道路構造物ジャーナルNET

2023年わが社の経営戦略 大手ファブ トップインタビュー ②横河ブリッジ

DX推進へ引き続き注力 保全に特化した組織を設置へ

株式会社横河ブリッジ
代表取締役 社長執行役員

吉田 昭仁

公開日:2023.09.18

 当NETの姉妹メディアである「週刊鋼構造ジャーナル」では、毎年、橋梁を主事業のひとつと位置付ける鋼構造ファブリケーター各社のトップに経営戦略を尋ねるインタビュー記事を掲載している。その内容について、数回に分けて転載していく。1回目は、横河ブリッジの吉田昭仁社長と、巴コーポレーションの深沢隆社長の記事を掲載する。

 ――業界を取り巻く環境については
 吉田 国内鋼道路橋の受注量(日本橋梁建設協会調査)は、重量ベースでは20年度18万3,000t、21年度18万9,000tと回復傾向にあったが、22年度は15万4,000tと減少となった。令和に入ってから業界の生命線である20万tを一度も超えていない。
 今年度第1四半期の受注実績は、約2万2,000t(対前年同期比約8.5%減)であり、今年度も20万t超えは厳しい状況と考えている。今年度新設工事は、1件当たりの規模が大きくなり、全体の工事数が減る傾向にあると予想している。このため、応札案件を失注した際の業績に与えるダメージが大きくなるため、受注活動がこれまで以上に熾烈になると思われる。
 ――昨年度の業績は
 吉田 昨年度は売上高840億円、営業利益93億円、経常利益93億円となった。売上高は前年度を上回ったが、営業利益、経常利益は下回った。受注高は780億円で、重量ベースでは4万4,300tとなった。全般的な数字としては満足している。
 ――23年度の見通しは
 吉田 今年度は売上高940億円、営業利益84億円。受注見通しは830億円で、重量ベースでは3万3,000tを目指す。昨年度低調だった保全事業の受注にも期待している。
 第1四半期終了時点では、東日本高速道路株式会社の「八潮パーキングエリアランプ橋南工事」、西日本高速道路株式会社の「関門橋門司側径間床組連続化工事」などの大型工事が受注できたので、第1四半期の目標はほぼ達成した。新設と保全の2本柱体制を構築するため、近く、保全に特化した組織を立ち上げる予定である。
 ――設備投資について
 吉田 大きな設備投資は一段落している。今年度はグループのカーボンニュートラル推進の一環として、いずみ・岸和田工場の屋根に太陽光パネルを敷設する。また、ベントや重機などの機材をはじめ、各事業所施設の老朽化更新の実施を進めていく。


新濃尾大橋(愛知県発注)

 ――DX推進について
 吉田 DXに関しては、担い手確保・人材育成においても優位に働くと捉え、成果が出るよう、引き続き取り組んでいる。
 具体的な成果としては、鋼橋の設計・製作段階で鋼橋3Dモデルをアバター会議システムと連携させ、構造検討を高度化するシステムを構築した。既存のアバター会議システムと連携することにより、クラウドを利用した3Dバーチャル空間上で複数人が同時に入り込み、より効果的な照査を実現できるようになった。複雑な構造形式の構造検討に活用しており、全体の約3割に適用している。
 このほか、床版コンクリート打設時に充填状況をスマートフォンで確認できるシステムなどを開発している。事務業務では現場の事務処理を遠隔操作で支援するシステムを開発中。さらに、AIを活用した安全管理システムなども、社内の安全DXワーキングで研究を進めている。
 ――新技術・製品開発については
 吉田 建設会社やメーカーと共同で、保全工事に向けた工法、製品の開発に注力している。すでに床版取替工法、橋梁更新工法、落橋防止機能を有するシリンダー型粘性ダンパーなどを開発、実用化している。また、アルミ合金製の常設足場「cusa」、検査路「KERO」などの橋梁維持管理関連製品にも注力している。吸音機能を付加した「吸音cusa」や景観性向上タイプのcusaを開発するなど、販売は堅調に推移している。
 ――海外事業について
 吉田 現時点では主に東南アジアからアフリカまで、ODA案件を中心に受注活動に取り組んでいる。特に大型の案件が見込まれるフィリピンとバングラデシュについては拠点の設立も念頭に、受注に向けた営業活動に注力している。先般東南アジアにおいても既設鋼橋の補修工事を実施した。今後の保全工事の海外展開への足掛かりにしたいと考えている。
(聞き手・佐藤岳彦、文中敬称略)

ご広告掲載についてはこちら

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム