道路構造物ジャーナルNET

手取川橋の架替えにも着手

NEXCO中日本金沢支社 大規模更新が大幅に進む

中日本高速道路株式会社
金沢支社
保全・サービス事業部長

伊藤 公一

公開日:2020.08.07

28車線・箇所でジョイント取替
 鋼橋の塗替えは19年度3橋15,700㎡、20年度は8橋72,000㎡

 ――支承およびジョイントの取替え、ノージョイント化について今年度の施工予定箇所数は
 伊藤 支承取替えの今年度の予定はありません。大規模更新のなかで行えるかどうか検討中で、追加が出るかもしれません。


ジョイント部の損傷状況

支承部の損傷状況/ジョイントの取替状況

 ジョイントは今年度、28車線・箇所の荷重支持型の製品ジョイントを同じく製品ジョイントに取替えます。ノージョイント化については20車線・箇所をRC連結ジョイント(遊間がすごく小さいジョイントや埋設ジョイント)とする予定です。剛結までいきませんが、現場で固めてしまうイメージです。床版取替工事でも40車線・箇所を取替え予定しています。
 ――2019年度の鋼橋塗り替え実績と今年度の予定と、鉛など有害物質を含有する既存塗膜の処理は。また、溶射などの新しい重防食の採用がありましたら教えてください
 伊藤 2019年度は3橋で約15,700m2となり、そのうちの1橋(約4,700m2)はリニューアル工事で施工しました。2020年度は8橋で約72,000m2を予定しており、そのうちリニューアル工事では6橋、約40,300m2となります。有害物質を含有する既存塗膜の処理については、関係法令に従い適切に処分しています。なお、PCBを含有する塗膜の処分については、ストックホルム条約に基づき、2027年3月までに処分業務を契約し、2031年度までに処分を完了させるべく調査・工事を計画しています。

 特殊な溶射というのは特段考えていません。過去に鋼製支承が腐食したときに亜鉛溶射を行ったことはありますが。
 ――NEXCO西日本のように桁端だけ溶射することはありませんか
 伊藤 やっていません。通常のC塗装系です。
 ――NEXCO中日本ではIHや循環式エコクリーンブラストなどのさまざまな剥離方法を採用していますが、管内で採用している剥離方法は
 伊藤 すべて剥離剤(湿式)とブラストの組み合わせで施工しています。


剥離剤による既設塗膜の除去

ブラストによる素地調整/ジンクリッチペイントの塗布

下塗りおよび上塗りの完了状況

 ――2年前には早月川橋でIHを採用していましたが
 伊藤 受注者の技術提案で採用しましたが、発注者の指導で使用したわけではありません。
 ――名古屋支社で一部採用している循環式エコクリーンブラストは
 伊藤 まだ使っていませんが、切り替えを検討しているところもあります。廃材の量が産廃の量に直結しますので、そこは考えていかなければなりません。
 ――東名 吉田高架橋の火災事故のほか、最近では熱中症や中毒症で搬送されたという話も聞きました。本社の中間取りまとめに準じているとは思いますが、安全や施工環境面で支社独自で行っていることがありましたら教えてください
 伊藤 本社が公表した安全対策とりまとめの対策を現場でチェックしながら進めています。独自のものはありません。熱中症対策については、受注者からの提案も含めて、積極的に費用面も協議で面倒をみるということは従前から行っています。
 ――耐候性鋼材鋼材を採用している橋梁はないですね
 伊藤 はい。

災害対策 内幅300mm以上の排水溝に取替
 今年度は21のり面で施工予定

 ――豪雨や台風などで一昨年は中国道、昨年は上信越道などが大きな被害を受けましたが、管内でも道路に面する斜面や古いのり面、盛土構造などをどのように補修・補強していくのか、具体的な事例や計画などがありましたら教えてください
 伊藤 道路防災総点検での要対策箇所は支社管内にはありません。ただ、短時間豪雨によるのり面の崩落が散見されていますので、中長期の対策として、3段以上ののり面を対象として、小段排水溝・縦排水溝・集水ますの取替え、コンクリートシール工などの大規模修繕を実施しているところです。
 ――具体的には
 伊藤 内幅300mm未満の排水溝を内幅300mm以上の排水溝に取替えて、排水断面の確保し、排水溝の取替えにあわせた集水ますの取替え、合流部の溢水・跳水対策を実施しています。小段にコンクリートシールを施工して洗掘防止対策も実施しています。
 今年度は、敦賀IC~今庄IC間(13のり面)、加賀IC~片山津IC間(2のり面)、金沢森本IC~小矢部IC間(13のり面)において、21のり面を施工予定です。
 ――NEXCO東日本の北海道支社管内では盛土が崩れるケースもありましたが、支社管内の盛土については損傷を受けそうな箇所はないと考えていいでしょうか
 伊藤 すぐに直さなければいけないものは確認できていませんが、盛土で災害を起こすのは傾斜地盤上の盛土であったり、沢盛土であったりしますので、そういったところに着目しながら、点検結果に基づいて必要なところは水抜きなどの対策をしていきたいと考えています。
 ――沢盛土の水抜きはすでに行っているのですか
 伊藤 これから、必要に応じて対策をしていくことになります。
 ――新技術や新材料の活用がありましたら
 伊藤 NEXCO中日本グループで開発している製品は、グループ会社の点検やメンテ業務のなかで自分たちが安全や効率面で必要になったものです。規制線内に進入してくる車を止める「とまるくん、とまるぞー」や異常があるとセンサーで感知して作業員に知らせるといった安全対策の製品はどんどん取り入れています。メンテ北陸では、狭隘部でもWJが可能な「スーパーナロースペース」を開発しました。
 凍結防止剤のプロピオン酸ナトリウムの試行・検証の実施も行っています。
  ――付言して
 伊藤 リニューアル工事にともなう対面通行規制はこの春施工では5箇所ありました。お客様にはご迷惑をかけながら、やらせていただいているという面があります。2、3年後には10箇所以上、最大で12箇所施工することになりますので、お客様への影響を最小限にすることを第一目的にしての情報提供や安全対策にしっかりと取組み、安全を最優先にして事業を進めていきたいと考えています。
 ――ありがとうございました
(2020年8月7日掲載)

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