道路構造物ジャーナルNET

26年ぶりに「積算基準(案)」を改定

日本建設あと施工アンカー協会 創立30周年 「安全」「安心」の提供を使命に活動

一般社団法人日本建設あと施工アンカー協会
代表理事 会長

安永 裕信

公開日:2023.08.31

 日本建設あと施工アンカー協会は、今年12月に設立から30年を迎える。「資格認定事業」「製品認証事業」「調査・研究事業」を3つの基本事業とし、現在では有資格者は6万4,000人、製品認証は1,500品番を超えている。安全で安心なあと施工アンカーの提供・施工に取組む協会の具体的な活動について、安永裕信会長に聞いた。

協会名称を「建築」から「建設」へと変更
 2022年度のあと施工アンカー生産実績は約6億7,000万本

 ――日本建設あと施工アンカー協会の概要からお願いします
 安永会長 当協会は、「日本コンクリートアンカー工業協会」(NCAA)を前身とし、1993年12月に建設大臣(現・国土交通大臣)の許可を得て「一般社団法人日本建築あと施工アンカー協会」(JCAA)として設立されました。今年で設立30年となっています。あと施工アンカーは建築分野に限らず、土木・設備分野でも相当数が使用されていることから、4月には協会名称を「建築」から「建設」へと変更しました。
 協会では、「安全」「安心」を提供することを使命とし、「資格認定事業」「製品認証事業」「調査・研究事業」を3つの基本事業として活動しています。
 あと施工アンカーは、母材コンクリートへの固着方法により「金属拡張アンカー」「接着系アンカー」「その他のアンカー」の3種類に分類できます。施工方式により、金属拡張アンカーは打込み方式と締付け方式に、接着系アンカーはカプセル方式と注入方式に分かれています。最近では、金属系のアンダーカット(拡底)式アンカーや接着系で無機系の注入タイプ方式のものも増えてきています。


金属系アンカーの詳細(日本建設あと施工アンカー協会提供。以下、同)

接着系アンカーの詳細

 コンクリートに後付けで設置物を取付ける際には必ずアンカーが必要となりますので、あと施工アンカーの使用箇所は多岐に渡ります。土木分野では、橋梁の落橋防止装置や検査路、道路の防護柵、トンネルの照明などの取付けに加え、堤防の嵩上げ工事、港湾の付属部設置などで多数使われています。


あと施工アンカー施工例① 上左・上中:落橋防止装置/上右:検査路
下左:車両用防護柵/下中:橋梁基礎拡幅/下右:トンネル内照明

あと施工アンカー施工例② 左:堤防嵩上げ/右:防舷材・車止め

 2022年度の生産実績は約6億7,000万本で、金属拡張アンカーが2億1,000万本、接着系アンカーが1,780万本、その他のアンカーが4億4,000万本となっています。
 ――設立30年を迎えての感想は
 安永 安心、安全のために資格認定制度や製品認証制度をつくり、活動を続けてきた結果、有資格者も製品認証も増えてきました。現在では、有資格者は全国で約6万4,000人に達し、製品認証も1,500品番を超えました。これは活動を継続してきた積み重ねにほかなりません。今後もさらなる協会事業の発展と充実を図っていきたいと考えています。

土木分野の施工基準の整理を進める
 第三者委員会には土木分野の有識者の参加も

 ――「建築」から「建設」へと名称変更を行いました。とくに土木分野での取組みがありましたらお願いします
 安永 土木学会から「コンクリートライブラリー160 コンクリートのあと施工アンカー工法の設計・施工・維持管理指針(案)」が2022年1月に刊行されました。新しい技術や知見を反映し、設計におけるバックアップの考え方や金属拡底アンカー使用時の留意点なども新たに盛り込んだものとなっています。制作にあたっては、協会もさまざまな協力を行いました。
 ――土木分野での施工基準づくりなど、協会として対応するべきことや課題はありますか
 安永 あと施工アンカーをコンクリートに施工して引張力やせん断力を計測するという点では、土木分野も建築分野も基本的な考え方は一緒だと思います。ただ、学会や発注者により計算式が違うことなどがありますので、それらを勘案しながら施工基準の整理および統一をさらに進めていきます。
 また、資格認定事業や製品認証事業でお願いしている第三者委員会の委員はこれまで建築分野の有識者の方が多くなっていました。今後は、土木分野の有識者の方にも参加してもらい、両分野をうまく融合していきたいと考えています。

協会の施工指針に則った「積算基準(案)」に改定
 自治体等の積算時にも活用してもらいたい

 ――「あと施工アンカー積算基準(案)」を26年ぶりに改定されたと伺っています。その背景と内容は
 安永 「建設物価」にはあと施工アンカーの歩掛が掲載されていますが、長きにわたりその正当性を検証していませんでした。現状に即した歩掛を明らかにするために、あと施工アンカーの施工時間計測調査を日本建設機械施工協会施工技術総合研究所にお願いし、その結果を含めて協会で1年強の検討を行って改定しました。
 国土交通省の歩掛は基本、削孔は削岩機を使用したものですが、現状ではコアドリルなどを使用しており、それが反映されていませんでした。また、協会では施工指針を作成していますが、その指針に則っていなかったので、コアドリルを中心とした、協会の施工指針に則った施工をしたときの積算基準(案)としました。また、土木分野では鉄筋径51mmなども使用しますが、その積算がなかったので対応をしました。
 地域によって作業員の単価は違ってきますので、歩掛に対して作業員の賃金を乗じてもらえれば積算できるものとしました。協会のホームページに掲載しましたので、自治体等の積算時にも活用してもらいたいと考えています。

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