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5.0㌔を施工、堺市施行分0.5㌔も受託

阪神高速道路 大和川線事業詳細 上下トンネルの最小離隔は1㍍未満

阪神高速道路
建設・更新事業本部 
堺建設部長

加賀山 泰一 氏

公開日:2015.10.29

4種類のセグメントを採用
 合成セグメントで厚さを抑制、制震性能備えたセグメントも活用

 ――トンネルのセグメントは特殊な製品を採用していると聞きますが
 加賀山 3面が鋼殻構造(背面と両側面)で内空空間(トンネル)側はコンクリート面で、鋼殻の中に鉄筋を組み325㍉厚のコンクリートを打設している新日鐵住金製の合成セグメント「NMセグメント」を採用しています。その狙いは鋼・コンクリート合成構造にすることで通常のRCセグメントに比べて厚さを抑制することで、特に線形が厳しい区間における視距拡幅部や300㍍に一カ所設置する非常駐車帯において内空断面への影響を減らすことにあります。同様の目的として横河住金ブリッジ製の六面鋼殻合成セグメント(鋼殻の中にコンクリートを充填しているサンドイッチ型合成セグメント)を新規に採用しています。


合成セグメント(NMセグメント)(左)/RCセグメント(右)

六面鋼殻合成セグメント(左)/損傷制御型鋼製セグメント(右)

 また、工事区間には一部で上町断層を始め複数の断層に掛っている箇所があり、これら上町断層系の破壊シナリオを反映した想定地震動(最大級シナリオ地震動)によりシミュレーションしてみるとシールドトンネルに大きな負担がかかる区間が3カ所あることが予測されました。そのため、同区間では損傷制御型鋼製セグメント(※阪神高速道路・鹿島建設が開発、今回はJFE建材が製作)を採用しています。これは低降伏点鋼を用いた縦リブが最大級シナリオ地震時に先行して座屈変形することで地震力を吸収し、致命的な損傷を避けることができるセグメントです。厚さも350㍉程度に抑制できます。往路・復路ともに3カ所に1リングずつ設置します。

 一般部では従来のRCセグメント(455㍉厚)を採用しています。

爆裂防止にPP繊維を混入

 ――安全上の対策は
 加賀山 火災や地震などの事態に迅速に避難できるよう、300㍍に一カ所、車両進行方向左側に道路下の避難用通路に降りることのできる非常口扉を設けています。避難用通路は幅2㍍×高さ2.5㍍と十分な広さを有しています。災害時にはこの通路を歩いて、近くの出入り口から脱出できます。
 また、特に火災対策としてはコンクリートにポリプロピレン有機繊維を混入し、火災時の爆裂を防止できるようにしています。

開削トンネル部はスーパー堤防と一体化施工

 ――大和川が隣接していますが湧水や震災・豪雨災害時の水の侵入には配慮していますか
 加賀山 湧水に関しては生じないことを確認して施工しています。津波や豪雨水害に関しては、東日本大震災や先の鬼怒川水害が記憶に新しいところですが、豪雨水害が生じても浸水が生じないよう考慮しています。
 堤防決壊による越水に関しては、大和川線工事と並行して大和川のスーパー堤防建設を行っており(開削トンネルを行った後の)復旧工事した箇所の上にスーパー堤防を一体的に建設することでそうした事態に備えます。同工事は国土交通省大和川河川事務所さんが行われます。
 ――シールド工事で生じた土はどのように処理しているのですか
 加賀山 発生土は改質処理した上で大阪南港にある第6貯木場の埋め立てなどに利用しています。この発生土再生事業は大阪府さんが施工する部分のシールド工事で発生する土も受け入れています。合計約100万立方㍍の土が再生土として利用される予定です。

新既接続部は床版を接合し縦目地を作らない

 ――次に橋梁については
 加賀山 当社施工区間では三宝JCTで延べ約4.5㌔の橋梁を有します。三宝JCTは床版までの構造物施工を完了しています。
 三宝JCTは橋梁が全部で40橋あり、25橋がPC・RC橋、15橋が鋼橋となっています。
 特徴としては、既設橋梁と新設JCT部の接続が生じるランプ橋において、(縦目地構造が問題となっている)西船場~阿波座付近の高架橋のような(縦目地部分から劣化する)状況になることを防ぐため、既設床版と新設床版を一体構造化しています。接続部は既設橋脚の両側に新しい橋脚および桁を建設していますが、一体構造化した個所では新設および既設橋脚の梁部を外ケーブルで一体的に補強したり、新旧橋脚のフーチングも一体化するとともにせん断補強を行うことなどにより耐震性を高めています。

新設および既設橋脚の梁部を外ケーブルで一体的に補強(左)/三宝JCT改築図(右)

 ――薄皮施工は
 加賀山 トンネル部については全てRC版によるコンクリート舗装で施工する予定です。橋梁部は排水性舗装で、床版防水は従来のものを使用します。
 ――大和川線の一日当たりの予測交通量は
 加賀山 約55,000台です。大型車混入率は3割程度を見込んでいます。
 ――であれば高性能床版防水の適用も模索するべきでは
 加賀山 ただランプ部については、交通量がそれほど多くありませんので高性能床版防水を採用するまでには至らないと考えています。加えて当社として「高性能床版防水」についてどの程度の性能を要求するかという検討は未だ結論が出ていません。橋梁部の舗装を施工するまでに高性能床版防水の検討が完了すれば、試験的に実施するかもしれません。
 ――ジェットファンなど施設の添架のアンカー工に対する配慮は
 加賀山 基本的に先付アンカーで施工します。あと施工アンカーはやむを得ない場合使用しますが、それでも水平方向にしか使わないなど使用制限をかけています。
 ――ありがとうございました

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