道路構造物ジャーナルNET

2023年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ⑩日立造船

メンテナンス事業が順調 水門事業の海外製作拠点を検討

日立造船株式会社
執行役員 機械・インフラ事業本部 副事業本部長

鎌屋 明

公開日:2023.10.16

 当NETの姉妹メディアである「週刊鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業のひとつと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を尋ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。最終回は、日立造船の鎌屋明執行役員と、JFEエンジニアリングの三井田洋介専務執行役員の記事を掲載する。

 ――22年度の業績ならびに23年度の目標は
 鎌屋 22年度のインフラ部門では受注高が264億円、売上高が262億円、営業利益は4億円となった。23年度は受注高260億円、売上高260億円、営業利益は4.5億円を目指す。 22年度の受注高の内訳は橋梁が約100億円で、新設とメンテナンスがほぼ半分、残りが水門、煙突、海洋構造物なっている。23年度では橋梁が約110億円で、新設が約40億円、メンテナンスが約70億円と初めて新設を上回るとみている。
 ――業界を取り巻く環境については
 鎌屋 鋼道路橋については、22年度は国内発注量が15.4万tとなった。新設工事は、国土強靱化の動きから大阪湾岸道路西伸部工事をはじめとする大型プロジェクトが控えており、中期的には増加が見込まれている。ただ、エネルギー価格の上昇をはじめ、物価高騰などによる人件費・資材価格の上昇が影響し、発注を手控えていると感じる。23年度は15万tを割る可能性もあると見込む。
 メンテナンス事業については、阪神高速道路をメインに、落橋防止対策などの耐震補強、ロッキング橋脚の補強工事などの受注活動を展開しており、順調に推移している。昨年度末、高速道路会社が更新計画において新たに約1.5兆円の概算事業費が必要になることを公表した。これにより、RC床版取替工事などの大規模更新事業が見込まれる。
 ――水門事業については
 鎌屋 水門事業については、海外でかなり活発になっていくと見込まれ、海外に製作拠点を確保することを検討している。全社で展開しているタイやインドネシアの現地法人などから情報収集を行いながら、東南アジアで検討している。現地に製作工場を設け、海外で受注した水門関連の案件をすべてそこで行い、将来的には全社的に使える製作拠点にする。当社の方針の一つとして、海外売上高を50%にする目標を掲げていることから、海外展開に注力する必要がある。われわれも乗り遅れないようにしなければならない。
 ダムに関しては、再開発工事や中小規模ダムの部分更新、改造・修繕工事が増えつつあることから、今後1,000億円の市場規模になると予測。世界的なカーボンニュートラル(CN)の動きから、水力発電の発電効率を上げるハイブリッドダムが注目されている。
 売上構成で見ると、水門事業は昨年度、これまで鉄構事業の中で一番大きかった橋梁部門を超えた。今年度は受注でも最大になる可能性がある。
 ――煙突事業については
 鎌屋 煙突事業は、政府が表明した50年度までのCN達成の動きに呼応し、設備の延命化の流れから長寿命化・更新工事の発注が一定量見込まれる。LNG利用、石炭火力のアンモニアとの混焼、バイオマス発電などの新設が見込まれる。
 ――防災分野については
 鎌屋 海底設置型フラップゲート式水門の受注第2号機設置完了後、計画や引き合いはあるが、受注までは至っていない。陸上設置型の設備「neoRiSe(ネオライズ)」は一服感があり、今後の受注に向けて、現在、新たな地域での営業活動を進めている。


天草未来大橋

 ――働き方改革について
 鎌屋 国などの現場はほぼ4週8休となっているが、民間ではまだ達成できていない。当社では営業、設計、現場などの部門ごとで、▽生産性の向上と総労働時間の低減▽長時間労働者のフォロー▽休み方の改革――に関して、アクションプランを策定している。具体的には業務の標準化を図るために、技術者の多能工化などの取り組み、業務の底上げ、外部からのシステムツールの導入などを推進している。現場での長時間労働を是正させるため、各現場で安全作業に向けたICTの導入・活用、一部書類のフォーマットの統一による書類製作の省人化、省力化の実現をしている。
(聞き手・佐藤岳彦、文中敬称略)

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