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計画的に対策しLCCを縮減

ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画を策定

兵庫県
県土整備部 土木局 
前 道路保全課長(現 姫路土木事務所長)

濱 浩二

公開日:2015.05.01

軸方向のひび割れは存在
 材料劣化と漏水はある程度相関

 ――トンネルは
 濱 点検の結果、材料劣化と漏水は損傷にある程度相関があることが分かっています。水を原因とする材質劣化が多いと推測されます。
 ――シリアスな損傷として軸方向のひび割れ個所はありますか
 濱 それほど数量はありませんが、存在します。発見時にある程度ひび割れ延長がある個所は背面空洞の有無を調査し、すぐに空洞部の充填、連続繊維シート貼りにて補修しています。
 ――橋梁など耐震補強の進捗状況は
 濱 兵庫県南部地震による橋梁の被災の特徴を踏まえ、昭和55年道路橋示方書(S55年道示)より前の基準で設計された15㍍以上の橋梁を対象に、最新の設計基準に基づく耐震強化(レベル2対応)を推進しています。既に緊急輸送道路上の162橋、緊急輸送道路外の159橋で耐震対策を完了しています。

耐震 87橋を10カ年で対策
 27年度は15橋で予定

 ――今後の対策は
 濱 S55年道示より前の基準で設計され、落橋防止構造が整備されていない橋梁のうち、橋長15㍍以上の198橋を対象に耐震強化を進めていきます。平成26年度から、このうち跨線・跨道橋や交通量1万台以上、橋長100㍍以上など社会的影響の大きな87橋の耐震強化を10年間で完了させる計画を立てています。26年度は、小野市内の県道小野志方線の越前橋、尼崎市内の県道米谷昆陽尼崎線の錦橋など8橋で対策を完了しました。
 27年度は15橋で対策する予定です。


                       橋脚の補強

 ――15橋のうち主要な橋梁の概要と対策内容を教えてください
 濱 姫路市内の県道西田原姫路線の生野橋や養父市内の県道宮津養父線の伊佐橋などで、橋脚補強および落橋防止装置を実施する予定です。


                   耐震補強した諸橋梁

 ――15㍍未満の橋梁は
 濱 兵庫県南部地震でも落橋しておりませんので、基本的に落橋しないと考えております。仮に落橋したとしてもその時は別の対応策を速やかにとることで復旧できると考えています。

毎年30億円程度を橋梁補修補強に投入
 特Aは122橋を28年度までに対策

 ――長寿命化修繕計画に基づいた対策の進捗状況は
 濱 安全で信頼できる道路交通の確保と、修繕・更新にかかる総コストの縮減・予算の平準化などを図るため、橋梁や舗装、トンネルなど道路施設の修繕計画をもとに、平成25年に今後10年間の事業計画を「ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画」として策定し、橋梁の長寿命化修繕計画も改めてその中に位置付けて、26年度から計画的・効率的な点検および修繕・更新を実施しています。補修補強には毎年30億円程度を投入していく予定です。


                         断面修復工

 橋梁については「要対策(A)」(損傷などがあり、計画的な対策が必要)は平成24年末で1,459橋ありましたが、平成35年度までにこのうち重要度の高い(交通量2万台以上、橋長100㍍以上、跨線・跨道橋などに該当する)324橋の対策を完了させる予定です。また、特に損傷が著しいと「早期対策(特A)」判定された122橋の対策は28年度までに完了させます。


                         表面被覆   

 なお、平成26年度までに要対策(A)の橋梁112橋(35%)の修繕・更新に着手しています(特A判定橋梁73橋を含む)。26年度は三田市の県道テクノパーク三田線 あかまつ大橋、姫路市の県道姫路環状線 今中橋、豊岡市の県道日高竹野線 梅田橋、播磨町の県道本荘平岡線本荘陸橋、相生市の県道姫路上郡線の真広橋などです。

 
                  塗替えられた鋼桁

 要対策(A)以上の損傷事例は、日本海側から瀬戸内海に至る県域の広さを反映して多様です(写真参照)。
 ――平成27年度の予定は、また主要構造物の概要についてお答えください
 濱 平成27年度には、川西市の県道多田停車場多田院線の塩川橋、三木市の県道三木三田線の長早橋、洲本市の県道洲本灘賀集線の古茂江橋など、新たに43橋の修繕に着手する予定です。

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