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2021年度に売上高1600億円めざす

横河ブリッジHD 髙田和彦新社長インタビュー

株式会社横河ブリッジホールディングス
代表取締役社長

髙田 和彦

公開日:2020.12.01

新設・保全とも確実に受注する体制が必要
 鋼橋分野における強さがアドバンテージ

 ――中期的な経営目標は
 高田 コロナ禍という特殊な状況もあり、今年度及び来年度は当初計画をそのまま踏襲できるのか見据えないといけません。ただ、土木分野は比較的安定して発注されており、これが当グループの安定的な売上、利益を支えています。まずはこのベースを守らねばなりません。しかし、土木分野もその内容は保全および大規模更新に内容が変わってきています。鋼橋分野は今年度から数年は大阪湾岸道路西伸部などのビッグプロジェクトがあり、堅調が予測されますが、その後は保全主体となります。そこを上手く切り替えて新設・保全とも確実に受注する体制を整えていく必要があります。安定感を保つためにはかなりの努力が必要です。
 ――具体的に保全分野をどのように強化していくのですか
 高田 鋼橋分野における強さというのはアドバンテージになっており、大規模更新案件では異業種とのアライアンスを含めた対応を考えていきます。

サブマリンスライサー/ラピッドガードフェンス(井手迫瑞樹撮影)

様々な制震装置も備えている(井手迫瑞樹撮影)

 ――一方、システム建築は攻めていますね
 高田 これは伸ばすべき分野です。現在yess建築のシェアは工場・倉庫などの建築市場においては5%程度でしかなくまだまだ伸ばせると考えています。ただ、民間向けであるシステム建築の営業は橋梁と異なり、より攻める営業が必要です。
 ――21年度の目標を見るともはや横河「ブリッジ」HDというよりも横河鉄構HDになりつつありますね
 高田 半分を占める橋梁はとても重要です。「ブリッジ」は橋梁という意味だけでなく、グループをつなぐという意味にもとれる大切な名前と考えています。

リモートワークはどんどんやっていく
 通勤時間の負担も軽減でき、ワークライフバランスにも寄与

 ――ポストコロナの働き方をどう考えていきますか
 高田 リモートワークはどんどんやっていこうというスタンスです。非常事態宣言の時に結構導入が進み、橋梁の設計や施工計画の部隊は8~9割がリモートワークとなっていました。現在は少しオフィスに戻る傾向があります。今後はリモートワークを進めるための適切な環境整備も必要です。育児や介護が必要な従業員が働けるのはもちろん、そうでない従業員も通勤時間という不必要な時間を削減し、ワークライフバランスに充てることができます。半面、従業員の管理という点では難しいところがあります。作業効率の面はもちろん、精神的な面も含めた健康管理をどのように行うかも考えなければなりません。しかし、それをこなしつつ、前向きに導入していこうと思っています。リモートワークはテレワークだけでなく、リモートオフィスという手法もあります。田町や西船橋のオフィスも、それぞれ西船橋あるいは東京勤務の従業員のリモートオフィスとして一部使っています。
 ――通勤時間の削減に踏み込んだのはさすがですね
 高田 通勤時間の負担は全従業員に共通していることですから。テレワークの充実については介護・育児などの留保条件は付けていません。設計や施工計画など非現場業務で、対応可能な従業員は須らく選択できるようにしていきます。例えばグループ会社の1つである横河技術情報の従業員はほとんどがリモートワークを選択しています。ただ新入社員の教育という点では少し難しさを感じます。リモートワークでもどのように教育していくか、模索する必要があります。
 また、リモートワークは目的ではなく手段です。成果は求めていかなければなりません。
 ――若手技術者の育成について
 高田 来年度35人程度の橋梁技術者を採用する予定(うち10人が女性)です。中でも課題は現場技術者をどうやって増やしていくか? です。どうしても転勤の頻繁さや僻地勤務を伴う現場技術者の人気は低く、設計部などインハウスの仕事の方が人気があります。ここをどうやって回転させて行くか、が悩ましいところです。
 しかし、今年はインターンシップで現場を見てもらった効果もあったのか現場に魅力を感じてくれた人も多く、楽しみにしています。
 また、現場手当の拡充も行っています。自宅への帰宅旅費の拡充も図っています。現場、工場、設計、施工計画などローテーションを組んで若手を育てていきたいと考えています。そうしたローテーションを経て、自分に適した専門性を磨いていけば良いと思います。
 ――最後に技術的な形で力を入れているのは
 高田 アルミ合金製検査路「KERO」、アルミ合金製足場「cusa」が漸く施工実績を増やしてきました。cusaは本州四国連絡高速道路で大きな実績をあげることができました。今後、他高速道路や都市高速でも採用が増えていくことを期待しています。KEROも着実に実績は増えています。

cusaは本四高速の瀬戸中央道で採用されている(横河ブリッジホールディングス提供)

KEROの実績例(横河ブリッジホールディングス提供
 ――ありがとうございました
(2020年12月1日掲載)

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