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維持管理の黎明期に創業して令和5年10月14日に創立50周年

ケミカル工事50周年記念 國川 正勝社長インタビュー

株式会社ケミカル工事
代表取締役社長

國川 正勝

公開日:2023.11.08

SFRCによる上面増厚、乾式PCMによる増厚、RC床版劣化部補修などを施工
 効率的な塩分センサやWJハンドガンアシストアームも開発

 ――ケミカル工事はこうした補強だけでなく、塩害補修や床版の上面増厚などでも活躍されていますね
 國川 床版のSFRCによる上面増厚については、1990年代前半からJH(現NEXCO各社)などで行われており、現在も各地で採用されています。また、首都高速や阪神高速などでは鋼床版の補強としても用いられています。また、首都高速などではRC床版の補修補強方法として上面に乾式のPCMによる補強を行っており、NEXCOや名古屋高速道路では劣化部補修などに低弾性の材料を使用するなど、そうした箇所でも当社の技術が採用されています。


劣化した国道の橋梁床版補修/国道の橋梁床版上面増厚

高速道路橋梁部にける床版上面増厚の施工状況

PCM吹付による補修例

 塩害補修など劣化したコンクリートのはつりや表面処理分野では、WJが活躍しています。阪神淡路大震災前からハンドガンタイプのWJを数台導入しており、繊維シートの貼り付けや断面修復施工前のはつりや下地処理に使用されています。直射ノズル型、回転ノズル型、等で現在の保有台数は約35台になります。


ハンドガンWJ

スピンジェットノズル

 橋脚・床版上面の脆弱部などのはつりや表面処理などで使う機械式WJも、自走式・固定式などを含め10台を保有しています。



機械式WJによるはつり

 塩害補修については、その際、コンクリート内部の塩分を効率的に図ることのできる塩分センサを用いたコンクリート構造物の塩化物イオン量測定技術も開発し、実装しています。従来のJIS法(電位差滴定)が140分かかるのに比べ、同程度の精度の測定をするのに新技術の1つである「抽出法」では40分に短縮できます。さらに新技術のもう一つの測定法である「接触法」は従来手法では平滑部しか塩化物イオン量を測定できませんでしたが、電極をドリリングした削孔に挿入することにより、作業時間30分で測定可能にしました。0~80mmの削孔深さ範囲まで測定できるため、鉄筋近傍の塩化物イオン量を測定できることが特徴です。


塩分センサ

塩分センサ概要/塩化物イオン濃度と測定電位の相関

 ――ハンドガン式のWJ施工の際の負担軽減を図る技術も実装されましたね
 國川 ハンドガンアシストアームですね。施工の際の反力による負担などをアシストし、施工の際の事故が起きないようにしたものです。現場で働く作業者の安全性を向上させるこうしたシステムを今後も開発していきたいと考えています。


ハンドガンアシストアーム

コンクリートモービル車25台保有の目標は達成
 社長就任以来の12年で売上は12年で倍増、人員も125人体制に1.5倍増

 ――これからの設備投資や技術開発、研究投資について
 國川 目標にしていたコンクリートモービル車25台の保有は、今年、ついに達成しました。また、私が社長に就任した際は、売上30億円弱、人員80人でしたが、現在は60億円、125人体制と売上は2倍、人員は1.5倍に拡充することが出来ました。
 2011年に起きた東日本大震災、翌年に生じた笹子トンネル天井板落下事故などの影響により、大規模更新や大規模修繕に大きな投資がなされており、この趨勢は今後も続くと考えられます。当社が研究投資してきた床版補修・補強分野は今や国家的プロジェクトとして位置付けられ、とりわけNEXCO3社では先行して対策が行われており、当社も強い意気込みでその遂行の一端を担っていると自負しております。
 さて、今後の研究投資分野ですが、床版対策は10年で終わることはなく、今後も状況に応じた対応力や必要な技術力を磨いていくことが大事です。また、ニッチであるが、収益性の高い分野を開拓し、調査~設計~材料工法の開発~工事精度の検証までを担える技術を確りと開発していきたいと考えています。コンクリートの補修補強分野は橋梁だけではありません。あらゆる構造物に当社の技術を当てはめていけないか、発注者や元請が求めるニーズに対応できるよう、自前で技術者を育成し、体制を整えていきます。
 全く新しい分野としては大阪産業大学と住友大阪セメントとの共同研究でセメントレスコンクリートとしてのジオポリマーの研究を進めています。脱炭素の動きは建設業にも影響を与えています。まずは空港のエプロンや、工場のスラブに適用できないか、研究を進めていきます。
 また、当社は道路構造物だけでなく、JR西日本など鉄道構造物の維持管理にも従事しています。こうしたお得意先も少しずつ増やしていければと考えております。
 ――ありがとうございました 

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