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新たに発刊した「道路橋防食便覧」のポイント

①塗装による防食技術

公益財団法人 東京都道路整備保全公社
一般財団法人 首都高速道路技術センター

髙木 千太郎

公開日:2014.09.29

国内産製造開始は1881年
現在はフッ素樹脂塗料を活用

塗料を使った防食法
 鋼橋が使われ始めた時から腐食は存在し、古くて新しい問題である。1884年に日本で初めての塗料が作られて以来、塗料の進歩は著しい。塗料が持つ防食上最も重要な機能は、塗料が持つ環境遮断性能である。塗料は塗装されて塗膜を形成することで、腐食の因子である水、酸素、腐食する塩化物イオンなどを遮断する。この遮断性能によって鋼材は腐食が進行することなく、適切な時期に劣化した塗膜を更新することで長期に渡って道路橋が必要とする機能を維持することが可能となる。
 我が国で鋼橋が初めて造られたのは、1868年長崎・くろがね橋であるが、当時国内では塗料は生産されていなかったことから海外の塗料を使用したと考えられる。国内で初めて塗料を製造するメーカーが誕生したのは、1881年で、ボイル油と鉛丹を混合した油性のさび止め塗料であった。その後、鋼橋の増加とともに防食を目的に使用する塗料も変わり、下塗りに鉛丹さび止め、上塗りにベンガラと鉛系さび止め顔料を調合した油性調合ペイントが用いられるようになった。
 1955年頃には、中塗り、上塗りとして長油性フタル酸樹脂塗料を開発、下塗りの油性さび止め塗料と併せて使われるようになった。その後、鋼橋にもブラスト処理が導入され、一次防せいを目的としたエッチングプライマーが使用されるようになった。1965年には塗料中に亜鉛末を含有し、電気化学的に防食性能を持つジンクリッチプライマーを一次防せいとして使い、塗膜の防食性能が向上することとなった。
 その後、本州四国連絡橋の建設と併せるように重防食塗装系が開発され、下塗りに圧膜ジンクリッチペイント、中塗りにエポキシ樹脂塗料、上塗りにポリウレタン樹脂塗料を用いた塗装系が採用されるようになった。現在は、上塗りに耐候性の優れたふっ素樹脂が採用され現在に至っている。次に、今回発刊した「鋼道路橋防食便覧」の塗装編についてポイントを示すこととする。


           ブラスト処理             耐候性の優れたふっ素樹脂塗料

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