道路構造物ジャーナルNET

維持管理 リスクベースメンテナンスの考え方導入

浜松市 三遠南信道路、原田橋などの事業を推進

浜松市土木部
次長兼道路課長

黒田 聡也 氏

公開日:2016.03.16

耐震補強 27年度は19橋、28年度は9橋で実施
 跨線橋7橋の施工が課題

 ――橋梁耐震補強の実施状況は
 黒田 当市では平成30年度の完了をめどに、平成8年より前の道路橋示方書を適用した橋梁のうち橋脚を有する104橋(緊急輸送路上の橋長15㍍以上の橋梁56橋、跨線橋20橋、東名を跨ぐ跨道橋28橋)の耐震補強を実施しています。26年度末までに、71橋が完了(進捗率68%)しており、27年度は、国道152号横山橋など19橋(繰越含む)で実施中です。平成28年度は、国道362号新秋葉橋など9橋で実施予定です。
 落橋防止装置の設置は、津波浸水区域内の避難路などの橋梁43橋について、平成25~26年度に実施済みです。
 ――残る橋梁のうち、難しい形式の橋梁は
 黒田 JRや遠州鉄道、天竜浜名湖鉄道を跨ぐ跨線橋が結構残って(跨線橋7橋)おり、苦慮しております。既存のクリアランスに配慮しつつ、鉄道事業者との調整も図らねばなりません。
 ――落橋防止鋼製治具の溶接不良について
 黒田 不正行為を行った製作会社の製品を用いた施工があり、跨線橋や跨道橋を含む21橋が対象となっており、現在確認を行っています。定期点検時に抱き合わせて確認することも考えています。

予防保全型管理 323橋を対象
 要補修82橋中、26年度末で10橋が完了

 ――橋梁の長寿命化修繕計画にもとづいた対策の進捗状況についてお答えください。また、具体的な損傷状況と補修補強内容についても例を挙げていただけましたら幸いです。
 黒田 市では、平成23年度に橋梁長寿命化修繕計画を策定しました。計画はリスクベースメンテナンスの考え方により、緊急輸送路など重要度の高い橋梁約1,600橋を予防保全型管理として位置付けて、このうち橋長15㍍以上の323橋を対象としています。点検結果から補修が必要と判断された橋梁82橋について、25年度から修繕を進めており、26年度末では10橋が完了(進捗率12%)した状況に留まっています。


対象となる323橋と要補修橋の対策実施状況

 平成27年度は15橋、28年度は25橋、29年度は43橋で補修補強を計画しています。今後は点検による損傷も見つかってくるでしょうから、補修補強が必要な橋梁数は増える傾向にあると考えています。
 重要度が低いと判断した橋梁については巡回監視型、いわゆる事後保全での対応、とメリハリを付けて補修補強していくことを考えています。

27年度は天竜川橋などで補修
 28年度は浜名湖大橋を断面修復、支承修繕、表面被覆

 ――具体的にはどのような橋梁を施工していますか
 黒田 27年度で申し上げますと、一般県道磐田細江線の天竜川橋(920㍍、鋼14径間ワーレントラス橋)、国道152号の西川橋(36.8㍍、鋼上路式トラス橋)、一般県道水窪森線勝坂大橋上下線(34.2㍍、上り線は3径間鋼鈑桁、下り線は3径間RCT桁)などを補修補強しています。天竜川橋は、その名の通り一級河川天竜川を渡河する1㌔近い長大橋ですが、今回は橋面舗装工(1,410㎡)、伸縮装置の取替え(2箇所、荷重支持型鋼製ジョイント)、地覆や防護柵の補修工事を行っています。西川橋や勝坂大橋については床版の補修や支承の取替、橋梁の塗り替え(1,489㎡、3種ケレン)などを行う予定です。


27年度の主な対策実施橋(2016年1月26日現在)

西川橋

勝坂大橋

天竜川橋

 28年度の目玉となるのが一般県道舘山寺弁天島線の浜名湖大橋です。
 同橋は1973年(昭和48年)に有料道路の一部として建設された橋長836.5㍍のPC・鋼複合橋で、03年に静岡県道路公社から一般県道として移管され、浜松市の政令都市化に伴い、引き継いだものです。その名の通り、浜名湖上を走る橋梁で、径間数は実に25に達します。今回はPCT桁部分(22径間、676.4㍍)の断面修復工(数量未定、左官工法)、鋼橋部(150.1㍍、3径間)の支承修繕工、下部工の表面被覆工(数量未定、塗装工法)を施工する予定です。

 ――床版防水の設置状況の把握はなされていますか
 黒田 現在、新設橋梁については全て床版防水工を実施しています。しかし、建設年次が古いRC橋、PC橋については、橋面防水工が施工されていない橋梁が大半を占めていると推測されます。県に準じて施工していましたので、平成8年以降は確実に防水工を施工していると考えています。
 ――塩害やアルカリ骨材反応による損傷は
 黒田 顕著なものはありません。
 ――疲労による損傷は
 黒田 佐久間ダムから降りてくる国道473号で1橋、同ダムの浚渫土砂運搬トラックによる活荷重で鋼床版に疲労亀裂が出たケースもあります。桁下に補強を施し対応しましたた(端部桁増設)。
 ――支承および伸縮装置の取り替えは
 黒田 支承取替は、27年度は国道152号西川(さいがわ)橋で施工しております。西川橋は現状と同様の鋼製支承に交換します。28年度は市道曳馬中田島線白竜橋(75.2㍍、鋼単純非合成鈑桁×3連)で30基の支承交換を予定しています。いずれも鋼製支承をゴム支承に取り替えるものです。
 伸縮装置の取替は、27年度は天竜川橋他9橋で施工しました。28年度は(主)天竜東栄線青谷橋他5橋で計画しています。

支承取替予定

 ――2015年度の鋼橋塗り替え実績(橋数と面積)と、2016年度の鋼橋塗り替え予定(同)は。また塗り替えの際の全体的・部分的な用途でもいいので溶射など新しい重防食の採用などについてもお答えください。また、PCBや昨年の厚生労働省・国土交通省から2014年5月30日にでた文書を受けて、鉛など有害物を含有する既存塗膜の処理についてどのような方策をとっているのか教えてください。加えて、耐候性鋼材を採用した橋梁で錆による劣化・損傷が報告されている事例が出てきていますが、浜松市では採用事例が何橋あり、現状どのような健全度を示しているのか教えてください
 黒田 15年度の実績は、国道362号新気田川橋他12橋塗装面積11,800平方㍍、16年度予定は国道257号新祝田橋他10橋を予定しています。塗装面積は未定です。溶射等重防食採用の実績はありません。下地処理は概ね3種ケレンですが、PCB等有害物質を含有する既存塗装の処理にあたっては、除去せず封じ込める工法の採用や、ブラスト工法、剥離工法など新技術・新工法の採用などの方策を検討しています。
 耐候性鋼材の採用実績は31橋です。採用橋梁の建設年度は、比較的最近のため顕著な劣化・損傷は確認されていません。

道路防災 国道152号の56箇所を優先対策
 法面および法面構造物ガイドライン、点検マニュアルの策定に着手

 ――全国的に異常気象などによる土砂災害が相次いでいますが、浜松市として道路に面する斜面や、古い法面などをどのように補強・補修して道路を守っていくのか具体的な事例や計画などがありましたら教えてください
 黒田 平成8年道路防災点検における市内の国県道の要対策箇所385箇所のうち、平成26年度末までに対策が完了した箇所は137箇所で、未対策箇所が未だ248箇所残っている状況です。平成25年度には天竜区内の国道152号において、事前通行規制区間内(L=19.9㌔)の法面点検(過去実施済み箇所も含む)を実施した結果、平成8年道路防災点検の未対策箇所に加えて、新たに対策が必要と見られる箇所が確認されました。
 これら全ての箇所の対策には、長期間、且つ膨大な事業費が必要となることから、優先度に応じた実施箇所の選択と集中が不可欠です。
 今後、浜松市北部山間地域の住民生活、経済活動等を支える国道152号の対策について、周辺道路状況等を踏まえて、より優先的に取り組む方針で検討を進めます。なお国道152号の要対策箇所数は56箇所(H8防災点検14箇所、H25追加42箇所)となっています。
 平成27年度中に、法面および法面構造物を適切に維持管理するためのガイドライン、点検マニュアルの策定に着手します。策定後は、このガイドラインを基に点検結果を診断し、延命化、予算平準化、コスト縮減を図りながら、適切な維持改修を行うために修繕計画を策定していく方針です。


大瀬トンネル災害防除

 ――保全における新技術・新材料の導入やコスト縮減策について
 黒田 道路施設の維持管理に際しては、リスクベースメンテナンス(リスクを基準に検査およびメンテナンス (検査、補修、改造、更新など)の重要度、緊急度を評価し、優先順位を付けて維持管理を行う手法。リスクは破損の起きやすさ(破損確率)と破損による被害の大きさ(影響度)の積として定義される)の考え方を導入し、重要度に応じた管理区分を導入することで、事業の選択と集中とともにコスト縮減に取り組んでいます。
 新材料・新技術の導入としては、国道152号横山橋(天竜区)で直下の天竜川の河積阻害を防ぐため、橋脚の耐震補強にアラミド繊維シート巻立ておよびポリマーセメントモルタル巻立てを施工しています。


横山橋でアラミド繊維シートおよびPCMを使って橋脚耐震補強

 ――橋梁の架け替えや大規模修繕については
 黒田 橋梁の架け替え方針について、今後整理を進めていきたいと考えています。
 ――ありがとうございました
(2016年3月16日掲載)

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