道路構造物ジャーナルNET

塩害の影響大きく、鋼・コンクリートとも対策必要

愛媛県 1巡目の修繕は橋梁・トンネルとも着実に進捗

愛媛県 土木部
道路維持課長

近藤 俊恒 氏

公開日:2023.01.25

 愛媛県は2,672橋、172トンネルを管理している。橋梁は約4割、トンネルは約2割が50年を経過しており、塩害による損傷が起きている構造物も少なからずあり、その維持管理に努めている。また、先の西日本豪雨では大きな被害を受け、橋梁も大成橋が流され、このほど架け替えが完了した。さらに同橋が架かる肱川においては4橋の架け替えが計画されている。そうした課題や耐震補強の進捗状況、歴史的鋼橋である長浜大橋を含む補修や塗替えなどについて、愛媛県土木部道路都市局道路維持課の近藤俊恒課長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)


長浜大橋

RC橋が最多で976橋を占める 次いでPC橋、鋼橋の順
 1959年以前の古い橋梁も300橋を超える 全体では約4割が50年超え

 ――管理する橋梁数と内訳から教えてください
 近藤課長 2022年度末現在、2,672橋を管理しています。橋種別では鋼橋410橋(15.3%)、RC橋976橋(36.5%)、PC橋が648橋(24.3%)、鋼・PCの混合橋が6橋、鋼・RCの混合橋が5橋、PC・RCの混合協が1橋、PC・ボックスカルバートの混合橋が1橋、RC・BOXの混合橋が8橋、ボックスカルバートが617箇所(23.1%)で、RC橋とPC橋がそれぞれ多くなっています。
 供用年次別では、1959年以前が323橋(12.1%)、60年代が542橋(20.3%)、70年代が540橋(20.2%)と40年以上が5割を超えています。次いで80年代が428橋(16%)、90年代が483橋(18.1%)、2000年代が278橋(10.4%)、10年代が71橋(2.7%)、20年代が7橋となっています。
 延長別では、500m以上600m未満が3橋、400m以上500m未満が2橋、300m以上400m未満が11橋(11%)、200m以上3000m未満が32橋、100m以上200m未満が91橋、50m以上100m未満が191橋、15m以上50m未満が612橋(22.9%)、2m以上15m未満が1,730橋(64.7%)と50m未満が87%に達しています。路線別では補助国道が656橋、主要地方道が841橋、一般県道が1,175橋です。

在来矢板が91箇所と過半
 500m未満が約7割の一方で、1,000m超えが14箇所

 ――同様にトンネルの内訳を教えてください
 近藤 全体で172トンネルを管理しています。1959年以前が8箇所(4.7%)、60年代が20箇所(11.6%)、70年代が30トンネル(17.4%)、80年代が38トンネル(22.1%)、90年代が43トンネル(25%)、2000年代が28トンネル(16.3%)、10年代以上が5トンネル(2.9%)となっています。
 工種別では、在来矢板工法が91箇所、NATM工法が76箇所、矢板とNATMの併用が1箇所、その他素掘り+吹付工法による施工が4箇所となっています。在来矢板工法が半数を超えています。
 延長別では5,000m以上6,000m未満が1箇所、2,000m以上3,000m未満が4箇所、1,000m以上2,000m未満が14箇所、500m以上1,000m未満が34箇所、4m以上500m未満が119箇所であり、500m未満が約7割を占める状況です。
 路線別では、補助国道が89箇所、主要地方道が55箇所、一般県道が28箇所となっています。

橋梁点検 1巡目はⅢ判定が471橋、Ⅳ判定も1橋あった
 Ⅲ判定は鋼橋97、PC72、RC143など

 ――点検を進めてみての管理する各構造物の劣化状況について詳しく教えてください
 近藤 本県では1巡目の点検が完了し、現在2巡目の点検を2023年度までの5年間で実施中です。1巡目の結果は、Ⅰ判定が222橋(8.3%)、Ⅱ判定が1,975橋(74%)、Ⅲ判定が471橋、Ⅳ判定も1橋ありました。
 Ⅳ判定となったのは、主要地方道宇和島下波津島線の旧道部分にあった潮止橋(宇和島市)です。1970年に架設された全長8mのRC橋です。架設地は海岸近傍であり、主桁全面において塩害による損傷が著しく、鉄筋破断や甚だしきは鉄筋が広い範囲で喪失している状態でした。放置した場合、落橋する危険性が高かったため、2021年9月に撤去しました。
鋼橋のⅢ判定は97橋が該当します。但し、損傷はコンクリート部材が主で、下部工が89橋と最も多く、次いで上部工コンクリート床版の損傷が87橋となっています。鋼部材では、主桁で86橋に損傷が生じています。
 PC橋のⅢ判定は72橋が該当します。橋台部と上部工の主桁が68橋とともに大部分を占めます。
 RC橋のⅢ判定は143橋が該当します。これも橋台部が最も多く127橋あり、次いで上部工主桁の108橋が大部分を占めます。
 以上のように全ての橋種において、下部工の橋台部のⅢ判定が最も多く、その原因の大半はひび割れ・剥離・鉄筋露出・遊離石灰によるものです。
 ――部位ごとの損傷をもう少し詳しく教えてください
 近藤 鋼橋から申し上げますと、主桁は腐食・防食機能の劣化、床版はひび割れ、漏水、遊離石灰がそれぞれ大半を占めます。橋脚・橋台における損傷の主原因はひび割れ、剥離・鉄筋露出で、地覆はひび割れによる損傷が最も多く、次いで変形・欠損、鉄筋露出などが生じています。高欄は腐食と鉄筋の破断が大半を占めています。
 PC橋については、主桁は損傷の大半がひび割れ、剥離・鉄筋露出が大半ですが、一部で遊離石灰も見られています。床版は剥離・鉄筋露出、漏水・遊離石灰が大半を占めます。ひび割れは見られません。橋脚・橋台はひび割れ、剥離・鉄筋露出が生じています。地覆はひび割れが最も多く、剥離・鉄筋露出が次ぎます。鋼製の高欄は緩み・脱落、変形・欠損、防食機能の劣化が生じています。
 RC橋において、主桁の損傷原因はひび割れ、剥離・鉄筋露出が大半を占めます。一部で遊離石灰も見られています。床版は剥離・鉄筋露出、ひび割れが大半を占めます。漏水や遊離石灰も見られます。橋脚・橋台は剥離・鉄筋露出が最も多く、ひび割れや漏水・遊離石灰も見られます。地覆は変形・欠損とひび割れが大半を占めます。漏水・遊離石灰も見られます。高欄は変形・欠損とひび割れが大半を占めます。

国道437号古三津跨線橋でグラウト充填不良対策
 トンネルのⅢ判定はうきによるものがほとんどを占める

 ――PCの主桁でひび割れが出ているというのはシリアスな状態ですね。鋼材の破断を示す兆候は表れていませんか
 近藤 錆汁などは生じていないので、PC鋼材の大きな腐食や破断には至ってないと考えられます。ただ、グラウト充填不良が確認されている橋梁があり、その対策を今年度以降、行っていく方針です。


衝撃弾性波による調査

鋼材探査およびインパクトエコーによる調査

CCDカメラによる調査状況

 ――グラウト充填不良が生じている鋼材は縦締め部材ですか? 横締め部材ですか
 近藤 両方で生じています。
 ――具体的な橋名は
 近藤 伊予鉄高浜線を跨ぐ箇所にある国道437号古三津跨線橋です。


グラウト充填/充填不良状況

 ――トンネルについては1巡目の点検結果はどのような状況ですか
 近藤 I判定は0箇所、Ⅱ判定は72箇所(41.6%)、Ⅲ判定は101箇所(58.4%)、Ⅳ判定は0箇所となっています。要補修個所は半数を超えています。
 ――損傷原因は
 近藤 Ⅲ判定の大半がうきによるものです。国道197号の西予市内にある江戸淵トンネル(95m)は在来矢板工法で1983年に施工されましたが、点検してみると異常箇所が多く、アーチや壁面にうきが見られたことから、FRPネットによる落下防止対策を施しています。
 国道441号の西予市内にある桜が峠トンネル(684m)は、同様に在来矢板工法で1984年に施工されましたが、アーチのうき、側壁の漏水流下、照明施設の取付金具欠損など異常個所が多く見られました。そのためFRPネットによる落下防止対策、線導水工(溝切工)の設置、側溝蓋更新、照明施設改修により対策を実施しました。
 一般県道高茂岬船越線の愛南町内にある西海トンネル(590m)は、NATM工法により2003年に施工されました。比較的新しいトンネルといえますが、アーチのうきが見られたことからFRPネットによる落下防止対策を行っています。
 主要地方道西条久万線の西条市内にある河口1号隧道(11m)は、素掘りおよび吹付工法を用いて、1924年に施工された古いトンネルです。吹付部のうきが複数確認されたことから上吹工による落下防止対策を実施しました。
 ――うきについては、軸方向に沿ったひび割れなど、シリアスな損傷はありませんか
 近藤 コールドジョイントが原因となる落下や崩落などを引き起こすようなシリアスな損傷はありません。

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