道路構造物ジャーナルNET

中期的には売上300億を達成し、東証一部上場を狙う

エスイー 耐震デバイスをさらに拡大、ESCONも展開図る

株式会社エスイー
代表取締役社長 執行役員社長 COO

大津 哲夫

公開日:2015.10.23

川上から川下まで抑えていることが強み
 鋼製ブラケットはグループ会社で生産

 ――川上から川下まで抑えているというのは大きな強みですね
 大津 そう思います。新しい製品を開発した際。エスイーリペアで使ってもらうことで実践できますし、その後のフィードバックもし易い。これは他社にない当社の強みです。
 ――外ケーブル補強は、PC橋のグラウト充填不良の問題などもあり、今後需要が増えることが予想されますね
 大津 PC桁補強工法としては一番計算し易く、施工し易い工法の1つと考えています。当社は外ケーブル施工時の設計計算も行っており、ユーザーの支援も充実しています。
 ――鋼製ブラケットは現在、溶接不良が大きな問題となっていますね。ある意味大きな機会の到来では
 大津 当社は溶接の品質検査に必須であるUT検査の資格を有するものを社内に抱えており、自社で責任を持って検査できます。そのため急速に引き合いが伸びてきており、短期的に成長する分野として期待しています。また、当社は元々設計会社としてスタートしておりますから構造物の使い方によってどのような治具を提供すれば最適かも示し、生産することができるのが強みと言えます。
 但し、あまりに値段が低すぎれば、当社としても利益が出せません。適正な価格で発注していただけるお得意様のお仕事を確実にこなすことで、実績を伸ばし利益を出していきたいと考えています。

グラウンドアンカーの防食性能は業界一を自負
 ESCON製の受圧板も展開

 ――保全事業では、NEXCO3社の大規模修繕で盛土・切土のグラウンドアンカーの防食機能低下による劣化が指摘され、今後新しい防食性能の高いアンカーへの取替を進めていく方針ですが、これは
 大津 当社のグラウンドアンカーは業界でも最も防食能力の高い製品と自負しております。アンカーは防錆覆材および防錆油、グラウトにより二重、三重にも防食されています。また、アンカー頭部についてもアンカーキャップと防錆油などにより防食されており、非常に高い耐久性能を有しています。また切土および盛土の法面は状況により土圧が変わりますが、そうした変動に対応できるよう、当社はアンカーをナット方式により定着しており、ナットを微調整することで緊張力を調整することができるなど対応力に優れています。


ESCON受圧板 クロスタイプ(左)/ナット定着の概要図(右)

 また、当社が開発した高強度繊維補強コンクリート「ESCON」を用いた法面用受圧板を展開しています。ESCON製受圧板は、従来の法面型枠に比べて厚さを半分以下に抑制できるもので、軽量化、プレキャスト化が可能です。またESCONは凍結融解、塩害に対する耐久性能にも優れており、鋼製の受圧板と比較しても、防食性能に優れます。寒冷地や海岸部、凍結防止剤を散布するような箇所において非常に良い製品と言えます。
 ――他の分野では
 大津 漁港や港湾の岸壁の補強分野に力を入れています。同分野には一般社団法人漁港漁場新技術研究会(水産庁関連)という会があり、同法人の認証する水産公共関連民間技術の確認審査・評価事業第一号案件として岸壁・護岸の補強アンカー工法の評価証を取得しました。漁港も30~40年を経ている岸壁や護岸が多く、そうしたものの補強工法として経済的ということで今後多く使われていただけそうです。


漁港の岸壁などの補強にもアンカー工法(左)/研究会の評価証も取得(右)

 ――今後の課題は
 大津 やはり人材です。今まで当社を支えてきた古い世代が、今後数年で多く卒業します。それをどのように補填していくかが課題です。60歳間際と、50歳前後の間に様々な理由から人材的な断層があり、技術継承などをスムーズに行えるような環境作りも(社長として)課せられた使命であると考えています。幸いなことに人材的な課題は少しずつ埋められてきています。ここ数年が踏ん張り所です。
 ――ありがとうございました

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