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長大特殊橋の耐震補強対象は25橋で対策完了は5橋

2021年新春インタビュー② NEXCO中日本名古屋支社 ネットワーク活用と新工法採用で大規模更新を展開

中日本高速道路株式会社
名古屋支社
保全・サービス事業部長

合田 聡 氏

公開日:2021.01.01

伊勢湾岸道 144基のジョイント取替えを進める
 2020年秋の集中工事では夜間通行止めを初めて実施

 ――支承取替えやジョイント取替え、ノージョイント化の2020年度施工予定箇所数は
 合田 支承取替えは、中央自動車道(特定更新等)柳樽橋他9橋床版取替工事で合計3橋、116基で行う予定です。ノージョイント化を実施する工事は2020年度にはありません。
 ジョイント取替えは継続して実施していますが、名古屋港に隣接する伊勢湾岸道では大型車交通量が多いこともあり、ビーム型ジョイントに損傷が発生しています。また、鋼製フィンガージョイントにも疲労き裂が発生し、爪が破損する事例が見られています。ビーム型ジョイントは98基すべて、フィンガージョイントは97基のうち46基、合計144基を対象に計画的な取替えを進めているところです。2020年10月末時点では、ビーム型ジョイント44基、フィンガージョイント8基、合計52基の取替えが完了しました。2020年度の取替え予定は6基で、2020年10月に豊田JCT~豊明IC間(上り線)で実施した集中工事で4基完了し、冬の集中工事で2基を予定しています。


伊勢湾岸道のジョイント取替え状況

 ――伊勢湾岸道の交通量と大型混入率は
 合田 平均断面交通量は約97,000台/日で、大型車混入率は約42%(2019年度実績)となります。
 ――ビーム型ジョイントの損傷はどのようなものでしょうか
 合田 破断やき裂が見られています。点検を強化しており、発見しだい補修を行って、その後、取替えをしています。


ビーム型ジョイントの構造と状況

 ――フィンガージョイントについては
 合田 高強度材を採用しており、本来であれば板厚が100mm必要なところ、80mmしかないため、き裂が発生しています。そこで、板厚100mmのジョイントに取替えています。
 ――ビーム型ジョイントは大型で重交通路線での施工は大変だと思いますが、工程短縮の工夫を教えてください
 合田 片側3車線を跨ぐジョイントのため、1基で幅16m、重量約20tとなり、1基の取替えには18日間を要します。ジョイントを右半分・左半分に2分割して、車線を切り替えて全幅の施工を行うため、工事開始後は取替えが完了するまで規制を解除することができず、昼夜連続での作業が必要になります。
 規制期間は限られていますので、作業能力の高い機械(カッターマシン、WJ)の導入や作業員配置の見直しを実施しています。また、フェースプレート滑り止めの施工の大部分を工場施工に変更して、現地作業を縮減しています。
 規制における工夫では、レーンマークを書き換えて3車線を仮想4車線にして、昼間は2車線を供用しながら施工しています。ただ、ラバーコーンを置いている中央部(ジョイント接続箇所近傍)は施工がしづらいため、昨年10月の集中工事から施工時は夜間通行止めとしました。これまで仮想4車線、夜間1車線供用で実施していましたが、1車線となることで大きな渋滞が発生し、渋滞後尾での追突事故なども発生していたことから、夜間通行止めとして東名・名神などへの迂回をお願いしました。その結果、夜間通行止めにともなう渋滞は発生せず、施工においても作業員の安全性向上に寄与することができました。


施工時の規制ステップ図

2021年度の鋼橋塗替えは13橋約73,000m2を予定
 既存塗膜処置時の対策を徹底

 ――2020年度および2021年度の鋼橋塗替え実績・予定は
 合田 2020年度は契約ベースで14橋約87,500m2、2021年度は発注見通しベースで19橋約110,700m2を予定しています。
(右表:2020年度の実績と2021年度の計画)
 ――塗替え時における溶射などの新しい重防食の採用がありましたら
 合田 溶射の採用実績はありません。鉄筋の防錆材では、ターマラストという高濃度カルシウムスルフォン酸アルキド樹脂塗料を使用しています。
 ――昨年10月の厚労省の文書改訂を受けて、鉛など有害物質を含有する既存塗膜の処理について工法や安全面での強化は
 合田 弊社においても通達を発出して、作業中の常時換気や検知警報器の配置、防毒マスク、帯電防止機能付きの防護服の着用などを徹底しています。これらの実施については、剥離剤を使用した剥離作業を行うすべての工事に対して工法変更指示を行い、措置を講じるにあたり期間がかかる場合は受注者の意向を確認して、一時中止や工期の延長も可能としています。措置のための費用についても、適切に変更を行うことを定めています。
 定期的な安全パトロールでも管理事務所の社員だけではなく、支社の社員が参加することで、より多くの視点で現場状況をチェックし、対応の徹底を図っています。


塗替え事例 津島高架橋(施工前と施工後)

塗替え事例 一宮西IC オフランプ橋(施工前と施工後)

 ――耐候性鋼材を採用した橋梁数と現状は
 合田 東海環状道に56橋、東海北陸道に1橋となります。国土交通省が施工したもので、引き受け後に桁端部と交差道路上の塗装を実施していて、開通後10年余りが経過しますが、変状は発生していません。

中央道のり面は検討会で再評価を行う
 「国土強靭化3か年緊急対策」に基づく要対策箇所は39箇所

 ――全国的に異常気象などによる土砂災害が相次いでいますが、その対策は
 合田 管内では、2018年に東海北陸道(荘川IC~飛騨清見IC)、2019年に新名神(四日市JCT~新四日市JCT)で大規模なのり面災害が発生し、2020年には中央道(中津川IC~飯田山本IC)でのり面崩落が起きました。
 のり面災害に対しては、社内の専門技術者による分析だけでなく、外部の有識者をメンバーとした「のり面防災対策検討会」を開催して、原因究明と適切な対策工法の検討を行い、復旧工事を実施しています。東海北陸道、新名神の災害でも検討会を開催しています。開通から50年となる中央道でも、過去に検討会でのり面評価を行ないましたが、その後、表面の風化が進んだこともあり、見直しを含めて改めて検討会のなかで再評価して必要な対策を取っていきたいと思います。
 ――管内の要対策箇所は
 合田 「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」に基づく対策箇所は39箇所です。2020年度中に本対策もしくは仮対策の完了を目指して、落石防止柵などの施工を進めています。


路線ごとの対策種別一覧(本対策)

新名神での対策事例

安全対策で大型移動式防護車両を導入
 ウェアラブルカメラを防災危機管理でも活用

 ――新技術や新材料の活用について、i-MOVEMENTの取り組みを含めて教えてください
 合田 弊社全体で進めているi-MOVEMENTは現時点ではほとんどが検討中や開発中で、イノベーション交流会などを開催しながら、いくつかの技術については実証実験を行っています。雪氷対策の効率化などの新技術をテーマごとに各事務所に割り当ていて、その事務所をマザー現場と呼んでいます。
 開発が完了したものとしては、中日本ハイウェイ・メンテナンス名古屋が主体となって開発した大型移動式防護車両「ハイウェイ・トランスフォーマー」があります。交通規制をともなう路上作業中に車両が規制区域内に誤進入する事故を防ぐことを目的に開発され、車両自体が移動式の防護柵に形を変えます。ポットホールの補修などで活用していく予定です。



ハイウェイ・トランスフォーマー。メインビームが左右スライド、前後伸縮し、作業員の安全を確保する

 ――名古屋支社では
 合田 ウェアラブルカメラを施工管理だけでなく防災危機管理においても活用しています。例えば、交通事故発生時に現場状況をウェアラブルカメラを通して交通管制センターのモニターで把握するといった使い方です。
 ――点検や渋滞対策で使用している技術などがありましたら
 合田 独自のものではありませんが、高解像度カメラと赤外線カメラは点検で活用しています。橋脚の展開図を描く際において、高解像度カメラの画像を用いて点検員が現場で描かなくて済みます。赤外線カメラは打音箇所のスクリーニングでの使用です。
 また、名港中央大橋の斜材点検には中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京の点検ロボットを活用しています。


斜張橋の斜材点検に活用されるロボット

 渋滞対策では、名神と東海北陸道が接続する一宮JCT付近の名神上り線ではファスナー合流を実施しています。合流箇所が多くなることで名神の流れが乱れて渋滞発生の一因となっていましたので、1台ずつ交互に合流することを促す取り組みです。具体的にはラバーポールを延伸して加速車線の先端部分だけで合流するようにしました。これにより、名神側の交通が乱されない状態になり、渋滞が軽減されました。


一宮JCTでのファスナー合流
 ――ありがとうございました
(2021年1月1日掲載。聞き手=大柴功治)

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