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7割以上が単径間、157箇所が矢板工法

大分県 2437橋、252トンネルを所管

大分県土木建築部審議監
(前大分県土木建築部参事監兼道路保全課長)

菖蒲 明久 氏 氏

公開日:2016.05.17

 大分県は県土の約7割が山地で、海岸部は県南部がリアス式海岸となっていることなどからトンネルは全国1の252本を誇る。また同様の理由に加え河川も多く存在していることから橋梁も2,437橋を管理しており、橋長100㍍以上の長大橋が201橋と約1割を占める。また、特に橋梁は、高度掲載成長期に建設が集中しており、保全は喫緊の課題と言える。その内容について菖蒲明久土木建築部審議監に聞いた(取材当時は道路保全課長)。

橋梁 高度経済成長期に35%が集中
 トンネル 50年以上経過は34箇所

 ――保全事業について県管理橋梁・トンネルの内訳から
 菖蒲 本県の管理橋梁は2,437橋です。橋種別では鋼が393橋、RCが952橋、PCが1,061橋、石橋その他が31橋とコンクリート系が8割を占めます。全体の約半数が15㍍未満の短い橋梁ですが、九州の中でも本県は河川延長が一番長いこともあり、橋長100㍍以上の長大橋(家島大橋、弁天橋、大在大橋、鶴崎橋、乙津橋、恵比須橋など)も201橋と1割近くを占めています。また、径間数では、7割以上が単純径間の橋梁となっています。


橋種・橋長・径間数ごとの橋梁内訳

経過年数ごとの橋梁内訳/路線および橋長(延長)別の橋梁・トンネル内訳

 橋梁の架設年度の分布をみると、高度経済成長期(1955~73年)に全体の35%の建設が集中しており、50年以上経過した橋梁は579橋(24%)と1/4を占めます。路線別で見ると一般国道が669橋(27%)、県道で1,768橋(73%)となっています。
 トンネルについて申しますと、本県が管理するトンネル数は252本と全国一を誇ります(総延長は北海道が1位)。県土の約7割が山地で、海岸部も県南部がリアス式海岸となっていることがトンネルを多く抱える要因となっています。工法別で分類すると、矢板工法が157トンネル、NATMが89トンネル、その他が6トンネル(BOX工法が1、煉瓦積みが2、素掘りが3)という構成です。


工法別トンネル数

 トンネルの建設本数の推移を見ますと、高度経済成長期以降増加しており、完成後50年以上が経過したトンネルは34トンネル(13%)となっています。路線別では一般国道が104トンネル(41%)、県道が148トンネル(59%)となっており、延長別では100㍍未満のトンネルが85トンネル、1,000㍍以上のトンネルが12トンネル(5%)となっています。

区分ⅣはRC橋で多い
 区分Ⅲは鋼橋次いでRC橋が多い

 ――点検を進めてみての管内各路線の大まかな劣化の傾向は
 菖蒲 大分県では平成21年度以降に実施した点検結果に基づき、健全度の判定区分により評価した結果、緊急に措置が必要な橋梁が78橋(3%)、早期に措置が必要な橋梁が737橋(30%)確認されています。橋種ごとの劣化傾向は、緊急対応が必要な健全性Ⅳの橋梁は数%となっていますが、RC橋にやや多く見られています。また、早期措置の必要がある健全度Ⅲの橋梁は鋼橋に多く、RC橋もやや多く見られます。


健全性区分ごとの橋梁数(全体)

健全性区分ごとの橋梁数(左から鋼・PC・RC)

 部位ごとの劣化傾向については、主部材である主桁や床版では、剥離・鉄筋露出が多く、他に防食機能の劣化・腐食なども散見されます。また二次部材では、地覆でうきが、高欄で変形、欠損がそれぞれ確認されています。


橋梁の損傷状況写真

 ひび割れ、うき、剥離・鉄筋露出などの損傷は、主に乾燥収縮などの初期変状やアルカリ骨材反応などによるものと考えています。防食機能の劣化・腐食については、経年劣化や伸縮装置部・舗装面からの漏水に起因したものが多く確認されています。特に桁端部からの損傷が多く見受けられます。


塩害やASRで損傷した橋梁例① 国道326号 上津小野橋

塩害やASRで損傷した橋梁例② 県道413号杵築安岐国東自転車道線 銀輪橋

トンネル 区分Ⅳが22箇所、区分Ⅲが178箇所
 矢板工法だけでなくNATMトンネル施工箇所でも劣化が散見

 ――橋梁についてお話しいただきましたが、一方トンネルの健全度はいかがでしょうか
 菖蒲 平成24~25年度に実施した定期点検の結果に基づき、健全度の判定区分により評価した結果、緊急に措置が必要なトンネルが22トンネル(9%)、早期に措置が必要なトンネルが178トンネル(70%)確認されています。劣化傾向については、矢板工法で施工されたトンネルの損傷は、全般的な損傷(うき、剥落、ひび割れ、漏水、巻厚不足、背面空洞等)が大半で見られます。また、NATM工法で施工されたトンネルでもうき、剥落、ひび割れが主に打ち継ぎ目付近で部分的に欠けている状況が見られます。要因としては経年劣化、乾燥収縮、地下水の供給によるものが多いようです。


工法別トンネル数

 ――ひび割れについてはどの方向に出ていますか。また、土圧などによるシリアスな損傷というものはありますか
 菖蒲 ひび割れの方向としては目地伝い(軸直角方向)に出ているケースがほとんどです。軸方向にひび割れが見られるケースもありますが、背面土圧などによるシリアスなケースは今のところ見られておりません。

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