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NEXCO東日本三郷管理 東京外環道 鋼床版の補修・補強施工を進める

東日本高速道路株式会社
関東支社
三郷管理事務所 所長

紫桃 孝一郎

公開日:2017.06.01

基層アスファルトの最終除去はウォータージェットを採用
 疲労亀裂は約3,000個所発生、約2,000個所で対策完了

 ――鋼床版の補強と補修について、施工面積と工法を教えてください
 紫桃 SFRC舗装の面積は、今年度は東北線跨線橋部分で約900㎡、幸魂橋部分で約1,000㎡の合計2箇所で約1,900㎡となる予定です。
 鋼床部の疲労き裂は、溶接での補修が基本方針です。溶接補修については議論があるところかと思いますが、委員会をつくって、外環道で使用している比較的新しい鋼材、施工方法を検討した結果、溶接が可能であると判断して、外環道ではその方法で補修を行っています。これがほかの道路にすべて当てはまるわけではありません。


疲労き裂発生状況

疲労き裂補修

 疲労き裂は、3,000箇所以上発生しており、現在2,000箇所以上が補修完了となっています。き裂で一番多いのはビード貫通で、ごく一部ですがデッキプレート方向へ向かっているものがあります。デッキ方向に伸びているき裂については、当板補修を行っています。デッキ貫通は非常に少なく、2箇所確認していて2箇所ともすでに補修済みです。
 ――SFRC舗装の施工では、鋼床版上の残滓、とくに基層のグースアスファルトの除去を完璧に行わないと、SFRCをきれいに打設できないし、期待する剛性効果も得られないと思います。除去をどのような方法を考えていますでしょうか
 紫桃 今年度の施工では、基層アスファルト、防水層の最終除去はウォータージェットで行い、その後ショットブラストを行う計画です。
 ――ウォータージェットとショットブラストをやるとなると、相当時間がかかります
 紫桃 その時間は見込んでいます。これまで何回かSFRCの施工をするなかで、年数が経過したアスファルトや防水層はこびりついて取れないので、除去をするのに相当時間がかかりました。全体の工程を左右することになりますので、今年度はウォータージェットを採用してみることにしました。水圧や水量は事前の試験施工で設定する予定です。
 ――支承の取替えや補修計画は
 紫桃 熊本地震を受けての耐震補強で支承交換も検討課題にはなると思いますが、現時点では計画にありません。なお、外環道の支承は鋼製支承で、ゴム支承はほとんどありません。
 ――鋼製支承は腐食する可能性があり、溶射や塗装で補修しているケースもありますが、どのような対策を
 紫桃 すべての支承に亜鉛メッキ防食がされているので、すぐに補修が必要な腐食は確認されていません。そのような状態ですから、溶射をやる必要はないと考えています。


東京外環道の一般的な支承

 ――伸縮装置の現況と補修については
 紫桃 基本、本線橋は鋼製フィンガージョイントです。止水の問題はありますが、本体はそれほど損傷していません。ランプ橋はゴムジョイントで損傷が出ている箇所があるので、点検をして、現行基準の製品ジョイントに交換をしています。しかし、ランプ橋なので1車線しかなく車線規制の問題があって、年に数箇所しか交換ができていません。


伸縮装置の止水対策(補修前/補修後)

 ――ノージョイント化についてはいかがですか
 紫桃 外環道には、RC橋など支間20m前後の橋梁がなく、鈑桁など支間50mクラスのある程度長い橋しかありませんので、現段階では計画に入っていません。また、埋設ジョイントもありません。

高架区間約27km、さらに高架下に国道があり
 毎年コンクリート剥落防止工事が発生

 ――塩害やアルカリ骨材反応などのコンクリート劣化が出ていれば、その状況を教えてください。寒冷地でなくても凍結防止剤を撒いているところでは、本体は大丈夫でも地覆や高欄の内側に鉄筋が露出しているケースもあります
 紫桃 点検では、塩害、アルカリ骨材反応ともに出ていないので、大きな劣化は生じていないと言えます。かぶりが薄い箇所では鉄筋が錆びて、剥落している箇所はありますが、都度修復しています。冬期には凍結防止剤を散布していますが、今雪氷期で凍結防止剤散布が約10回ほどと量は多くないので、塩分が濃縮している状態にはなっていません。
 ――高架下が国道298号なのでコンクリートの剥落対策が非常に重要になっていると思います。どのような対策を行っていますでしょうか
 紫桃 ほぼ全線高架で対象範囲が広く、なかなか追いついていない状況ですが、毎年工事をしています。28年度発注で外環浦和IC~川口西IC間の16,000㎡、今年度発注でその周辺部の13,000㎡の剥落防止対策工事を行います。対策としては、NEXCO基準どおりの要求性能を求めるものですが、28年度はビニロン製の3軸メッシュを使用しています。



コンクリート剥落防止対策工事

コンクリート剥落防止対策工事完成後

 ――橋梁の塗り替えは予定されていますか
 紫桃 先ほども言いましたが、ジョイント部で水が漏れていて部分的に損傷しているところはありますが、全体的に錆が多く出ている橋梁はないので、塗り替えの予定はありません。橋梁以外の部分も外装板があり桁が見えないところがあるが、損傷は少ないと言えます。

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