vol.58、No.9、pp30-35、2016.9
5) (社)日本道路協会:道路橋下部構造設計指針くい基礎の設計篇、1964.3
6) (公社)日本道路協会:道路橋示方書・同解説V 耐震設計編、2012.3
8) 七澤利明:既設橋の液状化被害を防ぐ-橋梁基礎の液状化対策のための技術開発-、ベース設計資料No.168、(寄稿文)pp50-53、2016.3
9) 福井次郎、中谷昌一、白戸真大:道路橋橋台およびその基礎の地震被災事例、土木研究所資料第4014号、2006.5
【土木研究所集中連載】
②高出力X線によるコンクリート内部の可視化技術の開発
①道路橋桁端部の腐食対策に向けて -既設コンクリート道路橋の桁端部用排水装置の開発-