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連結売上を2025年度で310億円超目指す

富士ピー・エス 堤 忠彦新社長インタビュー

株式会社富士ピー・エス
代表取締役社長

堤 忠彦

公開日:2019.11.07

中央道岡谷高架橋で主ケーブルが損傷した橋梁の補強・更新担う
 バングラデシュで有ヒンジ橋の連続化に従事

 ――FITSAは計測機器を売っていく方向で考えているのですか
 堤 オープンにして、建設コンサルタントに広く使ってもらっていただけるようにしたいと考えています。その方が、全体の市場も広がります。
 特殊な補修補強という点では、NEXCO中日本の中央道岡谷高架橋で、鹿島建設とJVを組んで工事に着手しています。同橋は主ケーブルが大きく損傷しており、その補強・更新に数年を要します。PC桁の大規模補強としては、エポックな現場です。
 ――他には
 堤 バングラデシュに社員を派遣し、有ヒンジ橋を連続化する工事に携わっています。大林組の下請として現場に入っています。収益を得るというよりは、社員の技術的研鑽や海外工事の経験の蓄積を図る位置づけにしています。


喜連瓜破高架橋(阪神高速道路)のヒンジ部の補強にも携わっている

バングラデシュでの橋梁補修工事

鋼橋ファブは宮地との長年の関係を重視
 下部工・基礎を担う中堅ゼネコンとの提携も

 ――異工種とのコラボは
 堤 まず鋼橋ファブとの連携については、宮地エンジニアリングさんと古くから様々なかたちでの勉強会を開催しています。これは歴史も長いですし、関係も深くなっています。現在はNEXCO中日本八王子支社の床版取替に関する新技術募集に2社で応募し活動をしています。今後も鋼橋のパートナーとして協力関係を継続していきたいと考えています。
 異工種ということについては、新設では上部工専門でやってきましたが、メンテナンスで言うと上部工の補修補強だけという風には行きません。例えば外ケーブル補強するにしても下部工・基礎への影響があるケースもありますから、橋全体のメンテナンスができるグループを作らなくてはいけないということで、下部工を得意とする中堅ゼネコンとの協力関係の構築を模索中です。
 ――これは資本関係を伴う提携を進めているという事ですか
 堤 違います。あくまで資本関係は伴わない技術的な協力協定です。JVを優先的に組むことや、技術の共同開発などを念頭に置いたものです。
 ――提携を考える相手先の強みは
 堤 たとえば橋梁構造物の基礎工の技術に優れている会社などです。

PCaPC床版を委託する工場としての提携も模索
 建築事業で工事部署を新設 手足となる会社のM&Aも検討

 ――上部工分野では
 堤 当社単独で、維持・更新分野に当たるには限界があります。床版更新でもPCaPC床版の製造において、当社の工場が地理的に空白になっている地域において、コンクリート二次製品工場を有する会社と製造協力関係を行う事を模索しています。
 ――もう少し進んでM&Aを積極的に行うことは考えないのですか
 堤 どんどん進めたいと考えています。つい最近も1社検討していましたが、最終的に条件が合わず撤退しましたが、今後も条件を見ながら積極的に検討していきたいと考えています。
 ――製作工場だけでなく現場施工する会社の買収などは考えないのですか
 堤 10月1日付で建築事業分野に工事を主管する部署を新設しました。当社では今まで建築分野は製品供給を主体としていましたので、建築工事を専門的に所管する部隊はいませんでした。。
 昨年、東京未来大学の体育館の工事において本格的なプレキャストPC構造の建築を手がけたことが転機となりました。
 先ずは少ない人数でのスタートとなりますが、いずれは中核となる事業に育てていきたいと考えています。この分野で、できれば、中小工事業者をM&Aしたいと考えています。

協力業者の技術的・人的・財務的底上げを支援
 技能者の多能工化進める

 ――橋梁の大規模更新分野で同様の工事業者のM&Aや人の手当の強化などは考えないのですか
 堤 協力業者が弱体化していることは確かです。下請がそういう状態では、施工体制にも支障が出てきます。
 今年、社長就任した時に5つぐらい基本方針を出したのですが、その中の1つが安定した施工体制の再構築でした。そのメインは協力会社です。今まで財務管理に関しては、それなりに指導していましたが、今後はリクルートも積極的に支援していきます。結局会社を形作るのは人ですから。
 ――リクルート支援とは具体的にどういうことを行いますか
 堤 当社元請工事現場を用いた1dayインターンシップなどです。
 ――協力会社の財務の弱体化に対する施策は
 堤 安定的に仕事を作ってあげることです。富士ピー・エス本体としては全国区で業績が伴えばよかったのですが、地方にある協力業者としては、「各地方で」仕事が無ければ、苦しいところも出てきます。そうした事態を防ぐために各地方で満遍なく仕事を受注する戦略を立てていく必要があります。
 そのため受注計画を、必ず主力協力会社への当社からの発注計画とリンクさせて管理させていくようにしています。
 ――そのためには、新設の現場打ちを得意とする協力業者も大規模更新に対応できるよう、技術的に生まれ変わらせるような指導が必要になりますね
 堤 そうした指導は既に行っています。例えば大規模更新事業をにらんだ投資としては、WJ機械を購入して、協力会社に研修させて、使いこなせるように育成しています。そうすることで専門業者に発注していた分を協力業者に施工させることができるようになっています。あるいは協力関係にある運送業者やクレーン業者にプレキャストPC床版の架設まで施工させるケースもあります。下請も多能工化することが大事です。

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