道路構造物ジャーナルNET

水性塗料と有害物質を飛散させない安全な素地調整

首都高速 鋼橋塗装設計施工要領を新たに制定

首都高速道路株式会社
技術部長

並川 賢治

公開日:2017.08.25

安全講習の受講者は延べ約1,200人
 受講修了者以外は塗装作業への従事を原則認めない

 ――最後に安全対策についてですが、本要領で新たにテコ入れした点は?
 並川 火災事故再発防止対策に基づき安全対策を講じています。具体的には不燃性、防爆性を有する各種設備を採用することを標準にするといった対策です。また、現場が危険な環境となった場合に作業員がすぐ気付くようVOCアラームも設置することにしています。これらは首都高速道路の土木工事安全衛生管理指針に記されています。
 作業員の教育も積極的にやっています。具体的には(一社)日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会の協力を得ながら、講習会を開き、作業員が不安全行動をしないよう知識の向上を図っています。安全講習会の受講者は延べ約1,200人に達しています。現場では安全講習会の受講修了証を保持している作業員以外は塗装作業に従事することを原則として認めていません。こういった活動が結果的に彼らの身を守ることにつながると考えています。
 ――素地調整時に必要な設備・装備類の規定は?
 並川 有害物質が含有する粉塵を周辺に拡散させないため、角間をシートとテープで目張りして区切った空間の中で、素地調整を実施することにしています。
 そのため作業現場は、①警告標識:有害物質作業領域の明確化、②飛散・落下防止設備:板張り、安全ネットや防炎シート、養生用テープ等の防護、③照明設備:防爆型照明、防爆型ドラムの使用、④換気設備:周辺環境に粉塵が飛散しないようHEPAフィルタ等を装着した負圧集塵機の設置、⑤真空掃除機、⑥セキュリティールーム:ダーティールーム、クリーンル-ム、着替えルームの3つに隔離された空間、⑦保管・廃棄用容器などの設備、を取り入れています。
 また、素地調整時に必要な装備として、①電動ファン付きマスク(作業者は全面形、それ以外の者は半面形もしくは全面形)、②保護眼鏡、防護服、シューズカバー、防護長靴、防護手袋の着用を義務付けました。

 ――ありがとうございました

ご広告掲載についてはこちら

お問い合わせ
当サイト・弊社に関するお問い合わせ、
また更新メール登録会員のお申し込みも下記フォームよりお願い致します
お問い合わせフォーム