道路構造物ジャーナルNET

南北方向の円滑な交通を実現すべく事業に注力

静岡県 新々富士川橋、静浦1号トンネルなどが進捗

静岡県
交通基盤部
道路局長

平野 忠幸

公開日:2016.03.31

 静岡県は、風光明媚な富士山、海の幸豊富な駿河湾、熱海や伊豆半島などの湯量豊富な温泉地、静岡市、浜松市などの産業集積地など様々な「顔」を有する。最近は新東名の県内区間が全通、さらに便利な土地となった。但し課題もある。発達した東西交通に比べて南北方向の交通が未だ不足している。国などによる伊豆縦貫自動車道、中部横断自動車道および三遠南信自動車道の3本の高規格幹線道路をはじめ、県では御前崎港から東名、富士山静岡空港、国道1号を経て新東名までを南北に結び、陸・海・空の交通ネットワークを構築する地域高規格道路「金谷御前崎連絡道路」などの整備を進めている。静浦トンネルや新々富士川橋(いずれも仮称)などの大規模構造物の進捗状況や、橋梁、トンネル、法面の長寿命化修繕計画の進捗状況なども含め、平野忠幸道路局長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)

約7,780平方㌔の県土に約370万人の県民が暮らす
 高速道路のダブルネットワーク化が実現

 ――県内の地勢的特徴と道路網の現状から
 平野局長 静岡県は日本のほぼ中央に位置し、東西155㌔、南北118㌔にわたって広がる県土に約370万人の県民が暮らしています。南側に約500㌔におよぶ海岸線、北側に3,000㍍級の山々、南側の駿河湾は6,000メートル級の水深を有する起伏に富んだ県内には、風光明媚な景勝地や多くの温泉があり、日本の豊かな風土の縮図となっています。また海の幸、山の幸に恵まれた食の都であり、多様な産業がバランスよく繁栄したものづくり県でもあります。
 平成24年4月には162㌔にわたって新東名高速道路の県内区間が開通し、県内ほぼ全域で東西方向において高速道路のダブルネットワーク化が実現しました。また2月13日には浜松いなさJCT以西の愛知県区間55㌔も開通し、交流・物流の一層の広域化に大きく期待しています。
 県管理道路の実延長は、一般国道565㌔、主要地方道998㌔、一般県道1,214㌔の合計2,777㌔です。改良率は87%と全国平均73%に比べて高く、一定の道路整備を行ってきており、大規模災害の懸念、道路施設の老朽化、慢性的な渋滞、交通事故の多発などの課題は依然として存在することから、真に必要な道路は整備しつつ、現道路施設を効率的に保全し、有効に活用する「道路マネジメント」を積極的に推進し、課題解決に取り組んでいるところです。
 また、東日本大震災を教訓として、沿岸・都市部の防災・減災対策を進めるとともに、新東名沿線の内陸・高台部の開発を進めて、均衡ある県土の発展を目指す「内陸フロンティアを拓く取組」を推進しています。この取組の実現には、両地域を結ぶ連携軸が重要であり、国などによる伊豆縦貫自動車道、中部横断自動車道および三遠南信自動車道の3本の高規格幹線道路をはじめ、県ではこれらのアクセス道路の整備に加え、御前崎港から東名、富士山静岡空港、国道1号を経て新東名までを南北に結び、陸・海・空の交通ネットワークを構築する地域高規格道路「金谷御前崎連絡道路」の整備を進めています。
 県内には、世界水準の観光資源が多数あり、中でも伊豆地域では昨年7月に韮山反射炉が世界遺産に登録され、同12月には東京オリンピック自転車競技の開催が決定するなど良いニュースが続いています。一方で、伸び悩む観光客数、少子高齢化・人口減少の進行などの課題解決として、特に道路に対する期待が高くなっています。平成26年2月に伊豆縦貫自動車道の一部である東駿河湾環状道路が全線開通し、半島中央部の伊豆市修善寺までのアクセス性が格段に向上しました。さらに圏央道の開通によって北関東方面からもますます近くなりましたが、県としましては、引き続き、平成30年度の開通が予定されている天城北道路をはじめ、伊豆縦貫自動車道の早期全線開通に向けて整備促進を国に働きかけていくとともに、関連道路や周遊道路などの整備を推進していきます。

金谷相良道路第Ⅱ工区3.3㌔が進捗
 (仮称)3号橋は600㍍のPC6径間連続ラーメン箱桁

 ――進捗中の各事業路線の目的と概要、現況について
 平野 金谷御前崎連絡道路は県中部の南北方向の交通円滑化を図るべく建設を進めている道路事業です。延長約30㌔のうち、菊川市の倉沢IC~牧之原市の地頭方IC間約22㌔を供用しています。現在はその延長線上にある金谷相良道路第Ⅱ工区について事業を進めています。
 同工区は国道1号の菊川IC~国道473号倉沢IC間延長3.3㌔が整備区間となっており、構造物比率は31.2%でほとんどが橋梁です。平成27年度末現在で用地買収率は9割弱に達しており、発注進捗率は19.7%、工事進捗率は10.1%です。
 平成27年度は倉沢IC Bランプ橋(橋長176.5㍍、鋼2径間連続非合成少数鈑桁橋+鋼単純非合成少数鈑桁橋)の下部工(ラーメン式橋脚3基)、(仮称)3号橋(橋長600㍍、PC6径間連続ラーメン箱桁、左写真は完成イメージ)の下部工(柱式橋脚1基)、ボックスカルバートの施工を進めました。28年度はBランプ橋の上下部工、(仮称)菊川1号橋(橋長41.5㍍、鋼単純非合成箱桁橋)の下部工、(仮称)菊川2号橋(橋長45.0㍍、鋼単純非合成箱桁橋)の下部工、(仮称)1号橋(橋長66.0㍍、PC2径間連続中空床板橋)の 下部工、(仮称)3号橋の下部工、(仮称)5号橋(橋長163.5㍍、鋼4径間連続非合成少数鈑桁橋)の下部工、(仮称)3号跨道橋(橋長18.3㍍、PC単純プレテン床板橋)の下部工、ボックスカルバート工に着手予定です。

施工中の橋梁・トンネル一覧

(仮称)静浦トンネルが約800㍍掘進
 国道414号静浦バイパス (仮称)大平高架橋の橋台も施工

 ――国道414号静浦バイパスは
 平野 同バイパスは現道の一般国道414号の沼津市下香貫地区から伊豆の国市南江間地区の間において、朝夕の通勤時間帯や観光シーズン時に慢性的な渋滞を引き起こしています。そこで、沼津市下香貫~口野間5.1㌔について山側にバイパス道路を建設しているものです。第1期工区として、現在、沼津市下香貫島郷地区から沼津市大平地区の間の約2.5㌔を暫定的に整備しています。
 構造物は(仮称)静浦トンネル(1,177㍍)と(仮称)大平高架橋(123㍍)があります。現在、静浦トンネルは西の下香貫側から約800㍍東まで掘進しています。また、大平側出口では(仮称)大平高架橋のA1橋台(トンネル側)を施工しています。なお、第2期工区分延長2.6㌔は1期分が供用された後に着手する予定です。同工区にも長大トンネル(静浦2号トンネル)および橋がいくつか予定されています。
 ――(仮称)静浦トンネルの掘削工法は
 平野 掘削工法はNATMであり、岩盤の固い個所では発破掘削により施工しています。

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