道路構造物ジャーナルNET

福美建設 自社の経験を生かした点検・調査・補修 支援システム

小規模橋メンテナンスシステム「ARCHIST(アーチスト)」を7月に販売開始

福美建設株式会社
取締役副社長

竹内 祥一

公開日:2015.06.09

調査用の簡易足場を開発中
 点検から調査、各種図表作成の手間を大きく省く

 ――具体的な内容は
 竹内 15㍍以下の小規模橋梁は、発注額が少ないことや官民の見積もりが合わないため落札されないなどといった弊害が目立ってきています。そういった諸問題に対応するために、小規模保全に対応した仕組みをパッケージ化しようというものです。例えば規模の大小を問わず足場は必要ですよね。近接目視点検となれば基本的に打音調査も行う。そのための簡易な足場をメーカーと共同で開発を進めています。
 次はシステムです。まずピトレですが、現地でチョーキングして調査して、計測をして、それを紙に書き写して、持って帰って事務所でCAD化して数量表を作成するという従来の業務を、タブレットを使うことで一括して簡易に行うことができる仕組みです。調査情報の入力は撮影した画像上に自由に入力ができます。直線と折線の切り替え、線の色も任意で変更が可能で、断面修復の形状は四角・台形・三角と表示方法を選択できます。


(左)調査情報入力画面/(右)JPEG出力

 入力情報はデータ化され、調書、出来形調書の作成が可能です。DXF形式への変換も可能なためCADにも対応できます。

最大の難関は積算と現実のかい離
 「ベッキオ」は様々なメーカーの材料を使って積算可能

 ――次にベッキオを説明してください
 竹内 現状、小規模補修の最大の難関は積算と現実のかい離であると言えます。
 たかだか断面修復でも材料の選定いかんで価格が変わってきます。表面被覆や剥落防止工ではそうした傾向が顕著でしょう。それを防ぐため、色々なメーカーの材料を使って積算できるシステムを構築します。官積算・概算見積書・施工計画書・事前調査報告書・材料発注数量表・施工管理調書に対応しております。


(左)官積算/(右)概算見積書

材料発注数量表

 基本的には最新の「国土交通省土木工事積算標準」データを基に橋梁補修工事に関わる様々な工種の積算を行えます。また、現在の積算の歩掛りでは価格が合わないという事もあります。そうしたものも、実績を元にした実勢価格を見積データとして用意しており、概算を出せます。そうなると、何が足りないのかということが発注者と協議できるようになります。その後は、受注してからの施工計画書が積算と連動していまして、そこで積算した材料に基づく計画書が出来上がります。それもエクセルベースで出来上がってきますので自由に手を加えることができます。数量関係も積算で出したものがそのまま反映できます。その延長線上として出来高調書なども作成できます。
 ベッキオの最大の強みはこうした各種のデータを格納したマスターファイルにあります。マスターファイルは官積算および概算見積書を作成するための基礎情報を集約し、出たファイル化したもので、①工種・種別・工法などの代価表を構成する基礎情報をまとめた「歩掛マスタ」、②労務単価、設計委託単価、機械・器具単価をまとめた「単価マスタ」、③補修材料の規格および単価、荷姿、標準使用量などをまとめた「材料マスタ」、そしてこれらを分類するための「選択しマスタ」で構成されます。データはオンラインで更新可能で、常に最新データを利用できます。

「パノラミカ」で人工を3分の1に縮減
 ピトレに取得データを入力することでさらなる作業の効率化が可能

 ――パノラミカはどんなシステムですか
 竹内 例えば足場上で床版の写真を全面にわたって撮影するのは難しいですが、iphoneやipadに備わるパノラマ撮影機能を使って撮影し、それを精緻化(正置化)してその上からひび割れをスケッチすることで、全延長が測れるといいうシステムを作っています。亀甲ひび割れがあった際に、その煩雑な計測を何とかしたいと考えたのがこのシステムを制作した発端です。作業は非常に簡単です。当該作業における人工を3分の1に縮減することが可能です。このデータをピトレに入れることで、さらなる作業の効率化、スマート化が実現できます。


(左)スケッチ画像の使用例
(右)「パノラミカ」は、「iPhone5」「iPhone6」など第5世代以降のapple製品のパノラマ撮影機能で撮影した写真に適応している。

パノラミカの省力化のポイント

 ――システムに載せる工法・材料はどれくらいになりそうですか
 竹内 工種は断面修復、鉄筋防錆、ひび割れ注入、表面含浸、表面被覆、はく落防止など小規模橋梁の補修に絞っています。材料は信用のおける大手メーカーのものに絞っており、その金額、分野などを積算におけるデータとして入れていただいています。今後も材料・工法を増やしていきますが、その選定については当社でチェックした上で信頼のできる製品を掲載する方針です。
 ――想定している需要家は
 竹内 積算システムは地場ゼネコン、撮影システムは地方コンサルタントに向けて水面下で紹介しており、すでに引き合いも頂いています。今後はインフラの保全を目的とした地域的な協会にも積極的に営業していきたいと考えています。このシステムは、そのままでは皆さんに使われないと思っていまして、ご要望に応じてカスタマイズし、使いやすく提供していきたいと考えています。
 ――既存の同種のシステムとの違いは
 竹内 当社は小規模補修も含めた補修現場の場数をこなしています。その現場の実務者目線に応じたシステム作りを心掛け、実現しています。発売後もユーザーさんからの要望はもちろん、当社の現場施工からも課題を抽出して更新することで、さらに良いシステムに更新ブラッシュアップしていく方針です。
 ――現在は
 竹内 当社の現場などにおいてシステムの実証試験を進めています。その上で7月下旬には発売したいと考えています。
 ――ありがとうございました

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