道路構造物ジャーナルNET

八幡浜や佐田岬半島にも「高速道路」の恩恵もたらす

愛媛県 大洲・八幡浜自動車道「八幡浜道路」が2022年度末に開通

愛媛県
南予地方局 八幡浜土木事務所
所長(建設技術監)

篠原 真司 氏

公開日:2022.09.16

 愛媛県南予地方局八幡浜土木事務所は、大洲・八幡浜自動車道の建設を進めている。愛媛県では、松山自動車道の南予延伸や4車線化が国やNEXCOによって進められているが、半島部に位置する八幡浜市域はそのルートから外れる状況となっている。一方で、八幡浜市や佐田岬半島は、フェリー航路を通じて、九州の玄関口となっている。八幡浜市と別府の距離はフェリーを使えば2時間半であり、愛媛県(とりわけ南予地域)にとってはしまなみ海道を使うより、実は隣県との時間的距離を短縮できる。先の西日本豪雨では、山陽本線や山陽自動車道など主要幹線が寸断される中、松山自動車道、国道197号を経て八幡浜から別府に至る「道」は重要な物資搬送ルートとして機能した。地域高規格道路である大洲・八幡浜自動車道はその機能を強化する効果も大きい。進捗状況について、篠原真司所長に詳細を聞いた。(井手迫瑞樹)


大洲・八幡浜道路概要図(愛媛県HPより抜粋、拡大して見てください)

高速道路の空白地 八幡浜、佐田岬半島方面を地域高規格道路で整備
 2012年度末に名坂道路は開通 八幡浜道路も急ピッチで整備

 ――大洲・八幡浜自動車道について概要からお願いします
 篠原所長 平成に入りしばらくしてから国で地域高規格道路の制度ができ、愛媛県として事業化を要望する区間、直轄事業の区間をピックアップしたなかで、同道路は愛媛県の事業の代表的なものとなっています。当時は瀬戸大橋が完成して、松山に向けて高速道路が伸びていた時期です。四国全体の高速道路延伸計画としては、「四国8の字ネットワーク」がありますが、佐田岬の半島に向けて伸びる八幡浜地域は、その高速道路網の空白地帯になってしまいますので、地域高規格道路で整備することとしました。それが事業の発端です。
 愛媛県としても初めての地域高規格道路(自動車専用道路)であり、NEXCOや国土交通省と相談しながら大洲・八幡浜自動車道約14kmの全体計画をつくり、そのなかで最初に事業化したのが、2012年度末に開通した「名坂道路」(2.3km)です。現道の国道197号の名坂トンネルの幅員が狭く大型車の離合ができない、またその手前に大雨時の事前通行規制区間があるので、まずはそのバイパスを整備するということで、名坂道路から着手しました。
 その次が、今年度末の供用を目指している「八幡浜道路」(3.8km)です。初弾となる名坂道路の事業公表は平成8年のことでした。当時から「八幡浜道路」は住民の皆様の要望が強かった工区です。国道197号が佐田岬まで走り、八幡浜港があり街が広がっている。さらに、国道378号のほうにも住宅がかなりあり、ここの交差点(江戸岡交差点)が八幡市内の渋滞のボトルネックになっており、その解消を求める声が多い状況にありました。その道路が長年を要しましたが今年度末に開通できる見込みとなりました。

郷高架橋(仮称) A1~P1はJR四国に委託し送出し架設
 新千丈川橋(仮称)も送出し架設を予定

 ――八幡浜道路の構造物は
 篠原 橋梁は、郷高架橋(仮称、橋長200m)、萩森高架橋(PC、橋長140m)、入寺川橋(橋長25m)、大平跨道橋(PC、橋長39.4m)の4橋です。トンネルは延長1,090mの松柏トンネルと同1,809mの千丈トンネルの2本となっています。郷高架橋(仮称)は県事業としては初めての鋼桁の大ブロック送出し架設となります。県で直接施工したいという思いも強かったのですが、A1~P1はJRを跨ぐ位置にありますので、JR四国に委託しました。県ではPCの送出し実績はありますが、鋼橋大ブロックはこれまでありませんでした。



萩森高架橋の建設進捗状況。既に本体工は完成している(愛媛県提供、以下注釈なきは同)


松柏トンネル 既に本体構造物の施工は完了している(井手迫瑞樹撮影)

千丈トンネルも既に本体工は完成している。手前は入寺川橋(井手迫瑞樹撮影)

 ――八幡浜東ICのさらに東側に計画している新千丈川(仮称)橋は
 篠原 同橋は2013年度から事業を進めている「夜昼道路」(延長4.2km)の区間となります。同道路は新千丈川橋(仮称)以外でも、県施工では最長クラスの2,690mの新夜昼トンネルがあります。その手前に鋼橋の新千丈川橋(仮称)があり、同橋も送出し架設を予定しています。これがJR四国に委託する郷高架橋(仮称)を除くと鋼橋としては県施工初の送出し架設となります。同橋は千丈川と国道197号を跨ぎます。

 ――郷高架橋(仮称)の近くにはランプも設置予定ですね
 篠原 夜昼道路のオフランプ橋(連続ラーメンPC中空床版橋、L=137m、杭基礎の下部工7基、6径間)。郷高架橋(仮称)を渡り、そのまま下りて国道197号と平面タッチするのが八幡浜道路の事業区間となります。


夜昼道路のオフランプ橋は下部工を施工中だ(井手迫瑞樹撮影)

 ――現状では、八幡浜から大洲方面に向かう平面タッチになる。ハーフICになるということですか
 篠原 夜昼道路ができていなくて大洲方面には行けないので、ハーフICとなります。

大洲平野IC付近のランプ橋も下部工に着手
 大洲西道路は測量・調査などが進む

 ――新夜昼トンネルの東側出口は盛土ですか
 篠原 切土、盛土、本線橋、ランプ橋と、構造物のオンパレードになる予定です。トンネルを出るとすぐに盛土で、さらにすぐに切土が続き、次いで2径間の本線橋(仮称:新平野橋、橋長97m、杭基礎の逆T式橋台など3基の下部工、2径間連続の鋼I桁橋)があり、盛土を経て、ランプ橋と本線橋が建設される予定です。
 ――具体的には
 篠原 大洲平野IC付近の山切りの一部と、大根第一橋、第二橋(オンランプ橋、オフランプ橋)の橋脚(1基)を施工中(橋長167.0と200.5m、いずれも、杭基礎の下部工5基、4径間連続の鋼I桁橋)です。橋台もこれから着手する予定です。
 ――そこから先に大洲西道路(3.3km)があります
 篠原 本線高架橋は大洲西道路の本線となります。現在は測量、調査、設計中です。

大洲西道路 大洲北只で松山道とJCT接続
 道路全通後も国道197号は県管理国道として維持

 ――接続形式は
 篠原 国道197号を超える本線橋が延びてきて、大洲西道路の本線になります。その後、切土、深い谷があるので3径間程度のハイピア橋梁、切土、盛土、トンネルとなります。トンネルが下りの縦断勾配で、大洲市北只地区の平地部に下りてきます。その後、北只地区で高架橋(未定:多径間連続が見込まれます)となります。詳細設計をこれから本格的に始めますが、松山自動車道にJCT接続をします。県では高速道路のJCTをこれまで造ったことはなく初事例となります。
 ――お話を聞いていますとNEXCOが施工する現場のようですね。NEXCOや国への委託は考えないのですか
 篠原 JCT計画段階からNEXCOや国と協議を行っております。県で設計を進めながら、NEXCOや国との本格的な協議も進めたいと考えています。夜昼道路の大洲平野IC側はやっと山を切って、橋脚を始めたばかりですので、まだまだ北只地区の計画はこれからです。
 ――大洲・八幡浜自動車道全通後は、現道の197号はどのような扱いになるのでしょうか
 篠原 大洲・八幡浜自動車道は、あくまで自動車専用道路です。国道197号も引き続いて、125㏄未満のバイクや自転車、歩行者や地域の方々の生活道路として、県管理の国道のまま維持していきます。
 ――全通後の交通台数はどの程度を見込んでおられますか
 篠原 8,000台から1万台を超える予測を立てています。平日と休日の交通量の差としては平日の方が卓越します。ただし、八幡浜港は、別府や臼杵など九州へ渡る(別府まで2時間半)航路を有する港湾であるため、連休時期については、交通量が急増する特性があります。また、2018年の西日本豪雨では、九州北部・中国地方が大きく被災し、交通も寸断されましたが、そうした際に八幡浜経由の「道」が活用されました。東九州自動車道が宮崎までつながったことにより利便性が向上し、熊本に向かう九州横断道の整備も進められていることから、さらに八幡浜経由の「道」は見直されています。フェリーの便数などで限界はありますが。大洲・八幡浜自動車道を建設することで、より地域の発展に寄与していきたいと考えています。

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