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極小口径の削孔で床版内部を調査可能な

コンクリート微破壊検査研究会(仮称Triple I研究会)を設立

一般社団法人 日本建設機械施工協会 
施工技術総合研究所
研究第二部 部長

谷倉 泉 氏

公開日:2016.01.16

コアメンバー+各地域の設計会社、調査専門会社を統合

 ――現在の構成会員は
 谷倉 技術開発を主導した施工総研、小口径削孔技術を有するティ・エス・プランニング、各種材料を取扱っているトクヤマエムテックの3社がコアメンバーで、これに極小径の内視鏡を有すオリンパス社、内部画像の撮影・処理に関して特殊技術を有する会津土建、浸透性の高い樹脂を開発している日進化成さんなどにも参画してもらいたいと考えています。これを核にして全国に支部を設け、各支部において中心となるコンサルタント(設計業務)、調査(実際の施工)会社を育てていくシステムに出来ないかと考えています。調査会社は補修・補強を専門に行っている中規模の会社や地元ゼネコンなどを念頭に置いています。既に何社かが手を挙げて下さっています。本工法は、会員になって頂いた会社に優先的に使用して頂く予定です。

圧倒的に小口径で母材に影響を与えない
 それでいて内部のひび割れを的確に把握可能

 ――他の小口径削孔技術との大きな違いは
 谷倉 圧倒的に小口径であり、母材にほとんど影響を与えない簡便で低コストな調査手法だと言えます。しかもひび割れが層状だとコア削孔が不可能ですが、本工法では全く問題にはなりません。研究会が用いているSingle i 工法は、削孔ドリルにティ・エス・プランニングの「ロングビットドリルミニ」を使用します。同ドリルを用いて、まず舗装上もしくは床版下面からφ5㍉の削孔を行った後、ひび割れに含浸する色付きの特殊樹脂を注入して15分程度養生し、特殊樹脂が硬化した後に再度φ9㍉で同位置に削孔し、極小径の内視鏡を挿入します。特殊樹脂が含浸したひび割れ部は着色されているため、その場で、孔壁のひび割れがモニター画面で視認できます。他の工法ではコアに生じている微細ひび割れは試験室に持ち帰り、蛍光塗料とブラックライトを用いた手法で調査しなくてはならないため、結果の判定に多くの時間とコストを必要としていました。本工法ではそれが不要になります。
 また、内視鏡を一定速度で挿入して撮影した動画を、専用ソフトウェアでひずみ差の極めて少ない展開図としてほぼ同時に合成処理できるため、数分後にはどの位置にどのような微細ひび割れが生じているか現場でチェックすることが可能です。鋼板補強した床版下面においては、床版の損傷だけでなく、床版と鋼板の接着状況も調査の対象になりますが、界面が剥がれていないか、水が滞留していないかなども僅かな隙間で視認できます。状況によっては、鋼板削孔を排水口あるいは観察口として利用できる可能性もあります。
 孔径が極めて小口径のため穴埋めも簡便で構造物を傷める心配もなく、撮影は側視(120°角)で精度の良い調査を効率的に行うことができます。ひび割れ幅の測定精度は0.01㍉以下であり、微細なひび割れだけでなく、空隙やASRリムの観察も可能です。施工時間は、削孔5分、樹脂注入固化15分、調査5分、孔埋め補修5分の合計30分であるため、複数の施工班で段取りをうまくやれば、1時間に多数の削孔調査も可能です。
(調査手順は写真①~⑦)

 ――コアドリルでは鉄筋を切断する危険がありますが、それは?
 谷倉 削孔位置は、電磁波レーダーを用いた非破壊検査機で鉄筋位置を確認した上で施工します。基本的に、事前調査や設計図が正確であれば鉄筋に触れません。また、Single i の削孔に使っているロングビットドリルはブレのない直線的な削孔が精緻にできるため、これらの鉄筋に触れた場合には作業者の感触でもすぐにわかります。さらに、同ドリルの削孔における回転強度(トルク)は比較的弱く、かつ使っているダイヤモンドビットも金属類では滑り抵抗の弱い特殊な配合のため、鉄筋を切断することなく即座に作業を中止することができます。

工学的知見と工法の合わせ技で補修補強範囲を限定
 点検や補修に係る費用を縮減

 ――内部の点検がそれほど容易に分かるのであれば補修補強範囲の特定もし易いですね
 谷倉 例えば鋼板接着で補強されている箇所を叩くと、界面に隙間がある場合はパコンというような乾いた高い音が発生し、きちんと付着している場合はカチンというような密実な音がします。しかし、界面に水が滞留している場合は、密実面に似た音に聞こえます。変だなと思っても、そこで見落としてしまうケースもある。そうした箇所にSingle i を使えば水の有無がすぐに確認できます(左写真)
 また、典型的なRC床版上面の砂利化した箇所の舗装上からの調査はもちろん、ASRや凍害などの層状ひび割れの発生が多いジョイント付近、排水口周りなどケースにつきましても、内部の状況を実際に小口径の孔をあけて確認することで、より正確な情報を得ることが出来ます。これまであやふやで頭を悩ませていた補修すべき範囲を把握し、事前により具体的な施工計画を立案したり補修費用を見積もることができ、点検や対策に係る費用を縮減できる可能性が高いことが喜ばれるのではなかろうかと思っています。
 ――先ほど「会員を育てていく」と話されましたが、研究会として施工マニュアルの製作などは行っていきますか
 谷倉 調査方法そのものはほぼ確立していますので、その実現化に向けたマニュアルは平成28年度をめどに完成させたいと考えています。また、そのマニュアルをもとにして、来年度末には各地での講習会を開催したいと思っています。
 ――今後の分野的広がりは
 谷倉 現在は床版を主対象としていますが、今後は橋脚や橋台、トンネル、ダム等の様々なコンクリート構造物の損傷調査にも適用していけるのではないかと考えています。さらにその先には、調査から補修・補強分野へ広がる研究分野への展開も考えていますが、それは今後の状況に応じて柔軟に対応していきたいと思います。
 なお、問い合わせ先は当研究所研究第二部の渡邉晋也(TEL:0545-35-0212,E-mail:watanabe_shin@cmi.or.jp )が担当しています。
 ――ありがとうございました

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