道路構造物ジャーナルNET

70周年 第2の創業を必死のコミュニケーションで支える

SUGIKO  足場の安全性をハードだけでなくソフトでも支援

株式会社杉孝
代表取締役

杉山 信夫

公開日:2023.02.15

 SUGIKOは今年1月に70周年を迎えた。「第2創業期」(杉山信夫社長)を迎えているという認識のもと、コーポレートアイデンティティ(CI)を一新し、コーポレートサイト、採用サイトなどもリニューアルするなど、企業イメージの向上に努めると共に、「必死のコミュニケーション」(同)を図り、技術継承とりわけ暗黙知が時代に継承されるよう努力を重ねている。「怪我無く帰宅するのはみんなの最大の願い」を継続して実現すべく、今なお国内最大級の足場レンタル会社としてどのように経営を進めていくか杉山社長に聞いた。(井手迫瑞樹)

ロゴとマーク、スローガン を一新
 足場レンタルのファーストチョイスとして頼られたい

 ――1月に70周年を迎えた御社ですがその記念的な各取り組みについて教えてください
 杉山社長 大きな組織的変化はありませんが、ロゴとマークおよびスローガンを一新し、今までの杉孝「SUGIKO」の良いところに、さらに先進的な技術力のイメージを付与するように努めています。
70周年を迎えて感じていることは、『第2の創業』ともいえる時期に来ているなという事でした。
 ――『第2の創業』とは?
 杉山 当社は足場の品質にこだわり続け、安全で高品質だと言っていただける足場の供給を続けています。大規模再開発などの新設や改修はもちろん、橋梁現場の改修・車線拡幅事業など、現場が多様化している状況に合わせねばなりません。それに対応するためにはハードの品質維持だけでは不十分でソフトウェアの充実も図る必要があります。
 現場が複雑化する一方で、お客様側では人手不足により仮設計画に専任できる方が減り、足場の図面作成や数だしなどの足場に関わる仕事を、当社が現場に応じて対応することが専らになっています。その状況も踏まえて、最新のソフトウェア技術を活用しながら、足場をレンタルするならSUGIKOと、先ず認識され、発注先としてファーストチョイスされるような会社を目指します。『第2の創業』の肝はここにあります。

年間売上は300億円程度で推移
 仮設工業会のモデル工場認定を2工場で取得

 ――さて、ここ3年の売上高推移を教えてください
 杉山 2021年度は約278億円、20年度は約295億円、19年度は約300億円と概ね300億円前後で推移しており、2022年度は約310億円の見込みです。セクション別では建築が4割、橋梁を中心とする土木が3割、プラントが3割という状況でこの比率はここ最近大きく変わっていません。

 ――その安定した売上を支える御社の強みとは何でしょうか
 杉山 やはりレンタルする足場の安全品質を安定して確保できているという点だと自負しています。(一社)仮設工業会の機材管理モデル工場の認定を富津と四日市の2工場で取得しておりまして、これと同程度の品質を他の20か所の拠点でも横展開しており、足場を管理する安全品質は非常に高く均一しています。足場は人の命を乗せる大切な機材であり、一品の不良もあってはなりません。機械だけでなく熟練した整備工―人―人の目で整備することで安全を確保しなければならないと考えています。


機材管理モデル工場の認定を四日市と富津の2工場で取得

 仮設工業会のモデル工場になると、その内容を同業他社に見せる必要があります。皆様に品質の良さを分かっていただくと共に、業界全体の足場管理品質の向上に寄与していきたいと考えています。

手すり先行足場のシェアは全体の4割に達する
 SKパネルの安全性向上のため、軽量かつ耐久性の高いSKウイングを上市

 ――現在、建設業界が置かれた状況を鑑み、土木、建築、足場コンサルタント事業などにおいて、中期的に力を入れていく内容および商材について教えてください
 杉山 まず1つ目は手すり先行足場『アルバトロス』について、今数種類の手すり先行足場が世に出ておりますが、その中でもアルバトロスのシェアは50~60%だと推測されています。アルバトロスを保有している会社は当社だけではありませんが、大半を当社が保有しておりますので、手すり先行足場全体の40%前後のシェアを当社が保有していると推測されます。稼働率は常時7割程度をキープしており、実際の業務(整備や部品管理など)を考えるとほぼフル操業状態といえます。


アルバトロス

高強度、高信頼性の緊結部/広い作業空間を有する/突起や隙間のないワイドなステージが簡単に

 吊り足場は主に橋梁の建設・保全の現場でも用いられている『SKパネル』の保有量が業界トップであり、これも売上に大きく寄与しています。さらには吊り足場内での作業効率と安全性をさらに向上させるため、軽量化と施工の効率化を図ることが出来る朝顔専用材『SKウイング』も昨年開発し、標準装備化を図っています。


SKパネル

 ――SKウイングについてもう少し詳しく教えてください
 杉山 面板に防音パネルを使用しており優れた遮音性を有しています。素材はアルミとプラスチック積層複合板を用いており、一人で持てる程度の重さ15~26kg程度まで従来品比最大40%の軽量化を達成しました。朝顔の架設は足場設置工事において最も事故が起きやすい箇所の一つですが、その作業性を改善させることで、安全性を向上させることが出来ました。また、面板はきれいなクリーム色であり、遮音だけでなく現場の景観性向上にも役立っています。


SKウイング組立イメージ/SKウイング単体

 ――他、足場関連では
 杉山 『ハンドレールプロ』も広く使われています。設置金具の厚みを抑え、今まで対応できなかった階段と壁面とのすき間に対応可能な鉄骨階段用の手すりです。金具が回転式で、L・R関係なく設置でき、伸縮するため、現場に合わせてすき間なく設置可能です。また、鉄骨造向けの外周部・開口部などに使用する防護柵『アルミのボーゴレール』も上市しています。これもアルミを用いることで大幅な軽量化、防食性の向上を図りつつ、十分な安全性を確保しています。

H鋼を構造部材として必要としない『アルバトロス防護構台』を展開
 重機も不要で工期も大幅に縮減

 ――足場関連以外の商材では
 杉山 『アルバトロス防護構台』があります。建設現場の俯角にある歩道部を防護するため、よく上部を覆う防護構台を街中で見かけられると思います。その際、従来の防護構台はH鋼を用いるため、作業に大きな手間と重機を必要としました。
 アルバトロス防護構台は先行手すり工法で外部足場を活用して、安全に防護構台を設置することができ、さらに人力で組み上げることができます。H鋼は主構造部材としては用いず、僅かにカウンターウェイトに用いるのみですので、工期もコストも大幅に縮減できます。


『アルバトロス防護構台』

 ――現場によっては上部で重いものを用いて作業する場合がありますから安全性の照査は重要ですね
 杉山  そのため、構台の屋根材(天井部分)は、鋼製踏板+杉足場板+構造用合板(t=12mm以上)または角パイプ+杉足場板+構造用合板(t=12mm以上)を推奨しています。建設現場によって環境が異なるため、荷重および外力に十分耐えられる構造となるよう、施工側と足場レンタル会社で強度計算が必要です。

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